テーマ:ミステリはお好き?(1432)
カテゴリ:日本ミステリ(な行作家)
腕貫をはめた地味なその役人は櫃洗市市民サーヴィス課臨時出張所一般苦情係の窓口担当。
この出張所、実は神出鬼没で、大学構内や病院の待合室、警察署内など、あちこちに出現する。 マネキン人形のように無表情な男は丸いフレームの銀縁メガネ、白いシャツ、黒っぽいネクタイ、無造作に切り揃えられた脂っけのない髪という素っ気ない、いかにも小役人なのだが、その窓口へと、トラブルを抱えた相談者はふらふらと引き寄せられる。 殺人? 詐欺? 行方不明? さまざまな悩みを、聞くだけで見事に解決してしまうのがこの腕貫男なのだ! 明晰な推理力をもつユニークな安楽椅子探偵が活躍する、ユーモア溢れる痛快ミステリー連作短編集! (出版社より) 腕貫探偵登場 /恋よりほかに死するものなし /化かし合い、愛し合い /喪失の扉 /すべてひとりで死ぬ女 /スクランブル・カンパニィ / 明日を覗く窓 事務の経験がないので、腕貫というものを実際に見たことはありませんが、何となく知っていました。多分ちょっと前の映画化ドラマで見たのではないかと思いますが、袖が汚れないようにはめる腕カバーのことですね。 色々な場所に出現する、櫃洗市市民サーヴィス課臨時出張所一般苦情係は黒の腕貫がトレードマーク。 横に掲げられた看板には、苦情や質問だけでなく、なぜか「個人的な悩みもお気軽にどうぞ」、と書いてあるのです。 不審に思いながらも誰かが相談すると、話を聞いただけでスラリと事件や謎をとくヒントを示してくれる。そう、まるで彼は安楽椅子探偵です。 誰も並んでいないのに、名簿に記名して座って順番を待つように言われるというところは、お役所仕事を思わせますが、彼は本当に役人なのでしょうか? 相談料無料の名探偵だから、実際にいたら大人気になるのでは? 気軽に読むことができる楽しい短編集でした。 後味も悪くなく、気分転換に良いかと思います。 腕貫探偵:西澤保彦 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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