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A氏:題名も硬いし、東大出版会の出版だということなら専門書ではないの? 私:政治思想とは、平たく言えば「この国をどのようにしたらよいか、今のままでいいのか」という考えから始まり、今も日本政治は問われている。 A氏:江戸の政治思想には、朱子学の理解が欠かせないからね。 私:確かに読みやすく、タイムトラベルのようにミステリアスで歴史が面白くなるような本だね。 A氏:タイムトラベルができるのは、江戸時代の内外の文書が残っているからだね。 私:著者は、それを豊富に引用している。 A氏:武士の支配する徳川日本は、一方でキリスト教の西洋と対峙し、他方で、朱子学という高度な哲学体系で理論武装した中国と向き合っていたわけだね。 私:明国、清国では、科挙への解答は朱子学で行うようになり、王朝の正統哲学になり、官僚となり人民を導きたいという男たちは朱子学を学ばないといけないようになっていた。 A氏:徳川政権にはそういう政治官僚がいないね。 私:官僚制がなく、職業軍人である武士の組織がそのまま、統治組織だという珍しい組織構造だ。 A氏:武士の身分的なアイデンティティの危機だね。 私:最初、読書すら軽蔑していた武士が、次第に儒学を学びだすというのは、統治組織な意味を意識しだしからであろうか。 また、儒者には伊藤仁斎のように、朱子学を厳しく批判し、独自の新しい体系を構築した人も現れる。 A氏:伊藤仁斎の後、儒者新井白石が将軍の相談相手になるね。 私:儒者が統治に影響を与えるというのは徳川政権では異常なことだね。 明日は、朱子学から、国学への流れをみていこう。
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Last updated
2010.07.26 23:27:25
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