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カテゴリ:想い出話
台風の日曜日とか祝日など お休みの日に大雨が降ったりすると お稽古をしたがる三人組の奥様が私のもとへ通っていた。 どうしてそんな日に?来るの? その理由を聞いてみると 「だって、休みだと亭主も子も孫もいるじゃない。」 「台風だから誰も外へ行かずに家でゴロゴロしているじゃない。」 「結局、私がご飯の仕度をしたり、まとわりつく孫の面倒をみるじゃない。」 「嫁は、スイマセ〜〜ンなんて言ってるだけで久しぶりの家族団らんをしてるじゃない。」 「今日はお稽古があるのよと家族に言って出てくれば家事から開放されるじゃない?」 「遊びに行くと言うと、こんな日に行くのか?って言われるじゃない?」 「お稽古なら堂々と家を出て来られるじゃない?」 「それにそれぞれ愚痴をこぼせてストレス発散になるじゃない?」 成る程‥ 私は、こんなにお天気が悪い日に濡れながら来てくれなくても‥と思っていた。 ほんの少し家族に抵抗している彼女達が私はとても好きだった。 それが、4〜5年前に三人組の一人が事故で足を失くしてしまった。 足が無い(本当の足と交通手段)から足が遠のいた。 その一年後、一人が脳梗塞で倒れた。 その翌年、三人目の人が乳がんで乳房を切除した。 もう三人揃って会う事もないそうだ。 お休みの日に台風がやってくると 私はいつもこの三人組を思い出す。 気さくで楽しくてお稽古なんてほとんどせずに お喋りで時間を費やしていたけれど良い時間を一緒に過ごしていたと思う。 こんな、暴風の日‥ 金魚を大事そうに持って来た日の事を私は今も忘れていない。 そして、忘れていった傘もまだ預かったままだ。 にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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