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テーマ:本のある暮らし(3206)
カテゴリ:本のある暮らし
面白かったです! 醜女の日記。
文学では、主人公は90%以上の確率で、美男美女と相場は決まっていますが、今回は、”美は善である”という、西洋の伝統的価値観に反する設定です。 主人公は、サビーヌ。 押しもおされぬ”醜女”と自認し、人に顔を見られるのが何より苦痛です。その彼女が美しい男に愛され恋をしたらどうなるか? 謙譲の美徳より、自信を持ち前向きであることに価値を感じる、彼ら西洋人が卑下しているのは、謙譲の美徳になれた日本人には、そうたいして気の毒ではありません。でも、西洋人にとっては、かなり気の毒な女性心理と映るでしょう。 彼の愛情を確かにしたい。。。 一緒にいて、つりあうようになりたい…。そのサビーヌの願いは、悲劇となって二人の愛を終わらせてしまいます。 私小説は、日本で生まれたと聞きますが、これは日本の私小説も真っ青の”自意識小説”。もともと、西洋は語る文化なので、饒舌に心理が語られます。日記形式で進み、心情の吐露を中心に話が進みますが、西洋人という人たちの自我の確かさと、頑固なまでの揺らぎのなさに、改めて文化と人種の違いを感じました。 ただし、育て方や教育でも人間性はかなり変わるようなので、家の子もそうとうに頑固は頑固ですが。。。これに、歴史的な背景や教育も加わって、西洋のあきれるほどの頑固さが生み出されていくのでしょう。 その、頑固さにもよい面と悪い面がありますが、常に人間の個性は、よいほうにだけ発揮されるわけではないので、それが悪い方に発揮された悲劇ということでしょう。 原題は、「醜女の美しさ」だとか。醜女のサビーヌに美しさを感じるので、私もその方が良かった気がします。それにしても、フランス文学は面白いです! いつものことですが、またもや感心です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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