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知的漫遊紀行

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Ryu-chan6708

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2010.02.22
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殺人者たちの午後

:この本は何かの書評から興味を持ち、図書館に予約して借りた。
 
  ところで、イギリスでは、死刑がない。
  殺人をしても最高刑は終身刑だ。
  これを英語でlifeという。
  正確にはlife imprisonmentだね。

  原書の題名は「LIFE  AFTER  LIFE」である。
  LIFEが2つあるが、前者のLIFE  は、通常の意味の「人生」とか「生活」の意味。
  後者のLIFEは、「終身刑」の意味だね。

A氏:そうすると、原題は「終身刑を受けた人のその後の人生」とでもなるのかね。

:そういうことだね。
  英語の副題が「Interviews with Twelve Murderers」とある。
  12人の殺人者に著者がインタビューしたものだね。

  原書は1990年に発行されているが、訳者のノンフィクション作家沢木耕太郎氏の訳が遅れていて、昨年に発行された。
  原著者のトニー・パーカーはインタビューのうまい人で、インタビューによる本を出しているが、1996年になくなっているという。

A氏:「殺人者たちの午後」という日本訳の題名は意訳だね。

:原書は12人の殺人者のインタビューだが、日本訳は10人だね。
  重複したような内容は削除したようだね。
  インタビューの焦点は、殺人そのものよりも、殺人後、終身刑を受けた人の生活を中心に質問しているね。
  イギリスでは、終身刑となっても、一生、刑務所にいるわけではない。
  刑務所内の生活状態を見て、釈放され、一般人と同じ生活をすることができる。
  ただし、一生、保護監察官の管理下にある。

A氏:転居しても報告し、海外旅行はできないわけか。

:結婚するときは、相手にすべてをうちあける義務がある。
  正規の就職には雇い主にすべてを報告する義務がある。
  制限は死ぬまで続く。

  インタビューを受けた人たちは、老若男女、バラエティがあり、終身刑を受けた後の人生も多様だね。
  長い間に、結婚した人もいる。
  逆に、自己にこもった人もいる。
  それなりに、「生きている」ね。
  殺人の動機もさまざまだが、かなり、突発的だね。
  テロリストとは違うね。

   死刑制度が問題になっている日本だが、死刑を受けなくなった殺人者たちの人生がどうなるのか、という事実をこの本は明確に示唆していると思うね。

   インタビュー記事だし、テープレコーダーから原稿にしたのだろうから、すべて会話調で、訳も平易で読みやすかった。

A氏:訳者の沢木耕太郎氏も、ノンフィクション作家だが、1960年、日本社会党委員長浅沼稲次郎を刺殺した17歳の少年山口二矢を描いた「テロルの決算」があるね。

:山口少年は、鑑別所で自殺する。

   沢木氏は、殺人者にはそれなりの報いがあるべきと考えていたというが、この本を訳して、死刑を宣告された人が、生きていれば、この本に書いてあるような、複雑で濃密な終身刑後の人生があったかもしれないと、複雑な心境をあとがきで書いているね。

  俺も、この本を読んでそう思ったね。
  人は「何故、それでも生きるのだろうか」という疑問は残るね。

 

 






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Last updated  2010.02.22 06:52:50
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