事例で解決、労働トラブル　労働基準法がよく分かる

≪労働トラブル　ランダム･シリーズ≫　第６９話


アルコールチェック

常務：トモヒデくん。　大分、ご機嫌のようだね。　帰っていいよ。

トモヒデくん：はぁ？　どういうことですか？

常務：引っかかったんだよ。　アルコールチェックに。　ダメだよ。

トモヒデくん：？　７時間以上経ってますよ。　飲んでから…

常務：はいはい。　とにかく、今日は自宅待機だ。　後で、電話するから。

　　３時間後、自宅に電話すると…

常務：どうだね？　もう、酔いは醒めたかね？　午後１時から、乗車してもらうよ。

トモヒデくん：ウ～イ。　なんですかぁ？

常務：おい。　どういうことだ？！　明朝は、覚悟しておけよ！

　　翌朝。

常務：社長からの処分だ。　本来なら解雇だが、罪一等減じて、自己都合退職とする。　退職願を出すように。

トモヒデくん：？　そりゃないでしょ？！　クビってことですか？

常務：社長の意向で、キミから辞めてもらうことになった。　さあ、退職願は用意したから、これに書いて、提出するように。

おせっかい親父：これ、お願いします。

常務：はい。　宅急便ですね。　お預かりします。

トモヒデくん：あれ？　親父さん。　実は、俺、クビって言われたんですけど…

常務：だから、クビじゃなくって、キミから辞めてもらうことになったんだよ。

　　双方から、詳しく事情をお聞きする。

おせっかい親父：諭旨退職になるのかな？

常務：そうですね。　彼から、退職願を出してもらうんで。

トモヒデくん：俺から辞める気はありませんよ。　昨日のアルコールチェック、変ですから。

常務：でも、自宅待機してたとき、また飲んだろ！

トモヒデくん：帰っていいから、って言うから…

おせっかい親父：トモヒデくんから、自主的な退職願がないとなると、それ以上、強制はできないのお。

社長：おい。　なに、もめてるんだ？！

常務：かくかくしかじかで。

社長：そうか…　前の会社も、酒気帯びで、クビになったそうじゃないか！　せっかく、温情をかけてやったのに。　もういい。　今日限りでクビだっ！！

トモヒデくん：それなら、解雇予告手当くださいっ！　親父さん。　もらえるんですよね、解雇予告手当っ！

おせっかい親父：まあ、そういうことになるが…


　ってなわけで、諭旨解雇。
　名を捨てて実を取ったトモヒデくん。
　おせっかい親父、どうも最近の若い者の考えは分からん…！