|
カテゴリ:アニメ・コミック
柚木 朝
審査員 「優雅な朝の始まり・・・といった感じだねぇ」 「テーマにも合ってますし」 「彼の音楽には気品があるね」 火原「金やん、つれてきたよ!」 金澤「静かにしろ、演奏中だ」 金澤「ったく、なにやってんだ、二人とも。日野、次お前さんだぞ 金澤「はあっ? 伴奏者がいない!? どういうことだよ」 香穂子「それは、あの・・・。急に体調が悪くなったみたいで・・・」 月森「え?」 金澤「今さら代役ったってなぁ・・・」 『伴奏者がいなければ棄権せざるをえないでしょう?』 柚木「日野さん? 君の番だよ」 香穂子「っ・・・」 香穂子の友人「香穂、どうしたんだろう?」 なかなか出てこない香穂子を心配する。 バイオリンと向かい合う香穂子。 『先輩は音楽に対して真剣なのかどうだか分からない』 『君は本当に真剣なのか?』 『真剣に取り組んでいる他の参加者に対して失礼だ』 「(そうだ・・・。皆は真剣に取り組んでいるんだ。私だけいい加減なことはできない。事情はどうあれ、コンクールに出るって決めたのは私なんだから!)」 香穂子はヴァイオリンを手に取る。 「(逃げ出すわけには・・・いかないよね)」 靴を脱ぎ、舞台へと足を踏み出す。 「あ・・・」 「あ・・・?」 「日野!」 「香穂ちゃん! ・・・え?」 演奏者がおらず、しかも裸足の香穂子に、客席はざわつく。 土浦「日野・・・?」 香穂子 別れの曲 土浦「ええ?」 男子生徒「ヴァイオリンでショパン?」 男子生徒「しかもテーマは『開かれしもの』なのに『別れの曲』?」 男子生徒「やっぱ普通科は分かってねぇなぁ」 王崎「そうかな? どう演奏してくれるのか楽しみだけど?(がんばれ、日野さん)」 香穂子「(順位なんて関係ない。背伸びしないで今の自分にできる演奏を精一杯やるんだ)」 柚木「とめなくて、大丈夫なんですか?」 リリ「日野香穂子・・・」 香穂子「(ありのままの素直な自分をヴァイオリンにゆだねてみよう。ヴァイオリンが私に答えているのか、私がヴァイオリンに応えているのか)」 庄司『あなたに参加してほしくないです』 香穂子「っ・・・!」 庄司の言葉を思い出し、わずかに演奏が乱れる。 そこへ無常にも審査員の厳しい声がかかる。 審査員「演奏をやめなさい」 香穂子「っ・・・」 審査員「君、伴奏者はどうしたんだね? 勝手な変更は認められない。一度下がりなさい」 金澤が舞台袖から飛び出てきて、審査員の説得にかかる。 金澤「待ってください!」 審査員「しかし、この曲はピアノ伴奏が必要でしょう」 香穂子「(どうしたら!)」 どうしたらいいの? 土浦「伴奏ならここにいる」 香穂子「えっ・・・。土浦・・・君・・・?」 土浦「何ぼけっと突っ立ってんだよ」 香穂子「え?」 土浦「多少の間違いは多めに見ろよ?」 香穂子「は、はい!」 土浦の友人「土浦がピアノ!? どうなってんだよ、いったい・・・」 土浦『自分の演奏で何を語るか、いかに語るか・・・だよ』 香穂子「(別れの曲・・・。私がこの曲で語りたいのは・・・)」 演奏が始まる。 香穂子「(自分で道を閉ざさなければ、いつでも道は開かれている。だから、これは終わりの曲なんかじゃない。新たに訪れる、始まりの曲!)」 柔らかな笑顔の土浦と、扉の隙間から舞台を見る庄司。彼女の目には涙が浮かんだままだが、それは憎しみではなく、香穂子のメッセージを受け取ったからだ。 演奏が終わると、客席から拍手が沸きあがる。 審査員「制約を感じない自由な演奏だね」 審査員「悲壮感がなぃ、さっそうとしている」 火原「日野ちゃんよかったよ! 一時はどうなる事かと・・・」 膝から力が抜けて座り込む香穂子。 火原「あ、日野ちゃん!」 土浦「お、おい」 香穂子のまなじりから涙がこぼれだす。 香穂子「(やだ、ほっとしたら・・・)」 冬海「あ、あの・・・。演奏、とっても素敵でした」 冬海はそっとハンカチを差し出す。 香穂子「ありがとう・・・!」 火原「役得だなぁ、冬海ちゃん」 うらやましそうにする火原の手から、柚木はしわくちゃのハンカチを取って広げる。 柚木「これじゃあ、無理だね」 火原「うわぁ、柚木、見せんなよぉ」 月森「すまないが、どいてくれないか?」 香穂子「あっ、ごめんなさい」 月森 華麗なるポロネーズ 皆、月森の演奏に引き込まれる。 香穂子「(華やかで力強い演奏・・・。なんだか圧倒される!)」 柚木「完璧・・・だね」 審査員「力強く、道を開いていく感じがしますね」 審査員「まさに『開かれしもの』」 香穂子「(そして第一セレクションは月森君の優勝で幕を閉じた)」 ED後 香穂子「今さらながら、恥ずかしい事しちゃったよね。でも・・・。あれは何ともいえない感覚だったよね」 土浦「日野・・・?」 香穂子「えっ?」 土浦「まだ帰らないのか?」 香穂子「土浦君・・・。・・・せっかく演奏してくれたのに、ビリでごめんね」 土浦「なに言ってんだよ。まさか、別れの曲で来るとはな」 香穂子「好きな曲、でしょ?」 土浦「まぁな。なかなかいい演奏だったぞ」 香穂子「土浦君・・・。本当にありがとう。いろいろと・・・。今日がんばれたのは土浦君のおかげだよ」 土浦「いいって、別に・・・。じゃ、お先にな」 柚木「まったく、たいしたパフォーマンスだね」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.12.13 03:07:24
コメント(0) | コメントを書く |
|