相模湖の風

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• 寿命

  洗濯機の様子がヤバクなってきた。今にも壊れそうな気配である。あちこちのボタンを押しまくり、何とか昨日は無事に脱水までいったが、途中でエンストするのである。独り暮らしで洗濯物が少ないとはいえ、バスタオルやジーンズはとてもじゃないが絞れない。洗濯の工程の中でいちばん大変なことは絞ることだと気づいた。　私が小学生だった頃、伯父の家が村で初めて電気洗濯機を買った。それまでは手で洗っていたのが一槽式とはいえ、ぐるぐると回る洗濯物を見るだけで驚いた。絞るのは手回しのローラー式で、洗濯物がの詩歌のように平べったく出てくるのを見るのも面白かった。いつの間にか脱水機が付いた二槽式になり、今はほとんどが一槽式の全自動になってしまった。　今の洗濯機は杉並から持ってきたものだから、１５年以上になるかもしれない。家電の寿命は１０年というらしいからこれは致し方のないことだろう。テレビがデジタルになった時に買い替えたが、１０年以上の家電となると、各部屋のエアコン、冷蔵庫もそろそろ寿命かもしれない。そういえば去年はジャム作りのための買った冷凍庫２台とも買い替えた。パソコンは２台目だし、プリンターは３台目になる。　買うしかないのはわかっているが、買い物に行く時間がない。インターネットで買うにはちょっと勇気がいる。やはり実物を見て買わないと、毎日使うものだから心配である。この年の瀬に斗思うが、事態は待ってくれそうもない。洗濯機は本当に必要なものである。

  2017.12.21

• 夜の銀座

  みんなのスケジュール調整が難しいから「一週間早めのクリスマスディナーをしましょう」と娘夫婦から招待を受けた。１６日土曜日の午後７時から、場所は銀座の古窯である。自分の生まれた故郷、山形県を愛してやまない婿がふるさと納税をして、上山温泉の老舗旅館“古窯”が銀座で経営している料理屋の食事券を手に入れたのである。夜の銀座に出掛けるのはほんとうに久しぶりである。特に銀座と聞くと、それだけでワクワクしてくる。　さすがに銀座のクリスマスイルミネーションはあか抜けていて、歩ているだけで心が華やぐ。時々大声で交わされる中国語らしき早口の言葉が耳につくのは興醒めだが、しばらく来ないうちにビルも街の風景も様変わりをしていた。今年の4月にオープンした銀座最大の商業施設“銀座シックス”を横目で眺めながら、銀ブラを楽しんだ。“銀ブラ”なんて言葉、今どきの若者は知らないだろう。もう歩いているだけでテンションが上がってくるような気がする。毎日、田舎でジャムを作りながらウォーキングをしている私とは全く別の世界である。　お料理は最高においしかったし、帰宅後はいつものように三人マージャンをしたが、いつになく大勝をした。これが今年最後のマージャンなら気分よく新しい年を迎えることができる。「たまには勝たせてやらないと機嫌が悪くなるからなぁ」と婿が悔しがっていた。

  2017.12.17

• お正月休み

  　落ち着きなくせかせかと動き回っているが、今年も残りわずかとなった。ようやくお歳暮の出荷もほぼ終わり、都内での仕事も今週と来週の２回出勤で終わりになる。残っているのは恒例の餅つき行事だけであるが、その前にいちばん苦手とする家じゅうの掃除という大仕事がある。これは考えただけで気が滅入ってくるが誰か手伝ってくれる人はいないだろうか。この掃除の問題さえ片付けば、心おきなく正月を迎えることができるのに…。　３０日に餅つきが終われば、３１日から大阪の従妹の家に行くことになっている。毎年、餅つきの後でくたくたに疲れ果て、それでも形ばかりのおせち料理を作るのだが、今年はその料理作りから解放されるのでホッとしている。気分が楽ちんなのである。８１歳の従妹と一緒に過ごすお正月はこれが最後になるかもしれない。２日は京都に住んでいる弟と一緒にお寺巡りをし、３日は大好きな奈良を独りで満喫してくる予定である。自分で言うのもなんだが、一生懸命働いた自分へのご褒美である。　そうすると、後は家の掃除をするだけなのであるが、そこだけがねェ…。

  2017.12.14

• この年の瀬に

  今年もいよいよ残り少なくなり、そろそろ年賀状を書き始めなくてはと気が焦る。１１月も２０日を過ぎると喪中のハガキが届き始めたが、ほとんどが同世代の知人のお父様やお母様で、年齢も９０歳を超えた人が多く、これは致し方のない現象である。その中に１通だけ、４９歳の娘さんを癌で亡くしたというハガキがあり、子供に先立たれる親の心情を察して胸が痛んだ。時には親子喧嘩をしたり、うっとうしい思いをしたりすることもあるが、生きていればこそである。　いつものウォーキングコースの中に、ご夫婦でやっている理髪屋さんがある。「高齢者の方は送迎もします」という張り紙があり、４年前に椅子から落ちて大怪我をしたときに一度だけ利用したことがある。ご主人は田舎では珍しい金髪頭で、アマチュアバンドを結成してドラムを担当していると聞いて納得した。近くの小学校の鼓笛隊の指導やＰＴＡ活動など地域活動にも熱心で、体育の日の地域運動会にも出席していたと聞いた。その人が事故か自殺かは定かではないが、突然亡くなったらしい。先週の土曜日にはいつも「野菜をとりにいらっしゃい」と電話をくださる近所のおじいさんが、庭木の剪定作業中に梯子から転落して入院した。大腿部骨折で手術をしたらしいが、８８歳という年齢を考えると術後のリハビリで元の状態に戻れるかと心配している。落ち着いたら見舞いに行かなくては…。　そして富岡八幡宮のあの大事件である。神様に仕える身でありながら、あのような凄惨な事件を起こすなんて信じられないの一言である。神に仕える身とはいえども人間であることには間違いがなく、宮司の立場を巡っての骨肉の争いらしいが、人間の欲望の深さは想像を絶するものらしい。　こんな時こそ、心を落ち着けて毎日を慎重に丁寧に暮らしていこう。

  2017.12.10

• 初氷

  今朝、9時前にごみを出しに行ったとき、水たまりに今年の冬初めての氷が張っていた。初霜はすでに見ていたが、氷が張っているのを見たのはこれが初めてである。北海道をはじめ一部の地域では例年にない積雪量であるというニュースが報じられているが、相模湖は穏やかな日が続いている。とはいえ、今年最大の冷え込みだそうで、今朝は畑が霜で真っ白になっていた。ウォーキング友達と「去年の寒さはどうだったんだろう」という話になり、彼女が私の去年のブログを読み返してみると、去年は11月26日に初雪が降り、それは57年ぶりだと書いてあったそうである。57年ぶりの11月の初雪なんて、相当興奮していたらしいが、きれいに忘れ去っている。　週1で都内の仕事に出かける時は7時28分発のバスに乗るため、朝6時に目覚まし時計をセットして寝ることにしている。だんだんと日照時間が短くなり、日の暮れも早いが、朝も6時では夜が明けきらなくて薄暗い。これって結構気持ちが凹むのである。電気を点けて出かける準備をするのは辛い。「夏の朝、5時前に畑に出て、お日様が昇るのを眺めながらタバコを吸うなんんて最高の気分だよ」と近所のおじさんはいうが、5時なんて私は熟睡中である。早起きのおじさんは冬でも5時に起きるのだろうか。冬の朝5時は真っ暗だろう。何してるのかなぁと他人事ながら気になる。　今年はまだガスストーブを出していないが、すでに湯タンポは使っている。去年婿がプレゼントしてくれた布団乾燥機で、寝る前に温風を30分セットすればぬくぬくのあったか気分で、毎晩幸せを感じている。一昨日はいただき物の酒粕と鮭でかす汁を作った。健康を考えれば体を冷やさないことが何よりも大切らしい。あったかいスープと湯たんぽ、布団乾燥機で今年も冬の寒さと戦おう。

  2017.12.07

• いつの間に

  　相模湖へ引っ越してきてから１１回目の冬を迎える。当然のことながら５８歳から６９歳になり、寄る年波には抗えない。もっとも、私自身は年を隠して若く見せたいと思ったこともなく、年相応に老けていくのは自然なことだと受け入れている。引っ越してきた当時、小学５年生だった二人の孫息子は大学生になり、もう一人は今年大学受験の年を迎え、保育園児だった孫娘は中学２年生になった。孫娘が小学生だった頃は「仕事で帰りが遅くなる」と娘から電話が入ると、杉並まで出向いて夕食を作ったり、留守番をした。体の弱かった孫娘の入院の時にも見舞いに行ったり、自宅でパパや孫息子の面倒を見たこともあった。忙しかったが、自分の役目（孫の見守り）があり、頼りにされると喜んで手伝いに行っていた。　　だんだんと孫たちも大きくなり、母親がいなくても自分たちで留守番ができるようになってきた。昔と違って冷凍食品や電子レンジ等の機器も発達してきたこともあって、食事の心配もしなくてもいいようになってきた。娘の家の周辺徒歩１０分以内にはコンビニが１０か所、スーパーマーケットが３か所もあるのだから、お金さえあれば困ることはない。「孫の世話をやいていられるのは、せいぜい小学生のあいだだけよ」と、よく聞いていたがその通りである。　先日、娘から「忘年会で遅くなるので、塾までお迎えに行ってくれないか」と電話があった。久しぶりの出番なので張り切って出かけた。都内での仕事が終わった後、お買い物をして夕食のカレーを作り、お兄ちゃんと一緒に食べ、地図を見ながら塾へと迎えに行った。帰り道は途中のコンビニでアツアツの肉まんを買い、孫は食べながらいろいろなことを教えてくれる。暗い夜道ではあるが都心なので車の往来が多い。歩道を歩いていても危ないからと、中学２年の孫娘はいつも車道側を歩いて私を守ってくれる。家族そろって出かけたときは、いつの間にか孫のうちの誰か一人が私に張り付いている。「それは阿吽の呼吸で、誰かがいなくなると代わりに誰かがついていることになってるの」と言われた。いつの間にか、私は守る側から守られる側になってしまっている。粛々と滞りなく、老化は進んでいっているらしい。

  2017.12.03

• 急かされる

  今日は１１月３０日、明日から師走である。今年も残すところあとわずかとなってしまった。もともとせっかちな性分なので師走と耳にするだけで余計に気が急く。都会はすでにイルミネーションで華やかに彩られ、クリスマスやお正月を迎えるための準備万端状態である。ジャム作りも一段落してあずみ野へのリンゴ狩りにも行けたし、お歳暮の発送も終わった。明日からはもう一つの仕事の関係先に年末の挨拶に回ろうかと思いつつ、「これはちょっと早過ぎるかな？」と思わないでもない。　こんな時は深呼吸をして落ち着いてと思うのだが、頭の中ではあれこれと片づけなければならないことがとっ散らかっている。家の掃除もしなければと思いつつ、後回しになっている。アァ～、こうやって日々が過ぎ、年を重ねていくのかとため息が出る。こんなに片づけがうまくできないのは、もしかして最近よく言われる“大人の発達障害”というものではなかろうかと、都合のよいことばかり考えている。　欲張るわけではないが、もう少しだけ整理整頓能力があったらと想像してみる。そしたら違った人生になってるかもしれないと思いつつ、片づけられない理由を自分の怠惰な性格と認めたくないがゆえにじたばたしているのであろう。まったくお粗末な次第である。

  2017.11.30

• 誰のため？

  　お手伝いをしている高齢者施設で入居者の喜ぶことをしたいと思いつき、お手玉を作ったり、ハーモニカを吹いて一緒に唄を歌ったりしていたが、もっと具体的なものはないかと考え続けていた。自分が年をとって施設で暮らすことになった時、どんなことがいちばんうれしいだろうかと考え、食い意地のはっている私なら「やっぱり美味しいものが食べたい」という結論に至った。最後の楽しみは食べることであるとよく言われるが、施設で暮らしている人は外へ出て自分の好きなものを選んで食べることはできない。外出するのにに介助が必要であるというだけでなく、食事に関しても嚥下（飲み込むこと）が困難な人もいて、普通食だけでなく刻み食やミキサー食など、施設の食形態はさまざまである。　前のブログでも書いたが、スープなら誰でもが食べられると思いついたのである。先々週は施設でサツマイモスープを試作した。まずは施設のスタッフに試食をしてもらい、「とても美味しい」とほめられたので、すっかりノリノリ気分である。　スープ作りをレクレーションメニューにして、参加を希望する入所者にもお手伝いをしてもらうようにということになった。お手伝いができなくても、車椅子でスープ作りをみてもらうことにより、包丁の音や物の煮える音や匂いを感じてもらえれば、それだけで食欲がわく（元気が出る）かもしれない。思い込みが強いから良いことばかりが浮かび上がるが、全く期待外れの結果になることもあるだろう。　ということで、しばらくは自宅でスープ作りの試作が続くだろう。先週はジャガイモとブロッコリーを使い、きれいな緑色のポタージュを作った。１２月はクリスマスカラーのスープが良いだろうと人参とトマト缶を使い、いつものようにバターだけでなくオリーブオイルとニンニクを入れてきれいな赤いスープを作ったら、美味しさだけでなく目でも楽しめた。お年寄りのためにと言いながら、結局は自分の楽しみのためかもしれないと気付いて笑ってしまった。

  2017.11.26

• 一区切り

  明日はあづみ野にリンゴ狩りに行くので１日早いブログの更新である。午後からお天気が怪しくなり雨が降り始めたので明日の天気が心配である。　ようやく歳暮用ジャムの箱詰めが終わった。後は宅配業者の人に頼んで集荷してもらえば、今年の大仕事は何とか一区切りがつく。もともとせっかちな性分なのに、年々その傾向が強くなってくる。約束した仕事だけに限らず、お金の支払いについてはなおのことである。ジャムの原材料やビンやその他の資材を注文した後の支払いもできるだけ早く入金する。よほどのことがない限りはカードで買い物をすることもしない。できるだけその場ですぐに決着をつけてしまわないと、いきなり倒れて病院に運ばれたり、事故に遭って意識がなくなって迷惑をかけてはいけないと思うからである。何にしてもいくらでもない金額ではあるのだが、支払っていないことが気にかかるのである。　年末の大仕事も終わり、郵便局へ行って年賀はがきと年賀切手を買い求めた。寒さも真冬並みになってきて、年末ムードも徐々に盛り上がっている。今年残っている行事は餅つきだけである。その餅つきも今回でなんと３９回目である。ということは、３０歳から続いているということになる。来年の４０回目はほんとの区切りになるかもしれない。

  2017.11.22

• ほんとうは何やさん？

  本業は手作りのジャムを作っているのが私の仕事と認識している。今はリンゴジャム作りをしながらお歳暮の準備にてんやわんやの毎日である。１２月１日必着で作業をしているので１年中でいちばん忙しい季節である。　にも関わらず、今月はあるところからりんごジャム作りを教えてもらいたいと依頼があり、リンゴと無農薬のレモン果汁や麦芽水あめ、ハンドミキサーなどの道具も持参で行ってきた。幸いなことに送り迎えをしてもらったので助かったが、慌ただしい１日だった。。　先週の金曜日は今行っている施設でスープ作りをしようと企画を出し、まずは試作をしようということになった。いただき物のサツマイモを送り、当日はほかの食材の買い出しにも行った。サツマイモがたくさんあったので、ついでに芋羊羹も作ろうということになり、まずはスープ作りをし、芋羊羹も作った。幸いなことに美味しいスープができて喜ばれたので、スープ作りは入所している利用者と一緒にレクレーションメニューとして継続することになった。　３週目はしばらくお休みをしていたコンプライアンスアドバイザーの仕事も入れ、施設のケアスタッフから「久しぶりですね。どうしていらっしゃたのですか？」ときかれた。　自分でもいったい何者なのかわからないくらいである。こんなことをしていて一体何の役に立っているんだろうと思いながら、走り続けている。

  2017.11.19

• 進化したこと

  　私も含め、私以上の年齢の女性が集まると必ず出てくるのが認知症の話題である。これまでも親の介護の話の中で出てきてはいたが、最近になって自分の連れ合いや友人、知人、親類などに必ず一人くらいは認知症で悩んでいる人がいて、直近の話題として避けることができなくなってきた。「連れ合いの物忘れがひどくなり怒りっぽくなった」とか、「○○さんの旦那さんは週に何回かデイサービスやデイケアに通っている」、「知人の○○さんが認知症で家で介護できなくなって施設に入った」等々、他人ごとではなくなってきそうな気配である。久しぶりに訪れた高齢者施設では、ケアスタッフに「来週からあなたと同じ年の人がデイケアに通ってくる」と聞かされて、改めて自分もそんな年になってきたのだと思った。　人よりは少し早く５８歳で現役の仕事を片付けて田舎暮らしを始めた。無添加手作りのジャムを作って細々と生計を立てているが、一線の仕事を退いて早くも１０年以上が過ぎた。１０年の間に体力、気力、記憶力などが年相応に衰えてきているが、これは抗いがたいことだと受け入れるしかない。しかし、この１０年の間には退化したことばかりではないだろう。何か進化したこともあるに違いないと、一人でウォーキングをしながら考えてみた。　いちばんはじめに思いついたのは料理のことである。認知症が進んで、今は私のこともわからなくなっている裏のおばぁちゃんが教えてくれたことに、ヨモギを摘んでお団子を作ったり、小豆を煮て餡子を作っておはぎを作ったこと。梅干しの漬け方なども教えてもらったし、都会ではお目にかかれない野菜の食べ方や保存方法も習った。猫の額のような裏庭に春はジャガイモを植え、夏になったらトマトやナスやピーマンを植えてままごとのようなお百姓もした。できたトマトで自家製のトマトソースを作り、いただいたカボチャやトウモロコシでスープを作った。無農薬の柚子やカボスをもらったら絞って冷凍保存をし、必要な時に解凍して出汁醤油と合わせてポン酢を作り、今では市販のものを買ったことがない。これこそが私の進化した部分である。これからはスープ作りに精進し、誰かの役に立ちたいと思っている。進化しているところが一つでも見つかって良かった。

  2017.11.16

• 続くかな？

  最近、高齢者の食についていろいろと考えることが多くなった。在宅で介護を受けている高齢者では低栄養状態の人が多いらしいが、栄養士がついているわけでもなく、その人のこれまでの食生活もあるのでそこのところはあまり気にならない。それに比べ、施設で介護を受けている人は、朝昼夕だけでなく３時のおやつも含め、栄養バランスやカロリー、塩分や糖分、温度までも計算された理想的な食生活を受けている。　しかし、自分の好きな時に好きなものを選んで食べるという自由はない。認知症で自分の判断がつかなくなったときは仕方がないとして、“おひとりさま在宅死”を願って、食い意地が張っている私にとって、最後の楽しみは好きなものを食べることに尽きる。これは私だけでなく、ほとんどの人がうなづいてくれる。今は自分の好きなものを自分で作って食べることができるが、それができなくなったら生きていく楽しみがなくなってしまうだろう。食べる量もさることながら、飲み込みができなくなる（嚥下障害）と、刻み食やミキサー食になってしまう。原型のわからないミキサー食を食べている人を見ていると、この先老いていく自分のことと重なってなんだか切なくなってきてしまう。　そこで私が考えたのはスープ作りである。スープなら誰でもが食べられる。私は毎年夏の間、近所の人から頂いたトウモロコシやカボチャ、トマト等のスープを作り置き、冷たくしたり温めたりして楽しんでいる。夏の間の水分と塩分、栄養の補給だけでなく、お客様にも喜ばれている。季節の野菜を煮込み、ミキサーやブレンダーで撹拌して滑らかにしてから牛乳か豆乳を加えて濾すことにより、間違いなく美味しいスープができる。施設で暮らす高齢者だけでなく、近い将来の自分のためにまじめにスープ作りに取り組んでいく決心をした。早速ネットでスープの本を注文した。そしてこれまで自分で作ったスープのレシピを詳細に書きながら再現している。まずはたくさんいただいたサツマイモのスープを作り、近所のお友達に試食してもらった。しばらくはスープ作りが続くだろうが、試食している人がいてくれるのはありがたいことである。いつまで続くかと自分で自問自答しながら、注文したスープの本が来るのを待っている。

  2017.11.12

• ちょっとしたことで

  最近、フッとした瞬間に心が重くなっていることがある。その原因を探ってみると必ず思い当たることがあるので、原因不明の軽い鬱状態が続くことがないから深刻には捉えていない。いつの頃からかわからないが、こんな状態が頻繁に起こっていることに気付いた。今までならさして気にならなかったことや、気づいても平気でいられたような小さな心配事に過剰に反応してしまうのである。体力や気力の衰えを日々実感して自信を無くしつつある年のせいかもしれないし、心が弱っているからかもしれない。　最近、ネット上では「心が病む」という言葉をよく目にする。病むまではいかなくても放置していると不安感が増して情緒不安定になるので、自覚して修正しようと思っている。いずれにしても仕事をしているときや人に会っているときは忘れているので、大したことではないのだ。落ち込んでいる原因が分かれば、それに気づいただけでも気が晴れる。　これもネット上で「人生は死ぬまでの暇つぶし」というのを目にしたことがある。ここまでの悟りの境地に行かなくても、「これくらいのことでは死なない」くらいの図太さや開き直りの気持ちがあればが楽になれる。それにしても一線の仕事を退き、自分でなければという存在感や役割を終えてからも、心穏やかに機嫌よく生きていくのは難しい。だからと言って、あえて自分から修羅場へ飛び込んで苦労を引き受ける勇気もない。長生きするのは難しいなぁ。

  2017.11.09

• 久しぶりの来客

  相模湖へ引っ越してきた時は孫たちも小さかったので、毎週のように娘や息子の家族がきて、土曜か日曜日は総勢９人の食事作りをするのが当たり前のようだった。家族だけでなく友人たちも田舎暮らしを始めた私の暮らしぶりに興味を持って、入れ替わり立ち代わり訪ねてきてくれた。孫が中学生になると部活や塾で忙しくなってだんだんと足が遠のき、友人も年をとって動きが鈍くなり、いちばんの仲良しのジジフレンドも亡くなってしまった。　そして１０年も過ぎると今度は自分自身が客疲れを感じるようになり、今では年末の餅つき以外は自分の方から「遊びにいらっしゃい」と声をかけることをしなくなった。来客があると張り切って料理をしてもてなすのが好きだったのに、その気力が衰えたのである。お客様が来る前に家の掃除をし、食材の買い出しや後片付けを考えると、気軽には声をかけられなくなってきた。とはいえ、今回のように「行ってもいいですか？」と言われると断れないのは気の弱いところである。　昨日は「エプロンを持っていってお手伝いをしますから餃子を作ってください」とリクエストされ、前日からポテトサラダ、筑前煮を作っておいた。餃子は野菜を刻んでおいて餡を作るところから始まり、３人で包んでホットプレートで焼いた。そのほかにも野菜サラダと食用菊の酢の物、芋がらの煮物、卵のスープも出して大喜びされた。生まれつきのお調子者であるから、ほめられるとすぐにその気になって、帰りには餃子の餡と煮物を容器に入れて保冷剤をつけ、近所のおじさんが持ってきてくれた野菜と一緒にお土産を持たせた。「次は会費制で女子会をしましょう。お料理教室でもいいです」といわれ、「そんなあるの～」と思いつつ、バスの窓から機嫌よく手を振って帰っていく二人を眺めた。

  2017.11.05

• 都会の夜

  先日浅草に住んでいる知人に用があり、久しぶりに浅草へ行った。杉並に住んでいる頃は大阪の母が来たり、友人が来るたびに浅草を案内して喜ばれた。その知人が割烹料理屋さんをしていたので（板前さん）足しげく通ったが、１０年前に田舎住まいになってからは行くことも少なくなっていた。　仕事で関係している高齢者施設の入居者のためにスープ作りを思いたち、その人が料理の前に少しだけ季節のスープを出していて、それがとても美味しかったのでレシピを教えてもらいに来たのである。「板前さんにそんな秘密のレシピを訊くものではない」と、お叱りを受けたこともあるが、彼はそんなことは気にせず私に訊かれると惜しげもなく丁寧に教えてくれる。私の料理がおいしいとほめられるのはひとえに彼のおかげである。私自身も自分のジャムのレシピを訊かれるとすぐに教える。同じ材料と作り方でも、作る人によって全く同じものは作れないのを知っているから…。　浅草の仲見世を通り抜け、吾妻橋を渡ってアサヒビール本社ビルの隣にある金色の雲のようなオブジェのあるビルの最上階レストランで食事をしながらいろいろと教えてもらった。目の前には浅草の街の灯りが広がり、すぐ下を隅田川を行く船が見え、右側には高速道路を走る車のテールランプが帯状に流れ、斜め後ろにはなんとスカイツリーがそびえたっていた。料理はイタリアンだったが、「何よりここはビールがうまい」ということである。都内に住んでいた頃は高層ビルからの眺めに特に感動することもなかったが、１０年ぶりの浅草の夜景に心が震えるような思いがした。夏の終わりに新宿の高層ホテルの最上階で食事をした時も久しぶりに感動したが、今回は何よりスカイツリーが手の届くような位置で見えるのである。気分はすっかりお上りさんそのままであるが、やはりな毎日の暮らしは相模湖が良いと実感した。

  2017.11.02

• 雨の日曜日

  またまた季節外れの台風の接近で雨が降り続いている。台風シーズンはとっくに過ぎたというのに、日曜ごとに台風が来るなんてにわかに信じられないような出来事である。私の住んでいる地域自治体の公園掃除の当番が回ってきたのが３週間前。朝８時に公園に集合して草取りやごみ拾いをするのだが、３週間連続の雨で順延。まさか日曜日に３週間連続で雨が降るなんて思っていないので、１か月延ばしになってしまっている。来週お天気が回復したら次の当番の人と同時に作業をするのかな？　雨降りと都内への仕事で全くと言っていいほどウォーキングができない。運動不足もいいところである。全身の血の巡りだけでなく体中の体液が滞っているような気がする。買い物にも行けず、家にじっといる状況はジャム作りにはうってつけではあるが、こんな天気では掃除をする気にもなれない。来週の連休には来客もあるので掃除をしなければという焦りもあるのだが、この天気じゃ外へ出て窓ガラスをきれいにすることもできず、床磨きもできないとため息をつくばかり。　運動不足だからと言って食事制限をすることもないので、体重計が微妙に上昇しているのも腹立たしい限りである。台風が過ぎたら晴れるだろか？　お天気が回復したらグリーンカーテンにしていたゴーヤの葉っぱを始末して窓ガラスを吹いて、床を磨いて気分を一新しよう。

  2017.10.29

• 台風一過

  超大型台風が通過した。幸いなことに我が家にはなんの影響もなかったが、各地に大雨の被害が出た。なかでも土砂崩れの現場で車の中で溺死したというニュースは、私の生まれたすぐ近くの地域だったことだけでなく、年齢も６０代だったので、もしかして知っている人ではないかと現場の映像を見つめた。　私は田舎暮らしをしているが、運転免許は持っていない。週に一度は都内へ出稼ぎに行くが。出勤日も時間も割と自由にさせてもらっている。主には自宅でジャム作りをしているので免許を持っていなくても不自由だと思ったことはない。そのようなライフスタイルを選んだのだから…。出勤日はさすがに早起きをしてバスの時間に合わせるが、後は好きな時間に好きなように仕事をしたり出かけたりしている。車があれば移動する時間に制限がなくなり、移動空間が広がるかもしれないが、今の私にとってはその必要も感じない。少し年上の人が免許の書き換えに行き認知症のテストを受けたが及第点に届かず、ドクターの診断書を提出したらしい。雨の日や夜間に運転をするのが怖いと言いながら、いつも車で移動している人はその利便性ゆえにほとんどバスに乗らない。　自分で車が運転できれば、雨が降っても風が吹いても気軽に出かけることができ、ドアツードアで傘もいらない。私のように雨が降ったら外出をやめるということもないだろう。車が自分を守ってくれるという気持ちになるのかもしれないが、がけ崩れに遭ったり、水没したという事故の話をきくと運転免許を持ってなくてよかったと思うこともある。台風の日は雨戸を閉めて、テレビニュースを観ながら手の込んだ料理を作り、ひたすら嵐が遠ざかっていくのを待つばかり。これがいちばんの安全対策である。

  2017.10.26

• 台風と選挙

  １０月中旬を過ぎてから超大型台風が発生し、だんだんと関東地域にも接近してきているらしい。秋雨前線停滞のうえに、台風の影響で毎日のように雨が降り続いている。優しい雨でなく、風の音や雨音さえもしっかりと聞こえる。こんな日はどこへも行かずにジャム作りに専念できるのだが、今日は衆議院選挙の投票日である。投票所は徒歩１０分以上もかかる小学校である。今回の選挙は投票したいという人もないこともあり、棄権しようかどうか迷った挙句、友達の自動車に便乗させてもらって行ってきた。この悪天候の中でも投票所は想像していた以上に投票に来ていた人が多いのに驚いた。立候補した人はこの１票をありがたく思って、まじめに誠実に活躍してもらいたいと思う。　午後になってだんだんと雨脚が強くなってきているようで、テレビでは雨によるがけ崩れの予想や注意を呼び掛けている。しかし、テレビでは福岡県宗像市で行われている２０１７・プリンセス駅伝（全日本実業団女子駅伝予選会）の中継があり、これにはぶったまげた。台風の影響による延期はできなかったのでしょうか。走る人も応援する人も大変な状況である。もちろん主催者はもっと大変だろう。　今日はこれからの台風情報に加え、夜になると選挙速報の番組が始まる。テレビ局はおもちゃ箱をひっくり返したような状況だろう。そして、買っても負けても選挙が終わって後始末をして帰る人たちはもっとたいへんだろうと他人事ながら心配している。

  2017.10.22

• 雨の一日

  いきなり真冬のような寒い日が続き、大急ぎで冬物の洋服や下着、パジャマと毛布も出した。その寒さの原因は連日の雨。降り始めたら音もなく、しとしとと止み間なく降り続く。ジャム作りで忙しいこの頃は、雨が降ると「今日はジャム作りに専念しよう」と、覚悟が決まる。ジャム作りの作業ははかどるが、一歩も外へ出ないので気持ちが縮まってくるような気もする。何よりも困るのは運動不足。最近は都内へ仕事に出る機会が増えたこともあるうえに、連日の雨でウォーキングをする回数がずいぶん減っている。お天気の良い日は都内へ出る日以外は毎日歩いていたのに、先々週からは週に２回か３回になってきている。私にとっては由々しき問題である。　ジャム作りをしているときは雨が降ってもどうということはないが、特になにもない時に雨が降り続くと気分が落ち込んでくる。外へ出られないと思うだけで閉じ込められた気分になる。よくよく落ち着きのない雑な性格である。年相応に落ち着いて取り組めるような趣味を見つけられればと思うが、私の心をときめかせるようなものに出くわさない。だけど、本当にしたいことが一つだけある。それは自分の服を作ることであるが、生まれついての不器用さを自覚しているので無理。　ところがつい最近、なんでも手作りをするのが楽しみだという人と知り合った。着なくなった着物をリフォームして洋服やのれん、かばんや小物に作り替えたり、残り布を継ぎ合わせたエプロンなんかは最高の出来栄えである。少しづつ教えてもらえればと心の中で期待している。そうなってくると雨の日も楽しみになってくるかもしれない。

  2017.10.19

• 気分は師走

  今日は１０月１５日。あと２か月半で２０１７年は終わってしまう。話が早すぎると笑われそうだが、今朝いちばんの荷で安曇野からリンゴが届いた。いよいよお歳暮用のジャム作りが始まるのである。詰め合わせ用のブルーベリージャムとイチジクのコンポートは出来上がっているが、いちばんたくさんの数を必要とするリンゴジャムを作りながら、ラベル貼り、箱詰め、発送準備と目が回るような季節到来である。 　生まれつきせっかちな性分なので気が急くが、こんな時こそ深呼吸して落ち着き、焦らずにことを進めなければと、６９歳にしてようやく気付いてきた。若い頃と違って勢いだけで物事は前進しない。身の丈に合った体力や気力、これまでの経験を生かして、少しスピードは落ちてもていねいに仕事をしていきたいといつになくまじめに考えているこの頃である。と言いながら小さな失敗の連続で、我ながら懲りないなぁと苦笑する日もあるが…。　日没時間もだんだんと早くなって、４時にスタートするウォーキングは帰ってくる頃には薄暗いような感じになってきたので、次からは３時半スタートにしようということになった。木曜日は蒸し暑かったが、金曜日からは晩秋のような気候である。季節は容赦なく移ろっていく。そして私も来年は７０歳を迎えるんだという覚悟をしなくてはならない。今日は１日中雨が降っている。落ち着いて今年初めてのリンゴジャム作りを始めよう。

  2017.10.15

• 止まらない

  今年は栗の収穫量が少なく、値段もかなり高くなているたと聞いたが、ありがたいことに我が家には次々と食べきれないくらいの栗が届く。同時に採れたばかりの落花生もいただく。バターピーナツや炒った落花生は苦手だが、生の落花生を塩ゆでにしたのは大好きなのである。どちらも茹でるのに手間と時間はかかるが、季節的には短い期間のことである。いただくとすぐに塩ゆでにして冷蔵庫にストックしておくのだが、気が付くとテーブルに座って食べている。　自分で言うのもなんだが、まるで猿のようである。食べ始めると「食べ過ぎは厳禁」と自分を戒めながら、もう一つだけ、あと一つだけと止まらないのである。結局は皿が空になるまで食べてしまって後悔する。それでなくてもナッツ類はカロリーが高い。食べてしまったあと、後悔しながら恐る恐る体重計に乗って、自己嫌悪に陥るという繰り返しの日々が続いている。食欲の秋だけでも要注意なのに、大好物の栗と塩ゆで落花生のせいで、いくら歩いても体重計はびくともしない。ダイエットというほどのことはしないが、栗を食べる分を食事で摂取するカロリーを調整しているような有様である。　いただいた栗を前に食べ過ぎてしまわないようにと、栗が大好きは友達にメールをしたら「今年はあちこちの栗を取り寄せていて冷蔵庫で栗が唸っているような状態です」と返事が来た。仕方がないのでまたしても自分が食べようと茹でていたら、「やっぱり栗をください」というメールが再度届いて、栗に夢中になっているのは私だけじゃないんだと思い、大笑いをした。

  2017.10.12

• 何もない幸せ

  イチジクコンポート作りが終わり、リンゴジャム作りが始まるまで、今はほんの少しだけゆとりのある時期で、都内での仕事も一段落している。９月は週１の仕事が週２になり、イチジクのコンポート作り、仕事を兼ねての関西旅行もあって自分でも驚くほど動き回った。久しぶりに充実した気分で、まだまだやれるんだと自信がついた。　朝のコーヒー、好きなものを作って食べるひとりのランチ、午後は気に入りの椅子に座って数独をしたり本を読んだり、大好きな今剛の演奏するパラシュートのDVDを観ていると、「あ～、なんて幸せなんだろう」とため息が漏れる。なんでもないことが幸せだなんて、これまでそんな気持ちになったことがないので自分でも不思議な感情である。特に心配することもなく、穏やかな気持ちで過ごせるだけでありがたいと思うなんて、今までの自分では想像することもなかった心境である。海が凪いでいるような状態？ 若かった頃は何もないことが逆に不安になっていた時期もあったのに…。　先のことは予測できないが、いつもいつもこんな穏やかな日々は続くとは思えない。まだ遭遇していない困難な出来事を想像して無駄な不安感におびえることはないと思いつつ、何もない穏やかな日を淡々と過ごしている。

  2017.10.08

• もっと見ていたかった

  先週、いつもの通勤ルートではなく、国分寺で乗り換えて通勤快速で新宿まで行った。結構混んでいて座れなかったけど、ぎゅうぎゅう詰め状態でもなく新宿までノンストップなので迷わず乗り換えた。ふと斜め前を見ると、座席に座っていた２０代と思しき女性が化粧を始めた。車内で化粧をする人を見かけるのは、今のご時世では珍しい風景ではない。化粧水、ファンデーション、チーク、アイメイク、最後にルージュを引いてのフルコースを見ていると、疲れたすっぴんの女性がたちまち美女に変身する。化粧を落とせば素はあの顔になるということもわかって、その変わりようが面白い。　その女性は座った膝の上にメイク道具の入った大きな袋を置いて、次々と手品のように道具を取り出すのだが、今まで見たんこともないような入念さである。特にアイメイクには気合が入っているようで、何度も鏡をのぞき込みながら瞼に細い透明なテープを貼りつけるのだが、気にいらなくては剥がすということを繰り返す。ようやく気に入った場所にテープが貼りつくと、驚いたことに鞄の中からちいなさ鋏を取り出し、余ったテープの両端を切ろうとする。電車は揺れ動いているし、カーブもある。思わず「危ない」と声が出そうになったが、他の人は無関心なのでじっと我慢した。両目にテープを貼りつけるのにかなりの時間を要したが、それからはファンデーションを塗り、眉毛を書くと一気に化粧しました感が盛り上がる。次はどうするのか、最後はどんなになるのかと期待をしながら見ていると、電車は新宿に到着してしまった。　時間があれば最後まで見ていたかったが、会議の時間が迫っているので心残りな思いを抱いて新宿で降りた。まさしく使用前・使用後の変わりよう。男はみんな騙されているのだ。そういえば新婚旅行で初めてすっぴんを見せて驚かれたという友達の話を思い出して笑ってしまった。

  2017.10.05

• 秋

  今日から１０月。朝夕の肌寒さが感じられる季節になった。朝の通勤時、急いでバス停に行こうとすると金木犀の香りに気付いた。見上げると金色の小さな星形の花がこぼれるように咲いていた。金木犀は夜暗くて花が見えなくても、その香りで存在感を示す。まさしく秋を感じる季節の花である。　週１の都内での仕事が増えてきて、９月は週に２回も出勤することになってしまった。日没の時間が早くなってきたので娘に「うちで泊まればいいのに」と言われるが、最近は自分のベッド以外でなかなか寝付けないという現象が起きてきている。近所の友達には「私はいつも懐中電灯を持って出かける」と言われ、小さくても明るい懐中電灯を買わなければと思っている。　早起きをすることは何とか慣れてきたが、時として電車が遅れることがある。先週の水曜日は朝の７時に中央線・武蔵小金井で人身事故があって電車が遅れた。慌てて高尾駅で京王線に乗り換えて出勤したが、会議の時間には間に合わなかった。中央線は人身事故が多く、電車が遅れることが多いので都内から帰るときは京王線で高尾駅まで来ることにしている。中央線は東京駅発、京王線は新宿駅発なので座って帰れるだけでなく、乗車料金も中央線は５５０円、京王線は３６０円なのである。所要時間と乗り換えに要する体力を考慮しながら新宿・高尾間は行き来しているが、問題は高尾駅から相模湖までは１時間に２本の中央線しかないということである。相模湖へ引っ越してくるときは勤めるなんてことは考えなかったのだから仕方がないし、あと何年も今の仕事が続くのかわからないから仕方がないか。

  2017.10.01

• 思いがけない再会

  昨日、仕事の打ち合わせの席で２０年ぶりに再会した人がいる。ある人と一緒に高齢者施設見学に案内した時に名刺交換をしただけで、言ってみればすれ違っただけというような感じだった。３か月前の打ち合わせの時も同席したのだが、お互いにひょっとしたらと思いつつ口にしなかったのである。私もだが、お相手の方もそれなりに年を重ねてずいぶんと印象が違っている。話をしているうちに「あ～、やっぱりあの時の」とわかり、そのあとはすっかり意気投合した。２０年前はこんな風に気楽におしゃべりする人じゃなかったのにと驚いたが、初対面でもあり、他に人もいたので話をしなかったのだと思い出した。　施設見学に行った時に彼を紹介してくれた知り合いを通じて、私が事務所を閉めて田舎でジャムを作っていることは知っていた（彼にはお歳暮とお中元として私のジャムが届いている）らしいが、一度会ったきりなので顔は思い出せなかったらしい。こちらも初対面の時の印象とあまりにも違うので戸惑っていたが、ジャムをほめられてすっかりいい気になり、近いうちに相模湖の我が家にも行きたいという申し出を受けてしまった。設計事務所の代表で建築家である彼は、農業をしながら彫刻をしている私の知り合いをぜひ訪ねてみたいと思っていたらしい。晴耕雨刻（晴れた日は畑を耕し、雨の日は彫刻をする）の人にも長い間会っていないので訪ねていくのが楽しみである。長く生きていると思いがけない再会があり、そこから生まれる新しい喜びもある。ちょっと楽しみ。

  2017.09.28

• 信じられない

  大阪での所用のついでに、娘と二人で京都と奈良に駆け足で行ってきた。京都では伏見稲荷へ行き、坂本龍馬通りにある黄桜酒造の酒蔵レストランでランチをし、最後は平等院へ行ってきた。翌日は奈良の興福寺へ行きたいという娘の希望に応えて奈良へ。娘は弟（我が息子）に「これから奈良へ行きます」とライン、すぐに「奈良公園の鹿キックに注意。俺は尻を噛まれた」という返事があった。「母には鹿せんべいを持たせないようにします」などとやり取りがあり、「それにしてもどうすれば鹿に尻を噛まれるようなことになるのか理解できない」と二人で笑いあっているうちに、奈良公園入口で早くも鹿に遭遇。早速娘は鹿せんべいを購入し、すり寄ってきた若い鹿に１枚を与えた。それを見ていた鹿が次々に娘のところへ集まってきてせんべいをねだる。驚いた娘は順番にせんべいを与えようと焦っていたが、その時、最初にせんべいをもらった鹿が自分にくれないのでいきなり娘の尻に噛みついたのである。「キャー」と娘は持っていたせんべいをすべて手から落とした。それを目撃していた私は呆気に取られて、息子の言ったことを瞬時に理解したのである。　娘に「痛くなかった」と訊くと、「ぷにゅっと甘噛みされただけ」ということで大笑いになった。旅に出ると日常の暮らしでは想像できないようなハプニングに遭遇するが、鹿に噛まれるというような事態が起こるなんて信じられないことである。早速弟に「私も尻を噛まれた」と報告すると、「その鹿には俺もやられたから仕返しに噛み返してきてくれ」と返事があってさらに大笑い。　旅の思い出はいろいろあるが、「今回の旅のハイライトは奈良公園の鹿だね」と、何度思い出しても笑いを禁じ得ないのである。それにしても、鹿に尻を噛まれた娘と息子を持つ私ってすごく変？

  2017.09.24

• 初めての旅

  　明日の朝の新幹線で娘と二人大阪へ行くことになった。昨今は仲良し母娘が一緒に海外旅行やショッピング、ディナーを楽しんだりするらしいが、私にとっては初めての二人旅になる。年に何回かは一緒にコンサートやライブに行ったり、食事に行ったりすることはあるが、娘が大人になってからこんなに長い時間を二人で過ごすのは初めてかもしれない。　娘の仕事に同行することになったのだが、せっかくだから京都と奈良を少しだけでも観光しようということになった。京都には弟がいるので車を出しくれるという。一度は行ってみたかった平等院がいいのか、せっかくの京都だから金閣寺がいいのか、迷うところである。夜は大阪に暮らす従妹と食事をすることになっている。翌日は「奈良の興福寺に行きたいなぁ」と娘がいう。興福寺なら歩いて東大寺や春日大社にも行けるので、服装は迷わずジーンズにスニーカー。　初めての娘との旅行は楽しみである。季節的に秋を満喫するのは早いが、一緒に旅行できるだけでもうれしい。娘がいてよかったとしにじみ思う半面、自分の母には旅行にも連れて行ってやれなかったと、今になって後ろめたい思いがしてならない。親不孝な私はバチあたり？

  2017.09.20

• 沸点

  沸点とは簡単にいうと水が沸騰する温度で、単純に100度ということになる。人それぞれの捉え方にもよるが１００％、あるいはほぼ完全な状態ともいえるかもしれない。もともと物欲や執着心があまり強くないので他人と自分を比較して羨ましいと思ったり、落ち込んだりすることもない性格なのだ。人の羨むような結婚をして、豪邸に住み、ブランド品を身に着けてセレブな生活がしたいと思わないではないが、それが幸せだとは思わない。　命にかかわるような大病をしたわけでもなく、再起不能になるような天災や事故に遭ったわけでもないのだが、年とともに幸せの沸点が下がってきている。夜、ベッドに入ると「今日も無事に過ごすことができた」としみじみ有難く感じる。69歳になっても元気に仕事ができ、その仕事によって人に喜んでもらえることもある。食べたいものを自分で作って食べたいときに食べたい分だけ食べ、気が向いたらウォーキングに行き、季節の移り変わりを感じながら歩く。先日は友人と山道を歩いて栗を拾い、蛇に驚き、田舎暮らしの楽しさを笑いあった。24時間はすべて自分の好きなように使える。仕事をするには時間的に多少の制限はあるにしても、休むのも自分次第。　時々、夕飯を食べながら「こんなに幸せでいいのだろうか」と思うこともある。幸せの沸点をどこに決めるかは自分次第である。

  2017.09.17

• 新しいい試み

  週に１度の仕事をしている中で、新しいホームページを作る打ち合わせに参加した。ホームページ作りやその利用の仕方も、大きく変わっているのには驚いた。パソコンだけでなく、スマホでもすぐに情報が得られる時代に対応するようにというのが当たり前になってきている。スマホ恐るべし。情報提供だけでなく、情報を得るということについても考え直さなくてはいけない。　しばらく考えてきたことがある。ブログの内容を短くすること。つまらないことをダラダラと書かないで、サッと書き記すだけにしてみようと思っている。要するにこのブログは、娘や息子が私の安否確認と認知症防止のために続けているだけで、わが一族の自己満足以外の何物でもない代物なのだ。　例えば雑誌のコラムのように、原稿用紙何枚・何文字までと制限すれば中身の濃いものができるかもしれない。もともと中身などないのだが…。料理も煮詰めれば美味しくなる。駄文でも凝縮すれば中身があるように見えるかもしれない。なんでもトライ。早速今日から始めてみよう。ほら、少し短くなったでしょう。

  2017.09.14

• てんてこ舞い

  今年の夏の悪天候は私の想像を超えていた。幸いにも野菜の高騰は私にはほとんど関係がないが、イチジクコンポートを作るための原料のイチジクの不作が深刻である。今年から仕入れ先をイチジクの栽培では有名で、国内でも出荷量が３番目に多いといわれる兵庫県川西市に変えた。５月には産地まで出向いて、ＪＡの人や加工業者に話を聞いてきたのである。ところが、この夏の悪天候で出荷量が例年に比べて４０％以上も減っているとのこと。東京は８月２０日以上の長雨で日照時間が極端に少なかったが、川西市では雨が少なく日照りが続いて実が大きくならなかっただけでなく、一気に熟してしまい、収穫するのに大わらわで、いつもは今が砕石なのに、すでにして収穫が終わってしまっているらしい。　それでも、私の希望した数量をやりくりして自分の取り分を減らしてまで送ってくれた人がいたので、何とか３分の２以上のコンポートを作ることができた。前回のブログでも書いたように、次々と送られてくる熟したイチジクの処理に手間取り、さらには都内での仕事も重なってパニック状態になってしまった。午後３時に届いたイチジクを剥き始めると、簡単な夕食をしても終わるのは９時を過ぎてしまう。そのうえ、週に一度出勤の都内での仕事も忙しくなり、こちらも代わりのいない仕事なので、無責任に休む訳にもいかなくなってきて、てんてこ舞い状態である。　イチジクのコンポート作りが終わったら落ち着くだろうと思いつつ、無理は承知で動き回っていたら、昨日の朝は「これはちょっとヤバイかも」というくらいの腰痛。ストレッチをしたりして何とか大事には至らなかったが、やはり年には勝てないと思った。そういえば6歳年上の親しいドクターからのメールに「短時間なら今まで通りどんなことでもやれますが、その後、元の状態に戻るのまでにずいぶん時間がかかるようになりました」とあったが、思わずその通りだと笑ってしまった。腰痛がひどくならないように、今日も元気でウォーキングに行こう。

  2017.09.10

• 待ったがきかない

  先週からイチジクのコンポート作りが始まった。今年は日本国中どこも天候が定まらず、野菜や果物の出来が良くない。今年からイチジクを仕入れする兵庫県川西市では例年よりも収穫量が大幅に減ったそうで、私の希望する量を確保するのは難しくなってきた。さらに天候不順で収穫量だけでなくイチジクの熟成スピードがまばらであるらしい。収穫しても熟成するスピードは止まらないので、収穫してすぐに冷蔵保存して送ってもらうのであるが、到着したと同時に皮むきを始めなければならない。ぐずぐずしているうちに熟れ過ぎて皮を剥いている間に潰れてしまうのである。待ったがきかないのである。ジャム作りの中でもいちばん手がかかるので、イチジクコンポート作りが始まると気が休まらない。　そして季節は収穫の秋なのである。頼んでおいた栗をわざわざ我が家まで届けてくれた人がいて、「おいくらですか？」と訊くと、「これは自分の山で採れたものだから差し上げます」という。大好きな山のウォーキングコースの途中の畑で知り合ったおじさんで、名前すら知らない人である。栗の入ったビニール袋を持ってみると３キロ近くはある。支払いを固辞するので、ジャムを差し上げた。年末の餅つきに栗と小豆を入れたおこわを蒸かすので、この栗を固ゆでして冷凍保存しておかなければならない。大急ぎで栗を茹で、夜なべ仕事で１１時を過ぎるまで栗の皮剥き（鬼皮と渋皮）をし、ジップロックに詰めて冷凍庫へ入れた。手が痺れるくらいたいへんな作業だった。翌朝は疲れ果てたので、６時半に起きて雨戸と玄関を開けて再びベッドへ。　８時半過ぎに起きてみると玄関にビニール袋が…。覗いてみると中味は栗。名前を書いた紙があったのでお礼の電話を入れると、「玄関のピンポンを鳴らしただけど出てこなかったので、ドアを開けておいておきました」ということだった。その音や気配すら気づかなかったのである。いただいた栗は半分友達に分けたが、その後イチジクが届いたので休む暇もなく薄皮を剥く作業を始めた。すでにして右腕は痺れ、肩まで痛くなってきたが、だからと言ってやめる訳にはいかない。毎年、この季節は同じようなことである。いつまで続けられるだろうかと思いつつ、働くおばさんは頑張るしかない。誰もほめてくれないので自分で自分をほめて、イチジクのコンポート作りが終わったらしばらくは休むことにしよう。

  2017.09.07

• 久しぶりの給食おばさん

  ５日前、大学生の孫から「相模湖プレジャーフォレストへ友達と一緒に遊びに行くんだけど帰りに寄ってもいい？」と電話があった。以前にも友達を連れてきたことがあるので、「いいよ、何時に来るの。ご飯はどうする」と訊くと、「作ってくれたらうれしい」という。「なにご飯」、「夕ご飯」、「友達と一緒って何人で来るの」、「４人」。思いがけない人数。４人の若者の夕ご飯、メニューが頭の中をぐるぐる回る。餃子にしようかと思ったが、帰ってくる時間が分からない。結局はチキンカレーとポテトサラダ、グリーンサラダにすることに決めた。久しぶりの給食のおばさん気分である。　今朝になって、「いま厚木で集合して、これから自動車で行くから家に車を置いて行ってもいい？」と電話が入った。今までは電車とバスを乗り継ぎ、ある時は駅から友達と二人で１時間近くかかって歩いてきたこともあったし、国立の自宅から自転車で来たこともたびたびあった。それが今や友達と一緒に自動車で来るなんて…。すっかり大人になったのだと感心する。　１０時過ぎに４人の若者が軽自動車で現れた。駐車料金節約のため、我が家に車を置いてプレジャーフォレストまで歩いていくとのこと。まずはコーヒーと紅茶を淹れて、クラッカーとジャムを出した。私自身も年齢に関係なく人付き合いをする方であるが、みんな親類の家に来たみたいに緊張も遠慮もせず、ごくごく普通にいろいろな話をしてくれる。今の若い人は人見知りをしないんだなぁと思う反面、大学を出て就職したときに、このままだったらちょっと困るかなといらぬ心配もしてしまう。　昨日からイチジクのコンポート作りが始まったので、忙しいときは忙しいことが重なると思いつつ、まだ私にも誰かから必要とされている役割があるのだと自信がついた。これからイチジクのコンポートを作り、早めの夕食に支度をしなくては…。

  2017.09.03

• そこここに

  　今日は８月３１日。８月初旬から中旬にかけての長雨の後、ぶり返した猛暑に体も気持ちもついていけなくてあたふたとしていたが、今日は朝から曇り空で、赤からずっと室内温度は２４．５℃。半袖Ｔシャツではちょっと肌寒いような感じである。いきなりの秋？　近頃は午後４時半出発のウォーキングで、ちょっと遠出をするとお天気のせいもあるが帰りはうっすらと暮れかけているときがある。「確実に日が短くなってきたねぇ」と言いながら、それでも流れる汗を拭きながら歩いている。お盆を過ぎたあたりから畑には赤トンボが飛び始めた。暑い中にもそこここに秋の気配が感じられるこの頃である。息子曰く「トンボは獰猛だから、虫をたくさん食べるんだよ」と言っていた。赤トンボといえば「夕焼け小焼けの赤トンボ負われてみたのはいつの日か」という童謡の儚いイメージが強いが、ほんとは力強い生き物だったんだ。天候不順で野菜の値段が高騰しているらしいが、近所のおじさんが食べきれないくらいの野菜を届けてくれて困っている。私の植えたミニトマトもゴーヤもいまだに成り続けている。娘に電話をして「野菜を送ろうか」と訊いてみたが、連日残業で料理を作っている時間がないと断られた。料理の好きそうな友達に電話をすると「お金を出してでもほしいからすぐに送って」と言われ、何とか片付いた。都内のスーパーではキュウリが１本６０円もするらしい。　そろそろ栗のイガが色づき始め、口が開きそうな気配である。大好きな栗拾いの季節である。先週には山形のダダ茶豆が届いたので、ズンダのあんこを作って冷凍保存をした。栗は固ゆでをして年末の餅つきの時に栗おこわを作るため保存しておかなければならない。歩いていると小さな緑色の樫の実が落ちている。そろそろ彼岸花も咲き始めるだろう。暑さ寒さも彼岸までとは言うが、気温が下がってくると一気に秋から冬へと思いはつながり、１年が過ぎていくの早いなぁと思うのである。

  2017.08.31

• 体力と時間の分配

  ２５日金曜日の夜、娘とギターマンのライブに行ってきた。本来の目的はギターマンのライブへ行きたいというのではなく、ギタリスト今剛の生演奏の姿が見たいためである。指定席のチケットが取れなかったので、「この年で立ち見をする気力と体力に自信がない」という理由で諦めていたが、指定席のキャンセルがありましたという連絡があり、急遽行くことになった。場所は鶯谷駅のすく近くにある東京キネマ倶楽部。もとはダンスホールだったという超レトロというか不思議な感じのなライブハウスである。　当日は２部構成になっており、１部は山本恭二と満園庄一郎・英二のハードロックの幕開け。山本恭二が出てきた時点でほとんどの人が立ちあがり、そのあとは踊りっぱなしのノリノリの展開。私たちの指定席は１階の最後部だったのですぐ後ろは立見席。振り向くと驚いたことに小さな椅子持参で、杖を持っている私と同年配の女性がいた。斜め前の立見席には明らかに私より年上と思しき白髪姿の女性も、初めから踊り狂っていた。スペシャルゲストはなんと元力士のコニシキ。私はもっぱら娘の持ってきてくれたオペラグラスで今剛の演奏する姿を追い続けた。１年ぶりに今剛の生演奏姿を堪能して満足したが、いつもは演奏の合間にシャンパンを飲んでいる今さんが、珍しくペットボトルの水を飲んでいたり、演奏をやめて舞台の袖で煙草をふかしていた。見ている私が疲れているのだから、演奏する人たちはもっと大変だなぁと思ったが、ライブに来た人は最高の時間だったに違いない。７時から始まったライブが終わったのは１０時過ぎ。　遅い食事をしながら「もう来年は無理かもしれないなぁ」というと、娘が驚いた顔をしていた。その日は都内での仕事があったので朝早くから家を出て渋谷、西台、代田橋と動き回り、体力の消耗が大きかったこともあるが、大好きな遊びにも陰りが出てきたのかも。気を取り直して「もう１年、７０歳までは頑張って遊ぼう」という結論に至った。機嫌よく生きるためには、お金だけではなく時間と体力の分配も大切なことであると悟った夜だった。年をとってから機嫌よく遊び続けるのもたいへんなことである。

  2017.08.27

• あまりにも呆気ない

  物干し場の死角の壁面に発見したスズメバチの巣。田舎暮らしを始めて１０年目に遭遇した緊急事態。ムカデや蛇の出現は想定内のことだったが、スズメバチの巣にはさすがの私もうろたえた。息子に連絡をして来てもらったが、素人の手には負えずに役所に電話をして業者に手配をしてもらった。今年はスズメバチ駆除依頼の件数が多く、私が希望する土曜日は予約がいっぱいで時間がなく、結局来てくれたのが月曜日の朝の１０時。発見してからほぼ２週間後になった。　その間、スズメバチに襲われるかもしてないという恐怖心で洗濯物は干せなかったが、８月に入ってから雨と曇り空が続いていたのでもっぱら室内干し。怖いもの見たさに時々覗いてみると、順調に巣は大きく育っていっている。巣に出入りする大きなスズメバチの数が増え、羽音も聞こえる。　月曜日の朝の１０時に現れたスズメバチの駆除業者は２０代と思しき男性がたった一人。顔面を覆うための網マスクもせず防護服（？）も着けず、いきなり殺虫スプレーを使いだした。息子の買ってきたものとは違い、大きさも噴射力も業者仕様のものだけあってすごい勢いである。見ていると電話がかかってきたので対応していると、５分もしないうちにビニール袋を抱えた業者の人が２階から降りてきた。急いで電話を切り、「もう終わったのですか？」と訊くと「はい、終わりました」とのこと。「何か書類を書くとか、作業確認の署名とか押印とかは必要ないんですか」と訊くと、「作業の前と後に写真を撮ってありますから必要ないです」と、淡々と帰り支度を始めた。　あまりの呆気なさに驚く私をしり目に、業者はあっという間に帰っていった。娘が心配して電話をしてきたのでその様子を話すと、「巣はどうしたの。記念にもらっておけばよかったのに」といったが、あまりの呆気なさに呆然としてそんなことすら思いつかなかったのである。「餅は餅屋」というが、どんなことも専門の人にかかればオチャノコサイサイなのである。あまりの呆気なさに気持ちがついていかない？

  2017.08.24

• ひぇ～　緊急事態発生

  ８月に入ってから毎日のように雨が降り、降らないまでも曇り空が続いて著しく日照時間が少なくなっていて、早くも野菜の値段が上がり始めているらしい。野菜だけでなく葡萄や梨、桃などの果物も収穫時期を目前に果実の生育や糖度が上がらずたいへんな状態になっているらしい。果物は食べなくてもいいと思っているが、野菜の値段が上がるのはたいへんである。幸いなことに田舎暮らしをしている身にはそれほどの影響はないが、日々の暮らしで困るのは毎日の洗濯である。我が家の洗濯干場は２階にあり、屋根があるのであるが、それでも雨の日は湿気が嫌なのでやむなく部屋干しをしている。　８月に入る前のまだ暑い日が続いていた頃、洗濯干場の隅っこの方に何やら得体のしれない黒い粒粒のものが落ちていた。虫の糞かなと思いつつ、それがだんだんと増えてきそうな勢いだったが、雨が続いたので忘れていた。先週の日曜日の朝、久しぶりにお天気が回復してお日様がさしたので、洗濯物を外へ出そうと洗濯干場に行くと、例の黒い粒粒の物体がかなりの範囲に広がっていた。あまりの不思議さにその黒い物体の上を仰ぎ見たら、なんとそこには私のこぶしよりも大きな茶色のスズメバチの巣があったのである。そしてその周りには大きなスズメバチが巣の周りを飛び交っていた。思わず後ずさりをして急いでガラス戸を閉めた。死角という言葉がぴったりの場所だった。あまり大きくならないうちに殺虫剤で取り除こうと思ったが、獰猛なスズメバチの羽音を聴くと怖くなってきた。お盆休みには顔を出すと言っていた息子にメールをして事情を伝えた。　木曜日に殺虫剤を持ってきてくれた息子も、「これは普通のハチの巣ではなくスズメバチの巣だから素人が駆除するのは危ない」と判断。駆除してくれる業者を探したが、なかなか電話が通じないので、役所の生活課に電話をした結果、「スズメバチの巣は危険ですから専門の駆除業者に連絡をします」との返事であった。費用は市の負担で無料だそうである。夕方、業者から電話があり「明日の都合はいかがですか」と訊かれたが、その日は都内での仕事で約束もあり、月曜日の午前中に来てもらうことになった。そうしているうちにもスズメバチの巣はどんどんと大きくなり続け、発見から１週間たった今では大きなどんぶり鉢の半分くらいまで育っている。怖くて近くでは見られないので、外へ出て遠くの方から観察をしているのである。よく今まで刺されたものだと胸をなでおろしている。明日は大捕り物になるだろう。

  2017.08.20

• 樹木葬

  お盆の１３日の朝、ネットで樹木葬を検索してすぐに近くの寺に電話をして見学に行ってきた。最寄り駅は京王線の狭間駅。歩いて１０分ほどの住宅地の中に、うっそうとした樹木に囲まれその寺はあった。早速案内の人が出てこられて墓地の案内をしてくれた。昔からの檀家の墓地の外れに永代供養墓「寶珠」、永代供養付個別墓「やすらぎ五輪」、永代供養付樹木葬「自然想・やすらぎの風」が造られていた。　常日頃、私は死んでも誰にも知らせずに、海に散骨してほしいということを娘や息子たちに言っていたのだが、先日、俳句寺の住職さんに「残された人にとっては心の拠り所があった方がいい」と言われ、何か事あるごとに父母の墓参りに出掛ける弟の姿が思い浮かんだ。樹木葬は永代供養で、骨壺も自然にかえる素材で埋葬され、管理費も不要だという。お参りする人がいなくてもお寺で供養してくれるとのこと。墓地を買って小さな石の個人墓誌を購入しても総額で約６０万円。墓を買うことは最後の自分の収まり場所を決めることであろう。死んでからも子どもに負担をかけることのないように、身の始末をするにはいいのかもしれないとフッと心が動いた。　帰宅してから大阪に住む従妹に電話をして、この話をすると「まだ早すぎる。そんなに慌てて買うもんやないよ」と釘を刺された。死ぬのに順番は決まっていないが、死なない人はいない。もっとも死んだ後のことまで心配しても仕方がないのである。

  2017.08.17

• お盆

  毎年、お盆が来ると「今年もお墓参りに行けなかった」と心が痛む。お盆だけでなく、春と秋のお彼岸の時にも同じような思いに捉われる。私自身は無宗教だと公言しているにもかかわらず、その思いは少しづつ重くなってきているような気がする。先日、歩いて20分ほどの県道沿いにあるお寺を訪ねた。このお寺は俳句寺として有名で、正式名は「臨済宗建長寺派　正覚寺」という。句碑のほかにも五色椿や散り椿、白いつつじが山の上から滝のように咲き乱れる滝つつじでなど、花の寺としても有名な寺である。裏山には鐘つき堂があり、そこに行くまでの山道におられるたくさんの羅漢様を観て歩くのも楽しみの一つである。何よりも静かで、凛とした佇まいと手入れの行き届いた庭が素晴らしく、季節ごとに足を運ぶ寺である。句会だけでなく、座禅会も行っているそうである。無宗教だと言いながら、我が家は曹洞宗だと兄からきかされて以来、禅寺には特に親しみを覚えるようになったのは年のせいだろうか。　先日、思い立って正覚寺を訪れ、住職さんにお墓の話をきかせていただいた。若い人たちは都会へ出てしまい、地元の墓を守っていくことも困難な時代になったという。「昔と違って家長制度もなくなり、核家族が当たり前になったうえに、子供の数も少なくなってしまったいま、個人の墓を守ることだけでなく、お寺を守っていくこともむつかしい時代になりました」と話される住職さんの誠実なお人柄に心打たれました。　ブログを更新しながらインターネットで樹木葬を検索してみた。もう８年ほど前になるだろうか、電車で１時間半ほどの伊勢原のお寺に友達と二人で見学に行ったことがあった。あの頃と比べると樹木葬の案内をしているお寺が驚くほど増えている。都内で１６か所、神奈川県でも６か所のお寺があった。八王子市だけでも３か所のお寺があった。早速電話をして「聚林山　興福寺」へ見学に行ってきた。詳細は次回のブログに書くつもりです。　お盆休みで道路が混雑し、普段は12，3分で行く駅までのバスの乗車時間が 50分以上もかかってしまいました。中央道の相模湖周辺は渋滞の名所です。

  2017.08.13

• 68歳最後の日

  明日８月１１日は私の６９歳の誕生日である。暦の上では“山の日”。新しくできた旗日である。休日になったのは去年からだった。どんな経緯でこの日が山の日で、祝日になったのかはわからないが、口の悪い友人に「それにしてもおめでたい奴だなぁ」と笑われている。誕生日とはいえ、この年になると格別の思いもなく、喜んでくれる人もなく、自分でもフーンといった感じである。しかし、一方では行き当たりばったりに生きてきて、よく無事に６９歳の誕生日を迎えられたという思いもあるにはある。　２８歳の誕生日を目前に離婚し、シングルマザーとして二人の子どもを育てた。子どもが一人で生きていける目途が立つのが５０歳と想定し、それを一つの区切りとして頑張ってきた。早くに生んだ子ども二人が人生の伴侶を得て、孫の顔を見せてくれたのが４９歳だった。４人の孫とも存分に遊び、東京の暮らしに適応できなくなったからと独りで田舎へ引っ越し、気まま勝手に暮らし始めて早くも１０年が過ぎた。ただのおばちゃんとしては十分すぎるくらい幸せな人生だと自分でも思っている。　７０歳近くまで生きるなんて考えたこともなかったので、誕生日を迎えるといつも戸惑ってしまう。今はまだ元気で仕事もできるし、自分の暮らしも何とかこなしていくことができるが、いつまでこんな幸せな暮らしが続くだろう。残された時間は神のみぞ知るのだから、いたずらに不安を募らせることもないだろう。まずは目の前の幸せを噛みしめること。娘から「チケットが取れずに諦めていたギターマンのライブ、キャンセルが出たので指定席のチケット手に入れました」と電話があった。何よりのバースデイプレゼントである。大好きな今剛のギターを聴きに行くのが楽しみである。

  2017.08.10

• カッコいい

  先週の金曜日の午後、仕事先を訪問するため虎ノ門駅に降り立った。カンカン照りではなかったものの、気温、湿度ともにそうとう高く、すれ違う人の顔も不快感にまみれていた。地下道を上がり信号を渡って歩いていると夏祭りの笛の音が聞こえてきた。１丁目の交差点を渡ってから左側の奥まったところに神社が見えた。大都会のビルが林立する中に静かにたたずむ神社は金刀比羅宮といって、東京五社に数えられるパワースポットでも有名な神社である。ビル街の真ん中に結界を作ったような雰囲気は何とも不思議な空間であった。　お寺や神社へ参拝するのが大好きな私は思わずを足を止めたが、約束の時間が迫っているので心残りな思いを抱いて先を急いだ。仕事を終えて、帰りはゆっくりと夏祭りの雰囲気を楽しみながら駅までの道を歩いた。自動車が行きかう道路の片隅に山車を引く子供たちも見え、その子供たちのひく山車を見守るようにカッコいい中年のおじさんや高齢のおじいさんが取り囲み、盆踊りの民謡を流しながら進んでいく光景はビジネス街の 中の小宇宙のようで、とても心が癒された。何よりもカッコいいのはあか抜けた中年のおじさんやおじいさんが祭りのハッピを身にまとい、祭りを盛り立てている姿である。思わず「都会の祭りもいいものですね」と声をかけると、嬉しそうに「そうでしょう」と誇らしげに応えてくれた。祭りの装束だけでなく、都会の垢ぬけたおじさんたちの立ち居振る舞いのカッコいいことと言ったら…。久しぶりに目の保養をした気分である。もう少し涼しくなったらゆっくりと金刀比羅宮を訪ねてこよう。　翌日の土曜日は渋谷で盆踊り大会があったらしい。109のビルの前から道玄坂と文化村の通りを通行止めにして3万人以上の人が集まったらしい。テレビでは浴衣姿の若い人たちに交じって外国の人達もたくさん踊っていた。祭りは大好きだが、特に夏の祭りは暑さを忘れてしまうくらいのパワーを感じる。若い人と外国の人と盆踊りってなんとなくちぐはぐな取り合わせのような気もするが、結構みんな汗だくで嬉しそうに踊っていた。

  2017.08.07

• 雨続き

  梅雨はどこへ行ったやらなんて言っていたのに、３日前からいきなり激しい雨が降ったり、やんだりして怪しい空模様の日が続いている。毎年８月１日は相模湖湖上祭りの花火大会がおこなわれる。友達から椅子席で飲み物付きの招待券をいただいたので楽しみにしていたが、昼過ぎから雨が降り続き、夕方には大雨模様となったので果たして花火大会がやれるのかどうかも心配になってきた。テレビでは神奈川県に大雨洪水警報がでている。この雨では仕掛け花火は難しいのではないか、行ったとしても椅子席は野外なのでで座れない。その日は朝から曇り空を眺めながらお弁当だけは用意をしておいた。久しぶりに梅干と明太子を入れたおにぎりを作り、出汁まき卵もきれいにできた。花火には行けなくてもお腹はすっかりおにぎり弁当に仕上がっている。せっかくなので一緒に行く予定だったウォーキング友達を誘い、我が家でお弁当を食べた。　しばらくして花火を打ち上げる音が聞こえたが、途中で中止になったらしい。そういえば何年か前に花火大会の途中でゲリラ豪雨に遭い、花火の打ち上げ音と雷、バケツの底が抜けたような大雨の中を逃げまどって帰ってきたこともあった。これで首都圏の水不足も少しは解消するかもしれないが、この記録的な暑さといい、ゲリラ豪雨といい、私が子どもの頃にはなかった現象が次々と起こる。幸いにもこれまでは災害に見舞われたこともないが、これから先のことはわからない。昨日は夜中の２時過ぎと朝の７時ころ地震があった。　そういえば今週は雨でウォーキングに行けない日が続いている。最近では珍しいくらい歩いていないなぁと気づいた。体を動かさないと血の巡りが滞るだけでなく、気力まで衰えてきそうに思える。体を動かすことは心も動かすことである。朝、ぽつぽつ降っていた雨がやんで、空が明るくなってきた。今日からしっかり歩こう。

  2017.08.03

• 残る時間

  　最近、８０歳近くになった友人から便りが届いた。１年ほど前に会って話をした時もしきりに「残る時間がそれほどないから」と言っていたのが気になっていた。便りの中にも「田舎で静かに暮らし、終活をしながらし残したことを書き出しています。まだまだ自分の心中、納得し得ないものもあり、体力の衰えと競争しています」とあった。８０歳近くなって残る時間が少なくなったと言いながら、まだまだ納得し得ないものがあるんだと驚いてしまった。そういえば、８２歳になった従妹も「自分が元気でいられるならまだまだ死にとうない」と言っていた。私自身は存分に生きてきたという思いが強いし、何かし残したということもないので、いつ死んでも悔いはないと思っているが、これから先はどういう心境の変化があるのかわからない。　長年連れ添った夫婦でも高齢化とともに介護の問題が出てくると、たちまちお手上げ状態になってくる。最新情報によると、男性の平均年齢は７９．６４歳。自分の力だけでは生きていけず、人様の助けを受けて生きていく期間（健康寿命）が７０．４２歳なのでその差はほぼ９年。女性の平均年齢は８６．３９歳で健康年齢が７３．６２歳になのでその差はほぼ１２年以上になる。もちろん個人差はあるだろうが、男性の９年、女性では１２年以上も自分の力では生きていけないなんて驚きである。自分のこととして想像を絶する事態である。長生きするのも容易じゃないといういつものフレーズがよみがえる。長生きをするのは喜ばしいことだろうが、１０年以上も人様のお世話になって生きていくのも辛いだろうとしみじみ思うのである。自分の思うように生きていくには、健康でなくてはならない。これからの課題はいかに健康寿命を延ばせるかということにかかっている。　偉そうには言えないが、気まま放題に生きていくには自立して暮らしていくしか方法はない。健康面はもちろんのこと、経済的にも人様を頼ることなく、機嫌よく毎日を過ごすことこそがたいせつだと思っている。残りの時間はどれほどあるかは神のみぞ知ることである。小さな喜びをたいせつに、好きなように生きていきたいとしみじみと思うこの頃である。

  2017.07.30

• 復活

  前回のブログでは「さすがの私も」というタイトルでバテ気味の様子を書いたので、娘が心配して電話をくれた。自分で言うのもなんだが、毎年夏になるとバテないように気をつけて、水分補給はもちろんのこと、食べるものやライフスタイルにまで万全の注意をはらっているのである。料理は栄養バランスを考えてメニューを決め、気温の上昇する午前１０時までにガスを使う調理を済ませている。今日も朝から出汁をとり、いただいたカボチャを半分は。し、後の半分でパンプキンスープを作った。毎年のことながら夏になるとコーンスープかパンプキンスープを作って冷蔵庫に保管し、水分とエネルギーの補充をする。今年もすでにスープ作りはやっていたはずなのに…。　考えてみると、今年の暑さは空梅雨のうえ、７月に入ってすぐに真夏日が続いた。思い起こせば、去年の７月は比較的涼しく、エアコンもほとんどと言っていいくらい使わなかったので電気料金がびっくりするくらい安かった。夏バテの原因はいきなりの暑さに体がついていかなかったのだろう。食いしん坊の私が食べたいという気持ちが起きないばかりか、料理を作ることすら面倒になったことは近来まれなる出来事なのである。消化器が弱っているので、食事はもっぱらそうめん。冷たいそうめんではなく温麺にし、水分もできるだけ常温の水。日中は２７度に設定した室内で本を読んだり数独をし、ひたすら時が過ぎゆくのを待ち、夕方温度が下がってくるとウォーキングに出かけて汗を絞った。　昨日は何日かぶりで雨が降り、気温が下がったのでようやく料理を作る気分がよみがえり、１０日ぶりくらいにご飯を炊き、煮物を作った。復活の兆しである。夏バテの原因は先週金曜日の外歩きが原因だったとしても、自分の体力（気力も）の衰えにはちょっとうろたえている。１日くらいの外歩きと自分の体力を過信したのがまずかったのかもしれない。情けないという気持ちと、自分の年を考えて少しは自重しなくてはという気持ちになっているところである。それにしては思いのほか、体重が減らないのはどうしたことだろうか。

  2017.07.27

• さすがの私も…

  連日の猛暑である。朝７時を過ぎるとカンカン照りの毎日。週１の出勤日も帽子、日傘、タオルハンカチを何枚用意しても間に合わない。特に都内を歩くときは、空から照り付ける太陽熱、足元から吹きあがるアスファルトの熱、エアコンの室外機の温風が容赦なく襲い掛かってくる。　早まって「７月８月は外回りをします」と宣言した自分の浅はかさを呪いたくなってくる。年とともに体力が落ちてきているのか、去年よりははるかにしんどいような気がする。バスと電車を乗り継いで都内へ出て、初めての会社を訪問をし、初対面の人と打ち合わせをするなんて、正気の沙汰ではないと思うが、約束を取り付けたのはこちらの方からだから仕方がない。初めての人と会って仕事の話を進めるのは、これはこれでとても刺激的で面白いのだが、スタートする時期を間違えてしまったようだ。　昨日は午前中に新宿イモノリスビルへ行き、午後は東京駅から八重洲地下街を歩いて日本橋のビル街へ。帰りは地下へ入る入口が見つからずうろうろしているうちに高島屋を見つけて飛び込んだ。中央線で高尾まで一気に帰る予定だったが、高島屋の地下街から地下鉄銀座線に乗り、日本橋から赤坂見附で丸の内線に乗り換えて新宿へ行き、京王線で高尾駅までたどり着いた。　５時にセットしておいたエアコンが稼働していたのでそのまま座り込み、夕食も簡単に済ませてベッドに入ったが、疲れすぎたせいかなかなか寝付けなかった。昨日も一日、何もせずにぐったりと過ごし、今日もいまいち体に力が入らない。今年の暑さはことのほかきついような気がする。１日働くと、元の状態に戻るまで２，３日かかるなんて情けない。精神力だけでは追いつかないのである。家でダラダラしていると気分が滅入ってくる。雨が降りそうな空を見上げて、これからウォーキングに行ってこよう。

  2017.07.23

• 終活

  終活という言葉はいつ頃から使われ始めたのだろう。もともと就活といえば就職活動の略語として定着していたのが、最近は人生の最期を見据えての準備というような使い方をされている。団塊の世代が７０代に突入し医療、介護の次は葬儀ということになるのは当たり前の話ではあるが、ここぞとばかりに終活などという言葉が流行っているのはいかがなものか。少し前から、エンディングノートというものが出てきて、自分が死んだ後に悔いが残らないようにいろいろなことを書き残しておいた方が良いと言われ始めた。「遺言状を残しておくほどのこともないが…」といった程度のことだったと思う。私自身はずいぶん前から自分の死について考えていて、すでに１０年ほど前にエンディングノートを購入したが、これは全く役に立たなかった。３年前に椅子から転落して大けがをしたとき、自筆でノートに書き残したものがあるが、その後、状況の変化があったにも関わらず、いまだ更新していないのが気になっている。　同じ世代の友人は癌を患って治療を継続しているが、病院で検査を受けた後は必ず身辺整理をし直すと言っていた。その話を聞くたびに辛くて、気の利いた受け答えができない。１０年以上前に「俺が死んだら故郷の広島の海に散骨をしてくれ」と言っていたドクターが、２年前に会った時には「墓を買おうかと思ってるんだよ」と言っていた。６０代から７０代後半になった１０年の間に、ご自分の父母の看取りや、身内の死、自分の病院の患者さんの最期を見続けて、考えが変わったのであろうと思う。変わったからと言って「それは言ってたことと違うでしょう」とは思わない。人は変わるのである。変わるのが当たり前であると思っているから驚かない。　私はこの先、病気になってもよほどの苦痛がない限り治療をしないでおこうと考えている。できるだけ高齢者医療や介護サービスを受けないように自分の力で生きていこうと思っている。これまで６９年も機嫌よく生きてきた。よく働き、よく遊び、いろいろな人と巡り合い、喜びも楽しみも人の何倍かと思えるほど味わってきた。存分に生きてきたような気がする。野生動物は餌を獲れなくなったら死を迎えるが、私も働けなくなったら自然のままにあの世に逝きたいと考えている。そかしそれは今の私の思いであって、これから先もそうであるかどうかは予測がつかない。やり残したことはないが、ちょっと気になるのは苦労が足りなかったような気がする。後の人生、足りなかった苦労の穴埋めだったらどうしよう。今日は午後から近くの俳句寺のお坊さんを訪ねる予定だ。お盆も近い。

  2017.07.20

• いつまで続く

  　今日で１０日以上も続いている真夏日。午前９時を過ぎた時点で早くも３０度を超え、さすがの私も我慢できずに正午前にエアコンをつけるようになった。それなのに、今日は午前８時集合で自治会の公園の雑草狩りの当番である。３０人くらいの人がそれぞれ草刈り支度をして集まった。すでにしてみんなの顔は風呂上がりのように上気し、汗が流れているのがわかる。長袖シャツに帽子、軍手、草刈り道具、刈り取った雑草を入れるビニール袋を持ち、一斉に公園の草取りを始めた。何もしなくても、うつむいているだけで汗が地面にしたたり落ちてくる。汗をぬぐいとる余裕もなく、早く帰りたい一心で、みんな黙って草刈りをしている。お年寄りの参加者も多いので、脱水症にならないかと心配である。年間で７，２００円もの自治会費を出しているのだから、真夏の間の草刈は業者に頼めないものかと思う。　自治会の会員だからといっても、全員参加するわけでもない。私の知っている人で組長（順番性）になっても、自治会で行っている草刈りや町のごみ拾い、祭りの準備や片付けなど一度として参加したことがない人もいる。参加する人、参加しない人の顔ぶれはほぼ決まっている。私は旅行などで留守の時は別として、この１０年間は９０％以上の参加率である。都会へ出ていく若い人が増え、自治会員も年寄りばかりになってきて運営自体がむつかしくなってきている。　毎年夏になると思うことは、都会の年寄りは元気だなぁということ。この暑さをものともせずに、炎天下の街を平気な顔をして歩いている。歩いているだけでなく、朝のラッシュの電車に乗って仕事場に向かう人もいる。週に１日だけの出勤で大げさに疲れるなどと言ってはいられない。しかもこの猛暑の中、明日は一族郎党全員集合で横浜中華街でランチをすることになっている。子供や孫のスケジュール調整の結果、この日になったのだが、もう少し先に延ばしたほうが良かったかなと思っているが、みんな楽しみに待ってくれているし、お店の予約もしてしまった。みんなに会えて、美味しいものを食べると暑さも吹き飛んで元気になるかもしれない。　

  2017.07.16

• 美味しい生活

  相模湖へ引っ越してきて１０年が過ぎた。いつも言うようだが、１０年ひと昔である。すっかり田舎暮らしが身について、いまさら都会では暮らせないと本気で思っている今日この頃である。今まで気にしたことはなかったが、まず空気が澄んでいて心地よい。去年から週に１度だけ都会へ出稼ぎに行っているが、帰ってくると胸がスウ～とする。久しぶりに会う人たちが、「その元気さは、よほど食べるものがいいのでしょう」という。食べるものといっても贅沢な食材ではなく、何よりも採れたて無農薬の野菜がふんだんにあるということである。旬のものというのはその季節に合わせて出てくるものなので、栄養分だけでなく食材の持つエネルギーがすごいという話を聞いた。　引っ越してきて驚いたのは「野菜ってこんなに美味しいんだ」ということだった。それは私だけでなく家族全員がそう感じたこと。ときどき、食べきれないくらい野菜をいただくと、都会に住む友人や従妹に宅急便で送ってやることがあるが、「スーパーで買う野菜と同じものだとは思えない」という。特に今の季節のキュウリは何とも言えない甘さがあって、朝から夜まで食卓に上らないことはない。トマトも真っ赤に完熟してから採るので温室トマトと比べると味の濃さだけでなく歯ごたえさえも違ってきている。これが当たり前の暮らしになってきているので、しみじみと「もはや都会の暮らしには戻れない」と思うようになってきた。ネギ１本、キュウリ１本さえもお金を出さないと買えない生活で、いまのように新鮮な無農薬野菜をふんだんに食べれない暮らしは想像するだけで不安になってくる。　都内を歩いていて、ビルの谷間に密集している家を見ると息苦しくなってくる。特に夏の間はアスファルトの反射熱やエアコンの放熱風を浴びるとひたすら相模湖が恋しくなる。環境が良いということは不便だということではあるが、住めば都である。先のことはわからないが、今の暮らしは身に余るほどの幸せ感でいっぱいなのだ。

  2017.07.12

• 律義者

  梅雨明け宣言もないまま、連日の真夏日に耐えかねてとうとうエアコンを使ってしまった。金曜日の午後２時前、いちばん気温が上がる時間。いまだスマホを持っていない私は、初めての訪問先を確認するために駅前の案内地図を観ようとしたら、その地図は駅の外の炎天下。日傘などなんの役にも立たないような気配に、目についた交番に飛び込んで聞いてみた。年若い女性警官は親切に説明をしてくれ、「お暑いですから気をつけていってください」と言ってくれた。訪問先の人も「こんな暑い時間にようこそいらしてくださいました」とねぎらってくれた。　１日外歩きをしているとさすがの私もぐったりとしてしまう。外はかんかん照りなので、毎日夕方には野菜に水を撒くのが日課になっているが、これを怠るとたちまち枯れてしまいそうな気配である。しかし、どんな時でも雑草だけはやたら元気で、３日も放っておくとたちまち草だらけになってしまう。草取りをするのも夏の仕事なのだが、すぐに虫に刺されてしまう。虫は温度に感応するらしいので、子ども並みに体温の高い私はわかりやすい標的になるのであろう。これまでは「栄養状態がいいから虫にとっても美味しいのだろう」なんて冗談を言っていたが、温度に感応するとは…。　この暑さにもめげず、裏庭のままごと農園のトマト、ナス、ピーマンは元気に育ち、グリーンカーテンにと鉢植えをしたゴーヤも実をつけ始めた。梅雨の行方はわからないまま、季節はすっかり真夏である。２、３日前からパソコンを置いてある窓辺のガラスにヤモリが白い腹を貼り付けせて、忙しそうに行き来している。餌になる虫を探しているのだろう。この季節になると忘れずにきっちりと姿を見せてくれる。ほんとうに律義者だ。台所の窓、居間の窓、どこにでもいるからかなりの数かもしれない。あの形状はお世辞にも気持ちの良いものではないが、家を守るのでヤモリというらしいと聞いてから、総称「ヤモジロウ」と名付け「しっかり虫を捕ってね」と窓に向かって話しかけている。時として、素早く長い舌を出して虫を捕獲する瞬間が見えることもある。律義者の上に働き者なのである。　巷では女性の暴言議員や、ユーチュブで夫との争いをさらけ出して恥を知らない女の人が世間を騒がしているが、律儀で働き者のヤモジロウは一生懸命生きている。偉いなぁ～。

  2017.07.09

• 初体験

  明日の七夕を前に九州では記録な大雨による被害が報道されている。今年は雨の少ない梅雨で、我が家の周りの畑が乾いてパフパフ状態だった。東京の夏の水はどうなるのかと心配していたが、東京都水道局の公式ホームページによると、今のところは８０％以上の貯水量だったので安心した。一昨夜はバケツの底が抜けるくらいという表現がぴったりの雨が降った。地球温暖化の影響かどうかはわからないが、年々お天気の変動が激しくなってきている気がする。　私の暮らしている相模湖周辺でクマが出没し、昨夜は畑を囲っていた網を破壊してイノシシが目の前の畑に現れ、収穫直前のトウモロコシやカボチャを食い荒らしていた。大きな足跡と小さな足跡が畑の中に無数に残っていたので「家族できたんだなぁ」と、おじさんがつぶやいた。怒りながらもションボリ感の漂うおじさんの顔を見るのも気の毒だった。それは私が暮らしている家のすぐそばに獣が潜んでいるということである。何時ころに畑に現れたかわからないが、そのとき私は家の中で何をしていただろう。イノシシは季節に関係なく現れるらしいが、この季節になるとウォーキング途中で蛇に遭遇する。湿度の高い日に山道で見かけることが多いが、先日、阿津川のほとりを歩いていたら友達が「キャー」と叫んで、指をさしている。「蛇、蛇」というが私には見えない。どこにいるのかキョロキョロ探していると、今度は「猫、猫」という。見ると、真黒な猫がじっと見つめている道路端の草むらに蛇がじっとしていた。「猫が蛇に襲いかかろうとしているらしい」というので、こちらも足が止まってしまった。黒猫はじりじりと蛇に近づき、しっぽのほうからゆっくりと回り込んでようやく頭のほうへ来た。私たち二人は動くこともできず、固唾をのんで今や蛇に飛びかからんとする猫の様子を見るしかなかった。「こんな場面に遭遇するなんて初めてのこと。世紀の瞬間だね」と言いながら息をするのも忘れるような何秒間が続いた。　そして、今まさに猫が飛びかかろうとしたその直前、すぐ横を軽トラックが走り抜け、猫は急いでその場から走り去った。そして蛇は急いで道路を横切って川へ逃げたのであった。興奮冷めやらず、ウォーキング中はしばらくはその話で盛り上がった。６８年のうちで初めての体験である。田舎暮らしも１０年以上が過ぎ、いろいろな場面に遭遇したが、田舎暮らしを続けていく秘訣は何が起きても驚かない胆力も必要だということがよく分かった。小さな虫でさえも「キャー、キャー」と大騒ぎする従妹に、この話を聞かせたら気絶するかもしれない。「そんな怖いところで暮らしてないで、はよ大阪へおいで」と言われそうである。

  2017.07.06

• １０１歳

  日曜日の夜、ふと思いついて「日曜美術館」にチャンネルを合わせた。最初から見ていたのではないが、その日は「青いケシを描く～洋画家・入江一子１０１歳のアトリエ」という番組だった。これまでの仕事がら、高齢者と接する場面は人よりも何倍も、何十倍も多くあった。いま現在も高齢者施設のコンプライアンスアドバイザーという仕事をしているので、週に１度は現場へ出向いて施設の利用者と話をしたり、ハーモニカを吹いて一緒に歌を歌ったりしている。先日訪問した老人保健施設では１００歳のおばあちゃんが、私の吹くハーモニカに合わせて　“ふるさと”　を１番から３番まで、一度も歌詞を間違えずに歌ってくれたことに感動したばかりであった。　しかし、私が会う高齢者といえばほとんどが自宅での生活がかなわず、施設で暮らしているので、独りで何かをするということは難しい。現在、１００歳超え人口は６万５千人を超えているので、どこの施設でも１００歳を超える利用者がいて、特別に驚くような時代ではないが、広いアトリエにひとりで暮らし、アシスタントや家族の助けを借りながら、まだ絵を描き続けているというのは驚きである。壁一面の大きなキャンバスの前に長いベンチを置いて、立ったり、座ったりしながら絵を描き続け、疲れたらベッドで休み、目が覚めたら絵を描くという日常だそうである。何よりも「今になって、ようやく絵を描くことが分かってきたので、これから先は少しでも多くの作品を残したい。しかし、今となっては体力が続くかどうかが心配で、それでも毎日毎日命がけで絵を描いている」という言葉に、命がけという言葉の重さを初めて実感した。たかだか６９年しか生きていないのに、いっぱしの大人（年寄り）のような口ぶりで頑張って生きてきたと思っていた自分が恥ずかしい。大きな目的を持った人、特に画家などの表現者はその探求心というか向上心というものが命を燃やす原動力になるのだろうか。まさに命が燃えているという表現がぴったりだ。　すぐにウォーキング友達に電話をしてテレビを観るように伝え、翌日のウォーキング中はその話でもちきりだった。私のような凡人に同じような生き方はできないが、少なくとも年寄りだから何もできなくて当然という言い訳は通用しないのだと思う。ちょっと元気が出てきた。まだまだいろいろなことができる体力と少しばかりの知恵は残っているかもしれない。かすかな残存能力と気力を使って完全燃焼するような生き方をしたいと思っている。自宅兼アトリエは週末には美術館としてオープンしているらしい。ぜひとも行ってみたいと思っている。

  2017.07.02

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