カテゴリ:日本ミステリ(は行作家)
母を亡くし、心に傷を抱える女子高生・マドカが恋に落ちた相手―それは最強の騎士『サファイア』。
ふたりの出会いは、忍び寄る狂気―社会の片隅でひっそりと息づく異常犯罪者たちから大切な人、そして愛する街を守るための戦いのはじまりだった。 大人への道程にいる、いまだ“不完全”な彼女たちを待ち受ける、過酷な運命とは…。 透明感ある文章で紡ぎ出すファンタジックミステリー。 内容(「BOOK」データベースより) 『退出ゲーム( 感想 )』、『初恋ソムリエ』、『空想オルガン( 感想 )』が好きだったので、初野さんの以前の作品を読んでみたいと思い、友人がすすめてくれたこの作品を選びました。 アーチェリーでインターハイをめざす、女子高生マドカが主人公です。 「サファイア」と呼ぶ下級生の美少女に 一目ぼれをしてしまったマドカ。彼女は後輩にも慕われる、学園のアイドル的存在ですが、実は喘息持ちで、異性よりも同性を愛する女の子でした。 この物語には、弱者だったり、少数派だったり、いわゆるマイノリティと呼ばれる人たちが多数登場しますが、それが初野さんの作品における一つの特徴のようです。 その後マドカは、次々に街に現れる『もりのさる』、『ドッグキラー』、『インベイジョン』、『ラフレシア』、『灰男』と呼ばれる 個性的で、時には狂気に彩られた犯罪者たちと、対決するはめになります。 かなり厚みのある本でしたが、連作短編のような構成なので、あまり長さを感じさせませんでした。 謎を秘めたサファイアの存在、都市伝説のような犯罪。 ファンタジーの要素が、ミステリを独特の透明感で包んでいるように思えました。 ちょっと、初期の辻村深月さんを思い出します。 マドカとサファイアの関わりは微笑ましく、だんだんとサファイアの行く末が 気がかりで、不安になります。 だからこそ、サファイアの正体が明らかになった時には、感慨を覚えました。 そして最後には、確実ではないけれど、きっと明るい景色が見える と思えたことが嬉しかったです。
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最終更新日
2011年11月18日 22時55分06秒
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