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テーマ:本のある暮らし(3205)
カテゴリ:本のある暮らし
ひさしぶりに、読書しました。
少しは現代ものや、柔らかいものを読みたいと思ったのですが、ひさしぶりに本を読もうとすればするほど、軽いものは頭のしわをすべって行きます。。。たぶん、集中力がないのでしょう。 軽いと、気がつかないうちにほかの事を考え出すのかも知れません。。。なので、たくさん本を読んで、読書に慣れた頃でないと軽いものは受け付けられないのかも。。 それで、アンチ・インテリを標榜しているのに、古典名作系が読書の中心なんですね。。。まあ、古典名作系は根性と気力もいるので、うつで気持ちが拡散していくのを一つに結びつけているのでしょうけど。。。 そういう自分を、私は不器用だと感じています。 私は、現代の感覚や日常から切り離されているのかもしれません。。。サビシイヨ~。 ■バルザック 「ゴリオ爺さん」 作品紹介の部分で、かなり腰が引けていた作品です。 もしかして、悲惨すぎて憂鬱になる作品ではないかと、怖かったんです。でも、バルザックの筆は中庸を得ていて、悲劇は描いていても、悲惨に傾きすぎて食傷することはありませんでした。 すごいです。。。 フランス文学は、華麗な宮廷文化を反映しているので、こちらが泥にまみれたような気持ちになるのを防ぐ手立てが、常に用意されています。そのせいか、内容を知らなくても安心して読める文学だと感じます。 そうは言っても、 作品には作者の人間性が反映される以上、モーパッサンのように人間嫌いだと、この作品は読むに耐えないくらい悲惨になったでしょうが。。。 感想は、”強烈”、それだけです。 ゴリオ爺さんの盲目的な愛情と、それを当然のごとく受け取りながら、平気で父親を踏みにじる娘たち。最後まで彼女たちを愛するゴリオ爺さんと、父を見捨てる娘たちの対比が強烈です。その、彼女たちの恩知らずな姿は、奇妙なことに、表面上の女性崇拝とは裏腹に男性中心の社会を映し出しています。 西洋の女性崇拝も、結局は女が女らしさの範疇を超えない限り、恩恵のように与えられたものだったとしか思えません。もちろん、そんな表面上の恩恵さえ与えられなかった日本の女性たちの悲惨さは言うまでもありませんが。。。 フランスはカトリック教国で、ごく最近まで離婚が難しかったと聞きます。そんな国で、男と女がお互いを愛せなくなった結婚は悲惨です。結婚における、お互いの忠実さが家庭を堅固にし、その人物の人間性をも守るとりでになると思いました。 報われなかった私の仇は、孫が討つだろう…というゴリオ爺さんの言葉は、 連綿と続く家系の不幸の原因を見るようでした。 思わず、読んで気が引き締まった作品です。考えさせられる作品というのはこういうのを言うのでしょう。バルザックはすごすぎます。。。ていうか、強烈だぁ~。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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