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私:明日24日はドイツの総選挙なので、新聞は昨日、今日と2日にわたって、ドイツ経済の課題を特集している。
1日目は、「生産デジタル化、競争力強化」として、欧州最大の経済国ドイツの好景気が続いていることにふれている。 競争力を高めている背景に「第4次産業革命」と呼ばれる生産工程などのデジタル化「インダストリー4・0」がある。 高度な自動生産設備を入れることで品質管理が向上し、割安でできるため、生産拠点を海外からドイツにもどす動きも出始めた。
A氏:カールスルーエ工科経済専門大学のシュテフェン・キンケル教授の試算によると、「インダストリー4・0」が広がったこの数年、東欧やアジアなどからドイツに生産を移す製造業は年間約500社に上るという。 ドイツの製造業の強みは、フォルクスワーゲンなどに代表される大企業だけでなく、独自技術で世界のニッチ市場で戦う中堅・中小企業の競争力にあり、それらの企業は「インダストリー4・0」の導入でさらに力を付けつつある。 「産学連携」も進んでいる。
私:GDPに占める製造業の割合は、フランスの11%や英国の10%に対し、ドイツは23%を占め、雇用面でも全体の約4分の1を支える。 失業率はEU内で2番目に低く、工業都市が国内各地に分散しており、ラストベルト(さびついた工業地帯)が生まれにくい。
A氏:米国の「トランプ現象」の背景にあったグローバル化による製造業の空洞化によるラストベルトもないし、日本のような「地方創生」の必要もないようだ。
私:5月のフランス大統領選での製造業の空洞化を背景に保護主義や反EUを訴えた右翼・国民戦線のルペン候補が「自国第一主義」で支持を集めたが、ドイツの経済構造は「自国第一主義」のうねりが起きにくい一因になっている。
ただ、「インダストリー4・0」の普及と同時に、労働者も将来はデジタル化に対応する技術を身につけないと、労働市場からはじき出されかねない。 キンケル教授は「技術を持たない労働者をどう教育するかは企業、政府ともに待ったなしの課題だ」という。
A氏:この記事の2日目は、「控える財政支出、不均衡招く」として、ドイツでまず、問題になっているのが、インフラの老朽化が進んでいることだとして、背景にあるドイツの財政健全化のこだわりにふれている。
私:インフラの老朽化の原因は政府が公共投資を控えてきたためだ。 背景にあるのは財政健全化に対するこだわりだ。 日本と大きな違いだね。
第1次世界大戦のときのインフレがナチス台頭を招き、東西ドイツ統合のときも財政赤字が膨らみ「欧州の病人」と呼ばれた時期もあったという歴史的反省がある。
A氏:しかし、これが国際的な摩擦を生み出す要因になっている。 ドイツが財政支出を呼び水に国内投資を活発化させれば、内需が拡大し、輸入も増えるが、現実は逆方向で、ドイツは16年過去最高の貿易黒字を記録している。 これは対ドイツの貿易赤字を抱える国が多いという「不均衡」になり、結果として保護主義的な風潮をリードしているという。
私:IMFも7月、対独の経済報告書で国内のインフラ投資などに財政余力を使うように求めたばかり。 しかし、明日に向けての総選挙では各党の選挙公約には投資拡大の視点は少ないという。
欧州最大の経済国が一人勝ちでは問題で、その国際的な役割が問われているというわけか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.09.23 19:35:16
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