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テーマ:今日の出来事(287504)
カテゴリ:政治・経済・社会
☆「新潮45」11月号で、音喜多駿が独占手記を緊急寄稿。 ついに離党を宣言した若き「党の顔」が、欺瞞に満ちた「古巣」の内幕を暴露する。 自民党と同じ穴のムジナ 僕が上田令子都議と共に離党会見を開いたのは、都議会の定例会が閉会した10月5日。 希望の党が1次公認を発表した2日後です。 いま日本で最も人気のある女性政治家に背後から奇襲をかけたのですから、「お尋ね者」扱いされても仕方がないでしょうね。 「都民ファーストの会のおときた駿」に期待して下さった皆さまには、大変申し訳ないと思っています。 ただ、僕自身は政治家としての信念を貫いて今回の決断を下しました。 その点は胸を張って言えます。 今回の離党について、都民ファーストの会の小山有彦(くにひこ)・幹事長代理は「希望の党から出馬できないことが分かったので、(離党という)対応につながったのであれば残念」と発言しました。 つまり、僕が、国政選挙で公認されなかったことを逆恨みして離党したというわけです。 ただ、小山さんの人柄を考えると、彼が個人的に発した言葉とは思えない。 僕は公認を打診された側です。 しかも、それをきっぱり断っています。都政に難題が山積するいま、軽々に都議としての任期を投げ出すべきではないと考えたからです。 にもかかわらず、党の役員会は「音喜多が公認を貰えなかった腹いせに党を飛び出した」というストーリーをでっち上げたいのでしょう。 僕が離党に至った理由はこうした対応と無関係ではありません。 そもそも、小池知事は「ガラス張りの都政」を掲げ、「情報公開は東京大改革の1丁目1番地」と謳って都知事選に勝利しました。 ところが、今年7月の都議選で55議席を獲得し、都民ファーストの会が都議会第一党となって以降、情報公開はほとんど進んでいません。 むしろ、ブラックボックス化に拍車がかかるばかりで、かつての都議会自民党と同じ穴のムジナとしか思えない状況です。 1~2週に1度開催される党の議員総会では、事前に役員会で決められた方針が上意下達されるだけ。 異議を唱えても全く聞く耳を持たれません。 9月11日に野田数(かずさ)さんから荒木千陽(ちはる)都議に代表が交代しましたが、この人事も小池知事と役員会のメンバーである増子博樹幹事長、山内晃政調会長からなる選考委員会で決められています。 党所属の都議は、この日の午後に一斉メールで代表人事を知りますが、すでに報道が先んじていました。 なぜ党代表という極めて重要な人事を、都議の意見を一切聞くことなく密室で決めたのか。 その2日後に開かれた議員総会で議論すべきではなかったか。 こうした批判に対して、荒木代表は「党の規約に則っている」と反論しました。 確かに、規約には違反していないでしょう。 ただ、問題はこの規約自体にあります。 僕は党の設立当初から規約作りに関わってきました。 国内の全政党どころかイギリスの政党の規約まで読み込み、100条以上に及ぶ草案を提出したのです。 しかし、当時の野田代表に、「これでは知事がスピーディーな意思決定をできない」と突っぱねられ、僕は検討会のメンバーを外されます。その結果、出来上がった規約は、役員会に権限を集中させ、議員総会での議論を経ずに主だった方針が決められるという代物でした。 執行機関と議決機関が一体化しては独裁国家と何ら変わりありません。 しかも、この規約は所属議員に周知されていないのです。 もちろん、手続きを踏めば都の選管で閲覧することは可能ですが、自分が所属する党の規約を知るのに情報公開請求をしなければならないのは明らかに不自然です。 少なくとも、「情報公開」を党是に掲げる政党とは思えない。 同様に、お金の使い道にも不透明な印象は拭えません。 党所属の都議は毎月、党費として6万円、政務活動費のうち15万円を党に支払っています。 無論、ネット回線を引く、コピー機を入れる、受付スタッフを雇うといった費用は必要でしょう。 しかし、この3カ月間で都議55人から3500万円近くのお金を徴収しながら使途は明かされないまま。 原資が都民の税金である以上、使い道を公表すべきなのは言うまでもないことです。 「お友達内閣」 野田前代表、荒木現代表は2人とも小池知事の元秘書です。加えて、9月に党の政調会事務総長に就任した小島敏郎さんは、小池知事の環境大臣時代からのブレーン。 党執行部の顔ぶれは、もはや「お友達内閣」という言葉がふさわしいと思います。 しかも、都の顧問だった小島さんを、党の要職に迎え入れる人事はあまりにも政治色が強い。 その点は小島さんも出席した議員総会で指摘しました。 ただ、党の幹部は「小島さんは素晴らしい方なので、こっちが頭を下げてお願いしたんだ」と繰り返すのみ。人事は終始、ブラックボックスで、フタを開けたら幹部はオール小池色です。 さらに、首を傾げたくなるのは身内に対する締めつけです。 僕は2013年の初当選以降、SNSで情報発信を続け、ブロガー都議と呼ばれることもあります。 自民党の都議にブログの内容について「問題発言だ!」と問い詰められたことも1度や2度ではありません。 実は、それと同じことが都民ファーストの会でも行われているのです。党の方針に外れた内容を書き込むと、役員から「気にする人もいるからさ、分かるでしょ?」、とクギを刺される。 要は、忖度しろということです。 新人都議は委縮して自主規制せざるを得ない。 メディアからの取材も基本的には全てNG。 凄まじい言論統制です。 また、複数の新人都議との飲み会をセッティングした時は、役員がズラリと並ぶ場に呼び出されて「これは分派行為だ。申し開きの言葉はないのか」と詰問されたこともあります。 それでも、僕は最後まで離党という決断だけは思い留まってきました。 票を投じてくれた有権者の手前もありますし、小池知事を信じたい気持ちもあった。 都知事選で誰を応援すべきか検討していた頃、小池知事から電話を貰いました。 「私はルビコン川を渡りました。それだけは信頼してほしい」 正直なところ、カッコよかったですよ。 それまで、自民党に籍を置いたままの彼女に都議会自民党と闘うことができるのか疑問でしたが、そのひと言で支持することを決めたのです。 ただ、結果的には自民党的な政治を再生産しただけに過ぎなかった。 しがらみが新たなしがらみを生んだだけだった。 見る目が甘かったと言われても否定はできません。 奇しくも、僕たちが離党会見を開いた10月5日に都民ファーストの会は希望の党と「政策協定」を結びました。 これにより、傘下の都議は改憲に異論があっても、消費増税の凍結に反対でも、問答無用で国政選挙の応援に駆り出されます。 僕には希望の党は選挙目当ての野合にしか見えません。 しかも、都政の軽視も甚だしい。 小池知事は、都政に専念したいという理由で都民ファーストの会の代表を降りました。 その舌の根も乾かぬうちに国政政党を立ち上げたことが、僕にはどうしても納得できない。 都政の投げ出しにはならないと言いますが、先月設置されたばかりの「築地再開発検討会議」の委員の1人が、希望の党の公認候補として引っこ抜かれました。 そんなことで、築地再整備の議論が進むとは思えません。 今後の都政は苦しい選択を迫られます。 小池知事が派手にぶち上げた方針をどう収拾させるか。 辛抱強く撤退戦を続けるしかない。そんな時、「しんがり」を務めるはずの都知事は、都政そっちのけで国政選挙に邁進している。 首都のリーダーのすべきことだとは到底思えません。 私は都民にお約束をした政策を実現するため、今後は無所属議員として小池知事に是々非々で対峙していきます。 *** 現在発売中の「新潮45」11月号では「まやかしの政治ショー」と銘打って、“落選させたい政治家”を特集。 ラインナップは「『イケてる女』自意識から降りられない『山尾志桜里』」(山口真由)、「過大評価を真に受けてどうする『稲田朋美』」(古谷経衡)など。 ●音喜多駿(おときた・しゅん) 東京都議会議員1983年、東京生まれ。 早稲田大学政治経済学部卒。 一般企業を経て、13年に東京都議会議員選挙に初当選。 都民ファーストの会東京都議団・初代幹事長を務めた。 著書に『東京都の闇を暴く』など。 「新潮45」2017年11月号 掲載 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 18, 2017 08:00:34 PM
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