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カテゴリ:映画鑑賞
<<バットマンへの誤解>> バットマンは「人間」だった!!! これが私が先日放送された「バットマン・ビギンズ」を見たときに受けた衝撃。 だって、スーパーマンとか、スパイダーマンみたいに不死身の超人だと思ってたんだもん。 スパイダーマンが蜘蛛にさされて変身能力を身につけたように、バットマンも蝙蝠の不思議な能力を身に着けて、なんかへんな怪獣と闘う超人型ヒーローだと思い込んでた。 そしたら人間くさい人間が、街の平和を守るため、ボランティアで悪を一掃にがんばっちゃうのがバットマンだった(笑)。 だから装備も武器もやたら手作り感覚満載。なんだか微笑ましい。 そのバットマンの行動哲学は、普通のヒーローとは違う。 「殺さない。でも救わない」というバットマン・ビギンズでのこずるい、いかにも人間くさい宣言は、私に強烈な一撃をくらわせた。 <<人間とは>> そして見にいった「ダークナイト」。ダークナイトは、バットマンという言葉がタイトルに入っていない。それは最後まで見ると「バットマン」とは誰なのか、何のために存在するのかという問いへの答えになっているため、バットマンと入れる必要がなかったからかもしれない。 けれど、実際はこの物語はジョーカーの物語でもあるからだろう。 ジョーカーは本当の悪とはなにか・・を体現した存在。殺人や詐欺、あらゆる犯罪はそれ自体無論許されることではないが、所詮動機がある犯罪など、小悪に過ぎないと震撼させる。 (亮司などかわいいもの・・・。) 恐怖により混乱を生じさせ、相手を完全に支配し、自分の思い通りに統制する。 真の恐怖とは理性を失い、自分を見失うこと。 ジョーカーはイメージを操り、罠を仕掛け、他人の中に増殖し、完全に世界を掌握する。 ゴッサムシティにジョーカーのクローンがはびこることによって、街は壊滅する。 けれどジョーカーは思う。そうなったら、俺に奪うものはもう残らない。人々の希望を奪い続けるため、バットマンにはいてもらわなければ困る。 良心こそが、光こそが、闇を生み出し、闇を照らす。 だからジョーカーはバットマンを殺さない。 そしてバットマンもジョーカーを殺せない。 光と影の存在であるバットマンとジョーカーは表裏一体。光があるから影ができる。 ジョーカーはバットマン誕生により鬼子として生まれたという執事の言葉が深く胸にしみました。 (この辺は恐らく、世界の警官「アメリカ合衆国」として世界中でアメリカ流の『正義』を振りかざしてきたことが、手段を選ばないジョーカー=「テロリスト」を生み出してきたことなどの内省をさりげなく迫っているのかなとも読めました。) ジョーカー、バットマン、(そしてトゥーフェイスも)実は「人間」であるというその現実が、人間とはなんと弱くて、そして強いのか、そしてそもそも「人間を人間にとどめておくものはなんなのか」、ということを考えさせる、ひどく哲学的な映画でした。 ま、トゥーフェイス誕生あたりはちょっと強引な展開や造形も含めて、もともとのアメコミファンよりに軸を置いてるんでしょうけど、その辺は大目に見ます(笑)。 <<闘わない女はつくづく!!>> じゃあ・・・何が不満で減点なのかというと・・・。 この映画とにかく男性キャストがとても魅力的です。 バットマンは実はそうでもないんだけど(爆)。彼を支える執事のアルフレッドは、マイケル・ケインの素晴らしい演技も合って、そのウイットに富んだ会話に始まり、主人公の暴走に待ったをかける突っ込み役としても、もしこの役がなかったら、映画は子どもじみたうそ臭さで破綻するであろうことが容易に想像できるほどの重要な役割。 そして、モーガン・フリーマン。チャーミングで、大胆。バットマン装備を開発する子どものような側面と、一線を踏み越えたバットマンを怒りをもって諭す大人の側面。 映画が暗くなりすぎないのは、この二人の名優の味。 さらに、山田君も昔好きな俳優に上げていた、ゴードン警部。ゲイリー・オールドマンのバットマンを信じぬく渋い演技。 濃いキャラの中でも埋没しない存在感は秀逸。 またジョーカーを演じるヒースは言葉で何を書いても無意味なので、「自分の目で見ろ!」としかいえません。これから何年も、何十年も語り継がれる伝説をオンタイムで見た。 そういうレベルの世紀の演技です。 私が一番好きなのは、パーティに乗り込んできて、レイチェルに近づいていく時に髪を撫でつけるところ ![]() あとは、例のコスプレ。とにかくやることがちぐはぐで、コミカルで、とにかく魅惑的ですらあるその姿は・・・本物にしか見えません。 じゃあ何が不満なのかといえば、もうここまで書いてきたから分かると思うけど、 唯一の女性キャラ、レイチェルのまぁ魅力的でないこと(笑)。 この監督は三池さんと同じ匂いがするな・・・。 男を描くことに関しては天才的なんでしょうけど、女に関しては・・・・。 「なんだこの優柔不断なあほ女???」としか思えなかった私の人格にかなり問題があることは十分承知なんですが(爆)、それにしたって・・・。 「バットマンじゃない日が来たら・・・・」うんぬん言ってましたけど、「じゃかわしーわ ![]() ![]() なぜ、バットマンとして闘うブルース自身をすべて受け入れて愛してあげられないのか・・・。うーん。危険なことはやめてほしいの?それとも自警のためとはいえ、法を犯し、破壊行為を繰り返すことに愛想が尽きた? ビギンズから人格変わり過ぎでしょ? 女はトゥーフェイス? そういうこと(笑)??? ビギンズの時には、レイチェルはもっと検事補として街の不正を暴くために彼女自身が奔走してたイメージがあったんですが、ダークナイトではただの浮かれたデントの交際相手みたいな位置づけになってしまって・・・。 レイチェル自身が今はどんな覚悟で街の浄化に関わっているのかが不明確になったため、たんなる「私はデントとブルース。どっちを選べばいいの?」的な添え物的役割に落ち込んだのがなんだかな~でした。 あんたもっと凛々しくて、闘ってる女じゃなかったのかい ![]() ![]() レイチェルの心理を深く掘り下げずに、ビギンズからいきなり、ダークナイトで他の男と親密になってるから、「へ???」でした。 もっとどんな想いで、ブルースといることを諦め、ハーヴィを愛したのか。彼女自身の倫理が見えないから、彼女が美しくて哀しい存在として私には響かなかった。 私は「バットマンにはもっといい女がいるからさ。あんまり悲しむなよ」くらいにしか思えなかった。「ブルースに自分を助けに来てもらえなかった・・・」と落胆しながら死んだ彼女は気の毒でしたが・・・。 で、とにかくもしレイチェルに関してどうしても脚本上魅力的に描くことが無理なら、せめてキャストをね、もう少しどうにかしてほしかった(笑)。 最近のハリウッドはスパイダーマンでも隣の幼馴染みたいな親しみあるヒロインを演技力重視で選んでるし、美の基準が変わってきてるんでしょうけど・・・・。 ケイトの代役誰か他にいなかったんかいというのが率直過ぎる意見です(結局顔の問題かよw!!!)。 そんな訳で、この点に関してのみは減点させてもらいつつ、ヒースのジョーカーですべてはジョークにということでお願いします。 山田君も見るかな~?ダークナイト。絶対見てほしい。 ジョーカーの吹き替え、山田孝之でどうでしょう? まだ早いか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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