あの人に会いたい:アントニア・サン・フアン
靴に恋してというスペイン映画を見た。この映画はアントニア・サン・フアン、その存在に尽きる。靴にまつわる業(ごう、というのかな)を背負った女性たちが登場し、バラバラと思ってたエピソードが後半ぴったり繋がって「おー、そう来るか!」と不意をつかれる。見ごたえのある2時間です。ファッション雑誌で紹介されるような軽い内容じゃなくって、実は結構重い。気丈にふるまっても、ハイヒールで街を闊歩してても女たちはそれぞれ闇を抱えてる。さて、アントニア・サン・フアン(Antonia San Juan)。アルモドバル映画「オール・アバウト・マイ・マザー」のオカマ役が強烈だった。「うちに消毒液なんてない。あるのはコンドームとバンドエイドだけ」ってセリフ(間違ってたらすみません)が忘れられない。その彼(彼女?)がここでは母親役。娼館を仕切りながら、障害を持った一人娘を育ててる。そこに訪れる大人の恋。娼館で上客に見初められ、デートを重ねる。揺れる女心。もう恋なんてしないと思っていた。「こんなにドキドキするのは、学生の時好きな男の子から声をかけられて以来」恋は年齢を忘れさせてくれる魔法・・。大人の女(この場合の大人とは三浦りさ子でもRIKACOでもない。木の実ナナや岩下志麻レベルを意味する。メノポーズの大河を渡りきった後のたくましい美)を見事演じきった彼(彼女?)。私は言葉を失った。何の躊躇もなく、オカマを女として写し続けたスペイン映画の寛容さ。女優になり切ったアントニア(アントニオ?)・サン・フアン。見終わった後、どうしても白黒つけたくて即効ネット検索(便利ですね)。彼女は正真正銘の女性だった。かなづちで脳天を打たれたような衝撃。私は今まで、オカマっぽい女性を上げ連ねて喜んでいた。そんな幼稚な価値観を根底からくつがえす真実。どこからみてもオカマ/絶対女性には見えない/でも女性よりも女性らしい・・。何だか頭がおかしくなってきた。ジェンダーって何だろう?そう思ってたのは私だけじゃないみたいで、彼女の性別に関しては物議をかもしてるみたい。彼女はただ「私は女優よ」と言い放つ。だますことも女優の仕事なら、彼女は世界屈指の名(迷?)女優だろう。さぁ、旦那が帰ってくる前にオカマ映画見倒さな!ジャマイカじゃゲイはご法度です・・※検索される際は音声付動画をおススメします。だって声も男やねんもん。