カンディードは、グロテスクな物語と言えるかもしれません。
これはヴォルテールの生きた時代の人々には熱狂的に受け入れられたでしょうが、時代に対する強烈な風刺が効いているので、その時代には受け入れられても、後世の人間には鼻につく毒のようにも思われます。
その一方で、「すべての人が人生で不幸を抱えていること。真の幸せは勤勉に働き、ささやかなものに満足することで得られる」というお話の結びにはうなづくことができます。
ヴォルテールは毒舌家で頭の回転の速い天才肌の人だったそうですが、最後には俗世間の栄華に包まれていながら、教会からは遺体をごみにして捨てられそうになったという奇妙な人です。
お勧めかと言われれば…?
「たいして」と答えます。
現在、
当時の熱狂に比べて、ヴォルテールの読者が少なくなっているのは、大いに納得できます。今わずかに読まれているらしい、このカンディードも、いつか消えてしまうとしても私は驚きません。
遊びすぎだし、毒がありすぎ。
王侯貴族なんて何するものじゃい、と言う風刺だとしても「ドン・キホーテ」のような気品がこの作品にはありません。
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