行福寺西門の白い塀周辺の紅葉が見事だ。
まさに七色に輝く紅葉となっている。
歩道には赤や黄色の落ち葉が意図的に置かれているみたいだ。
ふと「天竺」という言葉を思い出す。
子供の頃、足を西に向けて寝てはいけないと言われた。
祖母が言うには「お仏壇があるから」ということだった。
小学校の低学年の頃だったか、子供なりに考えた記憶がある。
なぜどの家も家の西に仏壇があるのか...?
おばあちゃんの家は熱心な日蓮宗でいつもお参りをしていた。
南無妙法蓮華経と書かれた太鼓を手に持って
ドンドコ叩いてお香を焚いて仏壇に向かって正座をしていた。
おばあちゃんの家に行くと最初に仏壇に手を合わせさせられた。
子供用の法華経の漫画があって、地獄とか極楽とか描かれていて
鬼子母神の話だとか三途の川だとかを読んだ覚えがある。
そこに天竺という場所が出てきて、そこに極楽があって
それはどうやら西の方にあるらしかった。
そうか、だから西に足を向けちゃいけないのか、と分かった。
僕がアジアに目覚めたルーツはそこにあるかもしれない。
それにプラスしてやっぱりビートルズなんだろうなあ。
高校生の頃、リアルタイムじゃないけどビートルズを聴いてて
友人は初期がいいとか後期がいいとか言ってたんだけど
カセットテープに好きな曲をベスト盤だとか言って録音してて
みんなジョージのインドっぽい曲は入れなかったんだけど
僕はジョージのインドっぽい曲ばかりを集めて聴いてたら
「何でWith in you,with out youなんて入れるの?」って感じで
おまけに部屋のインテリアもインド綿カーテンにして
サンダルウッドとかチャンダンのお香焚いて
ネパールの神様のお面なんか壁に掛けたり
ヒンドゥーの神様ポスターを貼ってたもんだから
通称「インド部屋」と呼ばれてたもんなあ。
ベリーくんがよく泊まりに来てたなあ。
あ、行福寺の紅葉の話だった。
その西門の紅葉はまるでインドっぽい極彩色、と思ったんだ。
でも行ってみたインドは茶色と灰色だった。
極彩色なのは女の人のサリーと、市場の香辛料だけだった。
灰色の土だらけでガンジスは茶色く濁ってて哀しい国だった。
そして行福寺の境内の四季桜は今や満開。