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テーマ:本のある暮らし(3315)
カテゴリ:詩情俳趣
6月13日は太宰治の生誕100年にあたる。また、自叙伝のような『人間失格』を2ヵ月で書き終えてまもなく、玉川上水にて山崎富栄と投身自殺を図ったのが同じ13日であり、64年前のことである。
本書は死を覚悟して、自分の女と酒に溺れてしまう脆い人生を振り返ったものである。酒は焼酎が多く浴びるほどヤケ酒のように飲むというタイプであることが分かる。前年に亡くなった織田作が酒をほとんど飲まなかったのとは対照的である。 太宰と織田作の酒については、『新・酒のかたみに』(たる出版)に詳しいが、戦後無頼派といわれた3人が銀座のルパンで飲み交わしたことは織田作『可能性の文学』に記されているが、このときは(22年)太宰はビール、安吾はウイスキー、織田作はコーヒーだった。 この時代、カストリ焼酎が中心で、美味い日本酒などはあろうはずがなく、戦争を挟んで気持ちが沈みがちな時代において、自己の人格を否定する太宰にあっては、酒を賞味するという感覚はなく、落ち込みを紛らす溺れ酒となったのであろうな。 まあ、5回も自殺を図り、うち2人の女性を心中で殺しているにもかかわらず、このことに象徴される人間の根源の弱さを記しているゆえ、現在も太宰に惹かれる多くのフアンがいて桜桃忌に参拝するらしい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年06月14日 01時22分37秒
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