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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪

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2009年09月01日
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エル・フィンは、ステーション天使エリアに新設された遊撃隊の隊長を務めている。
彼が自らスカウトしてきた七人の隊員とともに、通常の見回り班では対応しきれない緊急の、および高度な案件を扱っているため、当然毎日が忙しい。

地位としては技術主任のデセルと同等であり、エリア統括の二人だけが上司になる。
トールは自らの両腕として二人を深く信頼し、大きな裁量権を認めていた。見ていて働きすぎだと思えば止めることもあるし、時にアドバイスをすることもあるが、それ以外ではほとんど仕事に口を出してくることがない。

「責任をとるのが私の仕事だからね。細かいところは君に任せるよ」

そう上司は笑っていた。
上司自身の仕事量が半端でないことも理由のひとつではあるかもしれないが、実際、遊撃隊員をスカウトしたときの申請書をはじめ、提案や申請したことに文句を言われたことはない。隊員については出自もある程度調べて提出したのだが、どういう知り合いかと尋ねられたことすらなかった。
皆将来有望株だとセラフィトに言われて知ったよ、どうもありがとう、と後で言われたくらいだ。

そこまで信頼されると、期待に応えたくなるのが人情というものだ。
元々の几帳面な性格もあり、エル・フィンは日々仕事に精を出していた。


あるとき、デセル設置になるホイール・スコープが緊急警報を鳴らした。
下層フロアで突然次元の穴が開き、誰かが落ちてしまったらしい。
スコープのメッセージからそれを読み取ったエル・フィンが、書き物をしていた机からさっと立ち上がる。同じものを感知したトールが声をかけた。

「波動の違う場所と繋がってしまったようだが。エル・フィン、行けるかい?」

波動の異なる場所というのは、下手をするとミイラとりがミイラになる危険性がある。トール自身は完全な闇の波動の中でも動けるが、そういう者は珍しいといっていい。
エル・フィンは手元の携帯用スコープに目を落とし、上司に答えた。

「これくらいならいけると思います」
「そうか、では任せるよ。なにかあったらすぐに呼んでくれ」

了解しました、とエル・フィンはオフィスを後にした。副隊長のセーラムに後を任せ、ユーリグを供にしてスコープの知らせるとおりの場所に急ぐ。

食堂や店の並ぶフロアの片隅に、たしかに黒い穴が開いていた。向こうの暗い空間に、十歳ほどの男の子が落ちて意識を失っているのが見える。波動域が異なる場と繋がってしまっているらしく、遠巻きに妖怪のようなものがとりまいているのが見て取れた。
ユーリグが手前にむらがる人々を遠ざけると、エル・フィンは深呼吸してオーラを整え、穴に飛び込んだ。

波動の低い場所から助けるのは、深海に落ちた人を引き上げるのに似ている。
波動域の高い低いは善悪とはまったく関係がないが、振動数が変わるために、一般に低い場所というのは物理的に重い。
三次元で振動数が低い物が固体、高い物が気体になっているようなものだ。それぞれ場所の個性ということができるだろう。

たゆたう暗い霧の中、身体が急に重く感じられる。心にも重石がかかったように引っ張られそうになるが、それを抑えてエル・フィンはまず少年の下に回りこんだ。下から小さな身体を抱えあげ、少しずつ上昇してゆく。
急激に元の波動に戻すと支障があるため、ゆっくりとしなくてはならない。穴から少年の身体をまずユーリグに渡し、自分も這い上がる。

「隊長、大丈夫ですか」
「ああ、これくらいならな。子供の意識がないから、至急ヒーリングセンターへ連絡を」

(緊急にヒーリングが必要のようだね。エル・フィン、手をその子の額にかざしてくれ。悪いけどちょっと借りるよ)

そのときちょうど上司の心話が届いてきた。どうやら仕事しながら、こちらの状況もつぶさに見ていたようだ。
了解したエル・フィンが右手を子供の額にかざすと、とたんに大きなヒーリングエネルギーが自分を通して流れ出した。彼がやったのと同じ方向性で、まずその子の中核へエネルギーを届かせてから波動をあげてゆく。
黒髪の子が無事に目を開けると、見守っていた野次馬から歓声がわきおこった。

(まだ手は離さないで……よし、いいよ。ご苦労様)

医療者の目で子供の状態を確認したのだろう、労いの感触を残して、上司の心話は切れた。
急激に大きなエネルギーを通したため、わずかに頭の芯がふらつく。しかし軽く頭を振って深呼吸するとすっきりしたのは、そのあたりのフォローもぬかりなく上司がしていったからだろうと想像がついた。

すっかり元気になった子供に、それでも今日一日はおとなしくしているように伝え、開いた穴を修復する。ユーリグを報告に戻らせると、エル・フィンは次の場所へと向かった。

緊急というほどの案件でもないが、スコープに反応があるしオフィスに戻るよりもこのまま行ったほうが近いからだ。いちいち書類にしていた案件処理も、この道具のおかげでかなり手間がはぶかれている。

目的地に向かう途中、エル・フィンは一軒の店の前で足をとめた。
ざっと店内を見回してから、主人らしき男に歩み寄る。

「いらっしゃいませ」
「この店の営業許可証は?」

とってないのか?と無表情に言われて、愛想笑いを浮かべていた店主はとたんに表情を凍りつかせた。

「え、あ、いや、そそそのそんなことは……」
「ではすぐにでも申請しろ。書類の出し方がわからなければ担当部署に聞いて、明後日までに登録を済ませること。明後日来たときにまだだったら、監察官に引き渡す」

ぴしりと言い置いて、エル・フィンは店を後にした。
不法営業の店の中には、危険な商品を扱うものもある。後々火種になっても面倒なので、仕事が増える前にと見つければ口頭で注意しておく彼だった。
それで直ればよし、直らなければ痛い目に遭うことになるのは向こうだ。

そのままエル・フィンは中層フロアにゆき、吹き抜けの中庭から回って奥に入っていった。
緞帳のような白いカーテンを潜り抜けると、そこには海の世界が広がっている。

天使エリアには、巨大なアクアリウムがあった。作ったのが誰か、エル・フィンは知らない。大天使かマスター達の誰か、ということだ。

そこは特殊な結界で厳重に処理されており、中庭から普通の水族館のように、ガラスのような透明な壁の向こうに泳ぐ魚を見ることもできるし、白いカーテンをくぐると自分もその世界に入ることもできる。

水自体が魔法の産物で、泳いでいるときの感触は水そのものだが息継ぎはいらないし、外に出るとうっすらと濡れた感触はあるものの、すぐに小さな粒になってはじけて消えてしまうのだった。

広大な水の世界には、たくさんの海の生き物たちがゆったりと泳いでいる。彼らは捕まえられてくるわけではなく、実際に地球の海とつながっているここに来たいものが遊びにくる、そんな仕組みになっていた。
天井処理もきっちりとされているため、きらきらとした光が射しこむ水の中で、場所によっては珊瑚礁があったり洞窟があったり、岩場や海草の林があったりする。
空間は端のほうではループ処理が行われているが、それでなくともとても広い。一日魚になって泳ぎたければ可能だろう。

エル・フィンスコープを片手に水中を確認していると、見知った顔の人物が声をかけてきた。

「セラフィト様、なぜここへ?」
「まあちょっとな。これから仕事か?」
「ええ、水中に綻びがあるようなので」
「そうか、じゃあ見せてもらうわ。お前も忙しいだろうから、話はここの修理が終わったらでいい」

セラフィトは気さくに手を振った。ありがとうございます、と答えてエル・フィンはすいと水の中を泳ぎだした。
素晴らしく美しい、心癒される施設ではあるが、高度な魔法処理によって存在しているために当然綻びも多くなる。
結界の補修依頼が一番多いのもここで、ホイールスコープを一番先に設置したのもここだった。

通常ならば透き通った海の色のはずの水が濁っている箇所に泳いでゆき、周辺の綻びを手早く直す。
終わってアクアリウムから出ると、セラフィトがアクアリウムを観られるベンチに座って待っていた。

「お帰り、あいかわらず見事なもんだ。
このアクアリウム、共有エリアでも作りたいって案があってな。とりあえず天使系の俺が下見に来たんだよ。オルダスは元気か?」
「ええ、お元気です。おかげさまで」

エル・フィンは微笑んだ。セラフィトが上司をかつてオルダスと呼んでいたことが、ようやく彼にも解凍されてきていた。五次元に生きているとはいっても、すべてを諒解しているとは限らないのだ。

「で、相変わらずこっちに引き抜かれる気はないと」
「申し訳ございません」
「しょうがねえなあ……。そうそう、このアクアリウム、オルダスは作り方知ってるかな」

セラフィトの質問に、エル・フィンは少し首をかしげた。

「そうですね、結界や魔法陣には詳しいお方ですから、おそらくは。今のままでは綻びが起きやすいから、一度根本から陣の構成を変えたほうがいいかもしれないとおっしゃっていたことがあります」

「ふうん、ならば奴に聞けばいいか。あとは技術主任だろうな。エル・フィン、今度紹介してくれないか?」

言われてエル・フィンは一瞬戸惑った。
多忙が重なっているからとはいえ、そういえば新任の技術主任とは、まだきちんと話をしたことがないような気がする。

「日蝕式典では忙しいかもしれないが、そのうち頼むよ」

考え込んでいるエル・フィンの肩をぽんと叩いて、セラフィトは去っていった。



















*************

>>【銀の月のものがたり】 目次1 ・ 目次 2

>>登場人物紹介(随時更新)




京都~伊勢の旅の詳細レポートをエル・フィンさん@たか1717さんが提出してくれました(笑)
面白いのでぜひどうぞ~♪

表 http://plaza.rakuten.co.jp/upwind/diary/200908260000/
裏 http://elfin285.blog68.fc2.com/blog-entry-83.html


それからレオン君@かほりさん目線の、こぼれ話のこぼれ話も♪

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1266847934&owner_id=18458013


他力本願~って思ったけど、たかさん&かほりさんのを見て
「ああ、もう私はいいや。カンペキ」と思ったのは事実です 笑
いい部下さんがいると幸せですねwww


コメントやメールにて、ご感想どうもありがとうございます!
おひとりずつにお返事できず、本当に申し訳ございません。
どれも大切に嬉しく拝見しております♪
続きを書く原動力になるので、ぜひぜひよろしくお願いいたします♪


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最終更新日  2009年09月01日 12時04分35秒
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