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2006.12.12
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カテゴリ:アニメ・コミック
柚木 朝
柚木
審査員
「優雅な朝の始まり・・・といった感じだねぇ」
「テーマにも合ってますし」
「彼の音楽には気品があるね」


火原「金やん、つれてきたよ!」
金澤「静かにしろ、演奏中だ」

金澤「ったく、なにやってんだ、二人とも。日野、次お前さんだぞ

金澤「はあっ? 伴奏者がいない!? どういうことだよ」
香穂子「それは、あの・・・。急に体調が悪くなったみたいで・・・」
月森「え?」
月森・香穂子
金澤「今さら代役ったってなぁ・・・」
『伴奏者がいなければ棄権せざるをえないでしょう?』


柚木「日野さん? 君の番だよ」
香穂子「っ・・・」


香穂子の友人「香穂、どうしたんだろう?」
 なかなか出てこない香穂子を心配する。


 バイオリンと向かい合う香穂子。
『先輩は音楽に対して真剣なのかどうだか分からない』
『君は本当に真剣なのか?』
『真剣に取り組んでいる他の参加者に対して失礼だ』
「(そうだ・・・。皆は真剣に取り組んでいるんだ。私だけいい加減なことはできない。事情はどうあれ、コンクールに出るって決めたのは私なんだから!)」
 香穂子はヴァイオリンを手に取る。
「(逃げ出すわけには・・・いかないよね)」
 靴を脱ぎ、舞台へと足を踏み出す。
香穂子
「あ・・・」
「あ・・・?」
「日野!」


「香穂ちゃん! ・・・え?」
 演奏者がおらず、しかも裸足の香穂子に、客席はざわつく。


土浦「日野・・・?」


香穂子 別れの曲
香穂子
土浦「ええ?」
男子生徒「ヴァイオリンでショパン?」
男子生徒「しかもテーマは『開かれしもの』なのに『別れの曲』?」
男子生徒「やっぱ普通科は分かってねぇなぁ」
王崎「そうかな? どう演奏してくれるのか楽しみだけど?(がんばれ、日野さん)」

香穂子「(順位なんて関係ない。背伸びしないで今の自分にできる演奏を精一杯やるんだ)」

柚木「とめなくて、大丈夫なんですか?」

リリ「日野香穂子・・・」

香穂子「(ありのままの素直な自分をヴァイオリンにゆだねてみよう。ヴァイオリンが私に答えているのか、私がヴァイオリンに応えているのか)」
庄司『あなたに参加してほしくないです』
香穂子「っ・・・!」
 庄司の言葉を思い出し、わずかに演奏が乱れる。


 そこへ無常にも審査員の厳しい声がかかる。
審査員「演奏をやめなさい」
香穂子「っ・・・」
審査員「君、伴奏者はどうしたんだね? 勝手な変更は認められない。一度下がりなさい」
 金澤が舞台袖から飛び出てきて、審査員の説得にかかる。
金澤「待ってください!」
審査員「しかし、この曲はピアノ伴奏が必要でしょう」
香穂子「(どうしたら!)」
香穂子
 どうしたらいいの?

土浦「伴奏ならここにいる」
香穂子「えっ・・・。土浦・・・君・・・?」
土浦・香穂子
土浦「何ぼけっと突っ立ってんだよ」
香穂子「え?」
土浦「多少の間違いは多めに見ろよ?」
香穂子「は、はい!」

土浦の友人「土浦がピアノ!? どうなってんだよ、いったい・・・」

土浦『自分の演奏で何を語るか、いかに語るか・・・だよ』
香穂子「(別れの曲・・・。私がこの曲で語りたいのは・・・)」
 演奏が始まる。
土浦・香穂子
香穂子「(自分で道を閉ざさなければ、いつでも道は開かれている。だから、これは終わりの曲なんかじゃない。新たに訪れる、始まりの曲!)」
香穂子
土浦
 柔らかな笑顔の土浦と、扉の隙間から舞台を見る庄司。彼女の目には涙が浮かんだままだが、それは憎しみではなく、香穂子のメッセージを受け取ったからだ。
土浦・香穂子

 演奏が終わると、客席から拍手が沸きあがる。
審査員「制約を感じない自由な演奏だね」
審査員「悲壮感がなぃ、さっそうとしている」

火原「日野ちゃんよかったよ! 一時はどうなる事かと・・・」
 膝から力が抜けて座り込む香穂子。
火原「あ、日野ちゃん!」
土浦「お、おい」
 香穂子のまなじりから涙がこぼれだす。
香穂子「(やだ、ほっとしたら・・・)」
冬海「あ、あの・・・。演奏、とっても素敵でした」
 冬海はそっとハンカチを差し出す。
香穂子「ありがとう・・・!」
冬海・香穂子
火原「役得だなぁ、冬海ちゃん」
 うらやましそうにする火原の手から、柚木はしわくちゃのハンカチを取って広げる。
柚木「これじゃあ、無理だね」
火原「うわぁ、柚木、見せんなよぉ」

月森「すまないが、どいてくれないか?」
香穂子「あっ、ごめんなさい」

月森 華麗なるポロネーズ
月森
 皆、月森の演奏に引き込まれる。
香穂子「(華やかで力強い演奏・・・。なんだか圧倒される!)」
柚木「完璧・・・だね」

審査員「力強く、道を開いていく感じがしますね」
審査員「まさに『開かれしもの』」


香穂子「(そして第一セレクションは月森君の優勝で幕を閉じた)」


ED後

香穂子「今さらながら、恥ずかしい事しちゃったよね。でも・・・。あれは何ともいえない感覚だったよね」

土浦「日野・・・?」
香穂子「えっ?」
土浦「まだ帰らないのか?」
香穂子「土浦君・・・。・・・せっかく演奏してくれたのに、ビリでごめんね」
土浦「なに言ってんだよ。まさか、別れの曲で来るとはな」
香穂子「好きな曲、でしょ?」
土浦「まぁな。なかなかいい演奏だったぞ」
香穂子
土浦
香穂子「土浦君・・・。本当にありがとう。いろいろと・・・。今日がんばれたのは土浦君のおかげだよ」
土浦「いいって、別に・・・。じゃ、お先にな」


柚木「まったく、たいしたパフォーマンスだね」
柚木






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Last updated  2006.12.13 03:07:24
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