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文庫「阿部一族・舞姫」を読んだのですが、一番興味深く読んだのが、「堺事件」
フランス兵と衝突事件を起こした土佐藩士二十名が死刑に処せられる。 死刑は二十人だが、フランス兵に射撃したと名乗り出たのが二十九名。 その選抜はくじ引き。 選ばれた者達は、死刑にされるのは納得がいかないと主張し、切腹を希望する。 それが受け入れられ、フランス公使の目の前で一人ずつ切腹をする。 「阿部一族」もそうなのですが、侍にとっての「死」とはどういうものだったのだろうと考えさせられ、カルチャーショックと言ってもいいのでしょうか、読んで衝撃を受けました。 心理描写などはない文章で、死への恐れなどない様に見えますが、切腹前の行動にはそれぞれの様々な思いというのがあるのではと想像してしまうのは、自分が現代日本に生活しているからなのか・・ 十一人が切腹したところで、フランス公使がもうやめてくれと言わんばかりに退席してしまう。 現代の日本人の感覚は、侍たちよりもこのフランス公使に近いでしょう。 「アメリカの黒人演説集」の中の、マルコムXの演説「投票権か弾丸か」の文章を思い出しました。 『太平洋で戦ったことのある白人復員兵に会ってごらん。日本兵に死ぬほどの恐怖を感じ、今でも体の震えが止まらず・・・』 しかし、自分たちの運命を自分で決定しようとする意志の強さ、行動に対する責任・・ 大和魂、サムライジャパンなどという言葉は軽はずみには使えないなと、「堺事件」、「阿部一族」を読んで強く思いました。 ことの成り行き、切腹の場へ向かうまでの描写、無駄がないだけに余計に印象に残りました。 「阿部一族」の行動は、すんなりとは理解できなかったというか・・ 青空文庫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 6, 2009 02:37:27 AM
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