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テーマ:こけし探訪(85)
カテゴリ:遠刈田系
ときどきヤフオクには不思議なこけしが出品される。この2月に「佐藤一夫19才」というこけしが出品された。遠刈田の佐藤一夫(米蔵長男。1936-)のこけしは好きなので何本か持っているが、19才は珍しいと思って入札したが、結局落札は出来なかった。
これは「秋保温泉 佐藤一夫作 十九才」と銘があり、胴底には「37.4.15」の書き込みがあるもの。作風は典型的な秋保の菅原庄七の型で遠刈田の一夫とは別のものである。 南部系(花巻)に同姓同名の「佐藤一夫」(1930-)がいるが、もちろんそれでもない。 高井佐寿の『東北のこけし』には、佐藤一夫(秋保町 不詳)として名簿に記載があり、作品も昭和34年作の30.3cmが掲載されている。 このほかに「佐藤円夫(かずお)」もあり、円夫(19426.10-2017)は佐藤武雄長男でいわゆる典型的な菅原庄七の型の秋保こけしである。 いろいろ考えたが結局この19才佐藤一夫は、佐藤円夫のことではないかと判断した。それなら年齢も合う。つまり『東北のこけし』は、佐藤一夫(秋保町)と佐藤円夫(秋保町)を別人として二重に掲載していたのであった。佐藤円夫は戸籍名「一夫」とKokeshiWikiにあった。 佐藤一夫=円夫と考えるとすべてが整合する。つまり佐藤円夫は二十歳ごろまでは「一夫」名でこけしを作っていたのであった。ヤフオクに出品されていた一夫19才は昭和36年。胴底の37年は入手日とすればなんの矛盾もないことになる。 これで胸のつかえが降りた。落札出来なかったもののこのこけしは初期の円夫のものとしていいものであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年09月27日 05時55分32秒
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