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テーマ:伝統こけしの魅力(99)
カテゴリ:遠刈田系
真室川の佐藤文吉の謎
佐藤文吉(1922-2008)に真室川銘のものがあることは「伊勢こけし会だより」138号、「木でこ」220号の高井佐寿氏蔵(黒頭36㎝)で知っていたが、実際に目にすることはなかった。 その真室川銘のものがヤフオクに出ていたので入手した。2019年11月11日落札、26㎝黒頭、胴模様は重ね菊四で、高井蔵と同手である。 文吉としては戦後初期1958年(昭和33年)のものであろう。 頭が長く、やや垂れ目、目の位置が下にあるため、おぼこい表情がこの時期の特徴である。 文吉は及位(のぞき)に生れ育って、岩手県湯田の丑蔵のところに行った約1年と、戦争に徴兵された約3年を除いて一貫して及位に腰を据えている。 1956年(昭和31年)から1963年(昭和38年)まで「及位 文吉」と署名することが多く、その後は文吉のみが多いが、天童に移住する1976年(昭和51年)にも「及位」とした例がある。文吉は「及位の文吉」というアイデンティティーがあったと思われる。 それにも関らず真室川の文吉とはなんなのだろうか。 山形県最上郡真室川町は1956年(昭和31年)9月30日 に(旧)真室川町、及位村、安楽城村の1町2村が合併し、現在の真室川町となった。 高井蔵は製作年を1958年(昭和33年)としているが、真室川との合併は1956年(昭和31年)でその祝賀や記念とすれば2年後である。 オークファンで検索すると、ヤフオク2012年11月19日終了にも真室川銘26㎝があった。これも黒頭で上記2本と同手であった。 謎というほどのことではないが、不思議である。 諸賢にこのへんの事情をご教示いただければ幸いである。
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最終更新日
2019年11月20日 11時02分13秒
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