テーマ:がんばりどき(368)
カテゴリ:思うこと
職場の最寄り駅前に、ホームレス風のおっさんが雑誌を片手に掲げて立っている。
この前見かけた時、駅まで一緒に歩いてきた同僚の女性と「拾った雑誌でも売ってるのかね」 「売れると思ってるのかなぁ」「売れるから立ってるんじゃない?」などと話しながら通り過ぎた。 昨日、またそのおっさんがいたので何気なく掲げている雑誌を見た。 「BIG ISSUE」と書いてあった。 ―これか。 高知でのLIVE出演者の中にこの雑誌に支援(と私は理解しているが)しているというシンガーがいた。 彼がそれをステージ上で話した時、客席から明らかにホームレスの支援などには批判的ととれる声の調子で「どんな支援か」という声がとんだ。 それはわかる。 多くの人が「え?何それ、どういうことやってるの?」と思うだろう。 うちの亭主なども「好きで(ホームレス)やってるんだから支援など要らない」派である。 この雑誌、サイトによれば もともと英国から始まったそうで、ホームレス本人が街頭でこれを売ることで定価の一部を収入とし、自立への足がかりにするようで販売に際してのルールもあるらしい。 表紙も音楽か映画雑誌のように洒落ていて記事も多様なようである。 サイトを読んでみるとそのシンガーが「きちんとしたところのようなので応援しようと思った」と言うのが納得できる。街頭販売に立つホームレスの人たちの顔も紹介されていた。 私自身も20代で離婚した際、とてもアパートの敷金になるほどの金も持たず、 自治体の母子家庭の寮に入り殆ど家賃免除の暮らしができたから、 5年そこにいて外に部屋を借りられる状態になれた。 住居の問題はもっとも大きいと思う。 亭主の理屈では「月15万も稼げばアパートを借りられるだろう、その気があればひと月休みなしで働けば時給800円弱でも可能だ。それをしないでホームレスでいるのは怠慢である、だからそんな人間を支援する必要はない」という感じになる。 私は彼の見立ては甘いと思う。 彼のような理屈では、人生をしくじった人はすべて自己責任(それはわかる)なのだから、 他人が支援する必要はないということになる。 前の職場の関係で多重債務者の救済をする弁護士、司法書士の活動について書かれたものを読む機会があった。そういった相談の会場を設けても、そこに来る交通費すらない人達がいるという現実を知りホームレスがいるような場所へ足を運ぶことをする弁護士がいた。 多重債務を苦に自殺や一家心中、あるいは犯罪に走る事件を度々目にするが、 救済措置はあるのであり、自分や他人を殺す必要はないのである。 それを知る機会がないばかりに起こる悲劇がある。 多重債務者も自分の欲や愚かさでなったのだから支援など必要ないというのは違う。 しかるべき知識や手段を提供する支援は必要だと思う。 そのことで自立できる人はいるわけだし、逆にそれを得る立場にいるのに背を向ける人は やはり落ちていくだろう。 しかし、自殺者やホームレス、ニートが増えていい社会なわけはない。 ワーキングプア、格差という問題が言われる中で「本人の責任」「怠け者なだけ」と他人事のようにいえるだろうか、そこへ落ちる(あえて「落ちる」と書かせて頂くが)かどうかのラインは意外にすぐそこなのかもしれないと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[思うこと] カテゴリの最新記事
|
|