テーマ:ミステリはお好き?(1445)
カテゴリ:ミステリ関連
ワセダミステリクラブ主催の、北山猛邦講演会 に行ってきました。 参加するのは、今年で4回目です。 学園祭のイベントの一つとして行われるので、いつもならば、人波ををかきわけかきわけ会場まで行くのですが、珍しく午前中開催ということで、朝のさわやかな空気を感じながらたどり着きました。 午前中でも、ミステリ愛好家は熱心です。 ほぼ開場時間に入ったのに、すでに席は半分ほど埋まっていました。 北山さんは、ミステリ界では物理の北山と言われ、物理トリックに定評があります。 さて、どんな方でしょう? 手にペンギンのぬいぐるみを持って登場した北山さんは、予想以上のイケメンでした。 そして、さわやかで、飾らず、きどらず、親しみやすい雰囲気です。 ワセダミステリクラブの幹事長との対談形式で行われましたが、進め方もスムーズで、ユーモアを交えた楽しい講演となりました。 ここでは、講演で話された内容を、私が聞き取った中で、かいつまんで記してみたいと思います。 書かれた作品順に話は進められました。 「アルファベット荘事件」 デビュー前に1年ほどウェブ上に公開されていた作品で、のちにトリックを変更したものが、白泉社から刊行されました。 今回、北山さんによって、黒板の図解つきで、もともとのトリックが明かされました。 ピラミッド型の美術館にの横に、ピラミッドを逆さにしたような建物があり、その横が深い谷間になっています。 死体の入った、車輪つきの木の箱が、一夜にして崖の向こう岸に出現するというトリックです。 これが結構バカバカしくてユニークだったので、ペンギンのぬいぐるみでなごんでいた会場が、さらになごみました。 登場人物が自ら携帯を壊して、閉鎖的状況を作るシーンについては、ミステリのお約束に反発したかった、若気の至り、とのこと。 続編については考えていないが、1万人くらい署名が集まれば……、わからないそうです。 「『クロック城』殺人事件」 設定は、常識が一つ欠けた世界。 時計が読めない世界……これがクロック城の世界であり、ミステリの根幹をなしているそうです。 麻耶雄嵩さんの作品には、密室を構成する7つのお約束、というものが出てきます。 北山さんは、ミステリにおける首切りをする七つの理由というものを考えてみたそうです。 1、死体に残った証拠を隠すため 2、現場に残った証拠を隠すため 3、切断という行為にかかる時間を利用したアリバイ工作のため 4、特殊な凶器によるため 5、宗教的な理由のため 6、量的軽減のため 7、見立てのため 解決が袋とじになったのは、編集者の考え。 城シリーズのタイトルについている『』を邪魔だと思われる人がいるかもしれないが、自分ではなぜかわからないとのこと。 のちの編集者によると、漢字がうるさいから、という理由もあるようです。 「『瑠璃城』殺人事件」 物理的トリックを湯水の如く注ぎ込んだらどうだろう、という実験的な作品。 読者の生の声には、何を考えているのかわからないという声も多かった。 ファンタジーはメインではなく、ミステリを書いたつもりだが、境界があいまいで読む方は戸惑うかもしれないと反省している、とのこと。 「『アリス・ミラー城』殺人事件」 読者の目も意識するようになり、物理の北山と言われていることも、利用してやろうと思った作品だそうです。 やりたかったのは、物理トリックの新しい道。 叙述トリックと物理トリックの関係性を考えるとこうなった、とのこと。 犯人あてには工夫をした。犯人が当てられた人は、という問いかけに手を挙げた人は、会場で一人だけでした。 「『ギロチン城』殺人事件」 登場人物はすべて記号で表わされていて、記号は非常に重要な要素。 文庫化するに当たって読んだら、登場人物が可哀そうで打ちひしがれた、名前をつけたら、涙で進めないかもしれない、とのこと。 城シリーズにおける恋愛要素は、との問いに対し、自分では意識していない。 恋愛というより、童話的ロマンスがわりと好きで書いている。 最も美しい探偵の関係は、ホームズとワトソンだと思うが、一番好きなのは明智小五郎のようなスーパーマン。 探偵も等しく、犯人になる可能性があるというのが自分のやり方。 ただし、音野シリーズは、由緒正しいホームズ、ワトソンの関係。こだわりをちょっと捨てているそうです。 文庫版の「『ギロチン城』殺人事件」のあとがきに、2009年12月に「『石球城』殺人事件」が出ると書いてあるが?という質問には、2012年マヤ暦が終わるまでには……、という答えでした。 城シリーズが終わったところですが、長くなったので、続きは明日。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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