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鴎座俳句会(かもめざ)・俳句入門・俳句初心者歓迎! いっしょに学びましょう!
![]() 千日千句抄 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ 鴎座2019年8月号 千日千句抄―チキンライスく 松田ひろむ 病衣にも向日葵を描く未晩年 袋掛改竄いくつ隠しても 耳さとき蛍ぶくろの老婆心 骨肉といえど距離おく熱帯夜 龍馬対弥太郎いずれ冷し酒 晩夏光鶏卵という丸はだか 杉田水脈生産性のない極暑 ひろしま忌総理の言葉棒のごと 勾玉は心臓の形(なり)健次の忌 敗戦日チキンライスに旗立てて 酢橘絞る手つきだんだん踊りの手 いつだって自堕落だけどラ・フランス 隼人瓜姿かたちはどうにでも 黒葡萄フラウといえど喜寿過ぎて 草の絮カバヤの時代ちりぢりに 悪人正機鬼灯なども噛みつぶし 膝痛の齢きつねのかみそりは もう秋かビニール傘を「は」と開く 涼新た足湯でじゃんけんぽんなどと 故郷めぐり酢橘アイスにはじまって (2018年8月) あなたも俳句を始めて見ませんか 思い立ったそのときがチャンスです。 初心者から上級者まで対象(ご希望の方には見本誌として月刊俳誌「鴎座」を無料進呈します。) ●俳句入門講座 ●添削指導 ●句会指導 ●句集出版ご相談 ●その他俳句全般 俳句は自由で多彩な詩・・・・鴎座俳句会はどなたでも参加できます。句会案内をご覧ください。平明清新・抒情・生活感覚! 師系 水原秋櫻子-加藤楸邨-古沢太穂(藤田湘子) 174-0046東京都板橋区蓮根3-12-27-110 松田ひろむ このブログで使用している画像は、私自身が撮影したもの。あるいはフリー素材をその使用条件にあわせて使用しています。
テーマ:現代俳句
カテゴリ:平和
~ルポ 京アニを燃やした男(日野百草著)~ 荒井 類(「鷗座」) 本書の著者・日野百草(以下敬称略)は、今回発売の『京アニを燃やした男』(奥付では2019年11月30日初版発行)の4ヶ月ほど前に、『ドキュメント しくじり世代』を上梓して、(奥付では2019年7月10日初版発行)、ノンフィクション作家としてデビューした。 この著作については「ニューズウィーク」電子版(2019年12月2日(月)17時30分)に、印南敦史(作家、書評家)が〈「私はエリートだから農協に落ち着いたのは忸怩たる思い」団塊ジュニアのしくじり人生〉というタイトルで紹介の一文(書評)を寄せている。まずは、それを引用したい。 「彼ら(引用者注:「しくじり世代」の人々)はある種の被害者なのだが、その被害者にも考えるべきことがあると著者は指摘している。重要なのはこの点だ。 〈氷河期世代と嘆くのも、氷河期のせいにするのも四十代となるともはや甘えでしかない。私達はすでにおじさんおばさんであり、子の父であり母であり、そうでなくとも社会を、家庭を、自身を引っ張っていかなければならない年齢である。それなのにいまだに小中学生気分で子供じみた趣味趣向に溺れ、子供じみた競争意識ばかりにうつつを抜かし、もはや引退したはずの団塊世代に八つ当たりを繰り返す駄々っ子おじさんとおばさんのままである。 繰り返すが我々はもう四十代だ、もう残りの人生は半分あるかないかなのだ。時間はあるようでない、ないことをまず自覚しよう。(203ページ「おわりに――何者にもなれなかった私たち」より)〉 もちろん被害者ではあるのだろうが、被害者意識を身にまとっているだけでは何も解決しない。そもそも時間がなさ過ぎる。だからこそ、今からでも意識を変革すべきだという考え方である。」(傍線は引用者)。 『京アニを燃やした男』の最後の章「所感」の最後「青葉へ」で日野は次のように言う。 (君は生まれてからずっと貧しく、夢は大金持ちだった。/生まれながらの貧しさの理不尽はわかる。/(中略)幼少のの貧しさは同情に値する。/しかし君の問題は中年のおっさんになった今、そこにない。/君に決定的に欠けているのは社会に対するリスペクトだ。/自分が認めてもらうには、まず多くの人々を認めるところから始めなければならない./それが自然と備わっている人もいれば、少々訓練が必要な人もいる。これを世間では社会性と呼ぶ。/そしてその社会性に大切なのは人としての感性だ。/君は社会性の欠如を社会のせいにして生きてきた。君の末路は社会と関係ない。貧相な感性による君自身の帰結である。/なぜなら、社会とは子供の遊び場ではないからだ。)(137~138ページ) 日野百草の『しくじり世代』における「被害者意識を身にまとっているだけでは何も解決しない。だからこそ、今からでも意識を変革すべきだ」というアドバイスと「青葉へ」でのこの言葉のトーンは変わらない。 要は「いい歳して甘えてんじゃね~よ」ということであり、「なんでもかんでも他人(ひと)のせいにして生きてるんじゃね~」ということだ。 この日野百草の言葉は、日野のいままで生きてきた軌跡(本書でいろいろ語られている)を考えると、とても説得力を持って迫ってきた。 本書を書くにあったては、日野百草にはいくつかのアドバンテージがあった。 そのひとつは、「京アニを燃やした男=青葉真司」の育ち、暮らした地域に「土地勘」があったことである。「私のかつての故郷であり、事件までの青葉が暮らした、東武野田線(東武アーバンパークライン)沿線と茨城県西南部を中心に歩き続けた。/そう、憎き青葉の出自、源流は私の故郷でもあった。古くは下総国であり、武蔵国との境目であった。」(7ページ)。「気味が悪いほど青葉の行動範囲が、地名が、すんなりとわかってしまう。」(8ページ)。 第2のアドバンテージは、自己開示ができることである。日野百草は自分の経歴を隠すことなく語る。 〈入社後は日中学院には行かなくなってしまった。就職できたし時間的に通えなくなったからいいやと行かなくなったが、素行不良ですぐ記者をクビになってしまったので、青葉のことは笑えない。むしろ定時制も卒業し、市役所も勤め上げた青葉のほうが、10代の段階では、私よりも上等である。〉(53ページ)。 著者の自己開示がない著作は、たとえそれがノンフクション、ルポルタージュでも、人の心には届かない。 京アニが襲撃され、火をはなたれた。死傷者が多数いるらしい。――こんな報道に接し、その「犯人」に関する断片的なあれこれを聞いたとき、私は10年ほど前の「*秋葉原無差別殺傷事件」の「犯人」(最高裁で死刑が確定されているのでカッコはいらないか)加藤智大(かとう ともひろ、事件当時25歳)のことを思った。*2008年(平成20年)6月8日。 本書の次のくだりを読んで自分の知性を恥じた。 〈アイヒマンはユダヤ人を「この世」から何人追い出すか、要するに何人殺すかを頑張った。殺す方がたくさん追い出せる。そのころには幹部になっていたアイヒマンはユダヤ人根絶に邁進し、終戦間際に上司のヒムラーから停止を求められても日々ユダヤ人を殺し続けた。数をこなすための合理的なユダヤ人根絶工場、ホロコーストを真面目に続けた。/私は組織のアイヒマンとローンウルフである青葉が完全一致するとはもちろん思わない。ただし「無能な凡人の行為による重大な結果」は同じだと思う。/結果アイヒマンは数百万人のユダヤ人を殺した。青葉も稚拙な愚行により36人もの尊いクリエイター達の命を奪った。数の問題ではない。「凡庸なる悪」の惨憺たる結果として同等である。〉(131ページ)。 日野百草は、青葉真司からアイヒマンを思った。「秋葉原無差別殺傷事件」の加藤智大を連想した私とは知性のレベルが違う。京アニへの「愛」の強さが桁外れに違う。――「青葉へ」で日野は言う。 〈そういえば彼(注:アイヒマン)も若き日は不遇だった。/(中略)しかしアイヒマンも君も、結果は一緒だ。/人殺しですら罪深いのに、歴史的な文化破壊を実行した。/ホロコーストも京アニ放火も、文化に、人類に対する罪だ。/生きていたら多くの人類を喜ばせたであろう彼らを殺した。/これはジェノサイドである。〉(135~136ページ)。 (むすびとして) 『京アニを燃やした男』のネタバレをするようなことは、この書評ではあまりしなかった。青葉真司の育った環境とか、その後のこと等は本書でお読みいただきたい。丁寧な取材をされた著者には敬意を表したい。なかなか説得力のある、読み応えのあるルポルタージュに久しぶりに出合った。(以上) <松田ひろむの蛇足> 日野百草受賞作品より 親が子を追ひ詰めてゐるげんげ畑 めまとひやおとぎの国の失業者 落選の達磨のゆくえ花は葉に 毛虫焼く正義に罪の意識なく 花火果て一人一人となりにけり
Last updated
2019年12月11日 06時46分22秒
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