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私:下巻の巻末に、当時の東大教授の西義之氏の「解説」がある。
それによると、西氏は当時、東大新入生への推薦図書として、アンケートを求められると、司馬遼太郎の「坂の上の雲」とこの山田風太郎の「警視庁草紙」の2冊をあげているという。 いずれも、明治を扱っているが、「坂の上の雲」は日露戦争中心。 「警視庁草紙」は、西郷隆盛が征韓論で敗れ、薩摩に帰り、西南戦争が始まるあたりまでだね。 A氏:そうすると「坂の上の雲」が明治36年から37年前後で、「警視庁草紙」が明治5年頃から、西南戦争が始まる明治10年前後までの話が中心となるね。 私:作者が掘り出した中心人物も、「坂の上の雲」は児玉源太郎だが、「警視庁草紙」では、川路利良大警視だね。 A氏:司馬遼太郎に対し、山田風太郎が描くのは、いわゆる裏面史かね。 私:薩摩出身の大警視川路が、井上馨と対立しながら、各地の武士の新政府の反乱を陰で誘発させ、これを鎮圧するというのが、風太郎の筋書きだね。 A氏:たしかに廃刀令など、旧武士の新政府に対する不満は日本中にあったんだね。 そして、同じ手口で川路は最後に薩摩の反乱(西南戦争)を誘発させる。 A氏:ジョゼフ・フーシュだね。 私:その川路は結核だったらしく、フランスに視察に行くが、明治12年、帰りの船中で吐血して、帰国後、数日で46歳で亡くなる。 ところで、この本で西南戦争後の明治初期の2大事件として、大久保利通の暗殺と藤田組贋札事件をあげているね。
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Last updated
2010.01.11 18:47:26
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