テーマ:ミステリはお好き?(1432)
カテゴリ:日本ミステリ(な行作家)
様々な事情から、家庭では暮らせない子どもたちが生活する 児童養護施設「七海学園」。 ここでは「学園七不思議」と称される怪異が 生徒たちの間で言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に 不可思議な謎を投げかけていた。 孤独な少女の心を支える “死から蘇った先輩”。 非常階段の行き止まりから、夏の幻のように消えた 新入生。 女の子が六人揃うと、いるはずのない“七人目”が囁く 暗闇のトンネル…七人の少女をめぐる それぞれの謎は、“真実”の糸によってつながり、美しい円環を描いて、希望の物語となる。 繊細な技巧が紡ぐ短編群が 「大きな物語」を創り上げる、第十八回鮎川哲也賞受賞作。 (「BOOK」データベースより) 今は亡き星の光も/滅びの指輪/血文字の短冊/夏期転住/裏庭/暗闇の天使/七つの海を照らす星 児童養護施設「七海学園」を舞台とした連作短編集です。 施設の子供たちが不思議なできごとに出会い、若い女性保育士・北沢と児童相談所の海王さんが協力して、その謎を解き明かしていく、というストーリーです。 人が死なない、日常の謎系のミステリ。 児童養護施設が舞台ですから、児童虐待や家庭崩壊など、さまざまな事情のある子供たちが登場しますが、この作品の雰囲気は、決して暗かったり、重苦しくはありません。 短編ひとつひとつに伏線が張られていて、最後にはそれが収束します。 同時に少しずつ引っかかりを覚えていたことが、明らかになる、という緻密な構成です。 ちょっと作られすぎ、と感じられることもあったのですが、東京創元社の「ここだけのあとがき」で作者の言葉を見て納得。 「これは、あくまで幾つかのトリックやちょっとしたロジックを楽しんで頂くミステリとして書かれたものです。」 中心はそこにあったのですね。 作者の名前にも謎が含まれています。 児童相談所の海王さんの人柄や行動が温かくて、本当に「信じる」ことが、傷を持つ子供たちにとって、どれだけ救いになるのか、ということも感じさせてくれました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年05月24日 00時36分02秒
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