テーマ:ミステリはお好き?(1450)
カテゴリ:海外ミステリ(サ行作家)
サフォーク州の 人里離れた海岸に位置する 聖アンセルムズ神学校の学生が、近くの砂浜で 砂の下に埋もれた変死体となって発見された。 公式見解は 事故死とされたが、納得しない学生の義父が、ロンドン警視庁に 再捜査の圧力をかけてきた。 少年時代に 同校で 夏季休暇を過ごした経験をもつダルグリッシュ警視長に 白羽の矢が立ち、彼は校内に滞在して 調査にあたることになる。 時を同じくして、同校の閉校を推進する教会幹部も到着するが、ダルグリッシュはそこに不穏な空気を感じた。 はたせるかな、嵐が荒れ狂う夜、彼の目と鼻の先で 残忍な殺人事件が。 内容(「BOOK」データベースより) P.D.ジェームズ……フィリス・ドロシー・ジェームズは 1920年生まれのイギリスのミステリ作家です。 CWA賞(英国推理作家協会)シルバーダガー賞を3度受賞し、 CWA賞 ダイアモンドダガー賞、アメリカのMWA賞(アメリカ探偵作家クラブ)巨匠賞を受賞しています。 91年には、一代貴族に推挙されました。 まさに、イギリス・ミステリ界の女王と言えるでしょう。 彼女の作品は、コーデリア・グレイが登場する作品が2作、ノンシリーズが3作、アダム・ダルグリッシュ警視シリーズが14作あります。 私は、コーデリア・グレイとアダム・ダルグリッシュ警視が登場する、『女には向かない職業』だけしか読んだことはありませんでした。 アダム・ダルグリッシュ警視は、長身で浅黒く、ほっそりとした好男子。 冷静沈着で 感情をあまり表に出さないタイプです。 出産時に 奥さんと子供を亡くしており、悲しみというものをよく知っている人でもあります。 そして、詩人です。 今回読んだ『神学校の死』は、アダム・ダルグリッシュ警視シリーズの12作目にあたります。 なぜ そんな半端なところを読んだかというと、ケーブルテレビでドラマ版が放送されたからです。 実際手に取ったら、482ページと、ポケミスにしては厚いので ちょっとひるみました。 ところが読み始めると、あっという間に別の世界に連れて行ってくれる作品だとわかりました。 自分もその場にいて、海風の音を聞き、落ち葉を踏みしめているかのように感じる、素晴らしい情景描写。 登場人物の良いところも悪いところも描き出し、ひとりひとりの人生まで浮かび上がってくるような、緻密な人間の描き方。 そして、何より、雰囲気がいいのです。 黄金時代のミステリを思わせる雰囲気ですが、これが2001年に発表された作品だと知って驚きました。 さらに、作者がこの作品を書いた時は 80歳を超えていたというのには、もっと、驚きました。 トリッキーさや、派手さはそれほどありませんが、じっくりと本格ミステリを読む喜びを堪能することができる作品でした。 読んだ後にドラマを観たのですが、海の様子がが荒々しく広く、寂しそうで、あまりに想像した海に近いのでびっくりしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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