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営業マンの備忘録

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2014年06月18日
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カテゴリ:ピアノ
ciccolini_105.jpg
好きなピアニストを5人挙げろと言われても、このピアニストはその5人には入らない。
私にとって、そんな対象から既に超越している神域のレジェンドであるチッコリーニ。
日本式にいえば米寿。既に平均寿命を超え金茶色で大々的にお祝いするおじいさまだが、地球の反対側から駆け付けて日本でリサイタルを底力はどこから出てくるのかと思う。
毎年違うプログラムを披露する彼の実行力には本当に驚嘆する。

2014年06月18日 (水)19:00 開演
会場:東京芸術劇場コンサートホール 5列目真ん中辺
曲目
ブラームス/4つのバラード Op.10
グリーグ/ピアノ・ソナタ Op.7
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ボロディン/小組曲
カステルヌオーヴォ=テデスコ/ピェディグロッタ 1924 ナポリ狂詩曲
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(アンコール)
スカルラッティ/ソナタK380
ドビュッシー/前奏曲第一巻~ミンストレル
ファリャ/火祭りの踊り

杖をついて歩くのだが2012年より歩く速度が遅くなっていると感じる。どうぞまだまだお元気で。
本プログラム。4人の作曲家の20代の意欲作。
20代を懐かしむのではく、まだまだ俺は20代!!と自分のことを思っているのでは感じさせるチッコリーニの意欲的な演奏スタイル。
とはいえ私が聴きたいと思っていたのは作曲家の青臭くほとばしる情熱だったのだが、チッコリーニの演奏は正直な感想としては成熟し過ぎていた。
音量は通常のピアニストであればmpが彼のff。
ただそのpp~mpが普通のピアニストのppp~ffに感じさせる老練なテクニック。
その音量を巧みにコントロールするのだが、やはり尖がった汗臭い音量、突発的なテンポを聴きたいと思ってしまった。
若き日のブラームス。この巨匠が弾いているのを目の当たりにしたら、なぜに私の作品を!?と思ったことであろう。
特に3番4番はどっぷりつかった巨匠の世界。ブラームスサウンドは感じるものの若気の至りが無く、退屈に感じてしまった。
同じくグリーグ。抒情的な旋律を感じつつも作品番号7というフレッシュな作品としてはたいそうな演奏になってしまったことは否めない。
これはボロディンまで続くのだが、イタリアのテデスコではやはり血が騒ぐ。南イタリアの旋律、カンタービレでは手に汗握るほとばしるパッション。レコーディングもあるとのことだが尻上がりに彼の88歳(だけど気分は20代)の情熱のトリコになるのである。クライマックスの熱演、ブラボーである。

本プロについては良い記載をしたかもしれないが、違和感がありのめりこめなかったのが事実である。
アンコールでがらっと印象が変わる。
毎度定番のスカルラッティ。テーマが明確で余計なものが一切絡まない素晴らしい演奏。
余計な音、音量、テンポを奏でることがない。何をするにも自然体、ふつうなのである。
88歳の普通。存在するだけでawsomeである。
ドビュッシーも神々しくて涙が滲んだ。ここでこれを弾くか。
そして時計を指さして(もう遅いよ、と)、もう一曲と指を立てての、火祭りの踊り。
最初のトリル、指が回っていない。年齢を感じたところ。
主旋律も若干甘い箇所もあるのだが。
2度目の繰り返しからバスは迫力を増し、テーマも活き活きと。なんたる88歳!1回目の反省をすぐに演奏で反映するとは。
グリッサンドが弱い、とかつまらないことは言えない。盛り上げようとする彼の意識が場内の全員に移った。
最後の低温を奏でたあと、場内総立ち。
ちなみに私は冒頭のトリルを聴いただけで涙が出た。こんなじーさまがなんというサービス精神と・・・。

ステージマナーも最高。杖をついて歩くものの3方向へ丁寧にお辞儀をし演奏。
握っていたハンカチはお守り代わりか、汗を拭くではないけど演奏前ピアノに置く。
後半は杖を忘れて歩くのではないかと思ったが、そのくらい演奏のたびにパワーみなぎる。
これが毎年日本に来ることができる漲るエネルギーなのだろう。演奏すればするほど若返る。

当夜のプログラムがうなずけるわけだ・・・。
神域のピアニスト、健在!!





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最終更新日  2014年06月18日 23時13分34秒
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