テーマ:お勧めの本(7395)
カテゴリ:本
日本ミステリー史上最高傑作との評判も聞いていて、以前から是非読みたいと思っていた作品。
上下巻合わせて800頁ほど 洞爺丸転覆など実際の事件と関わり合いながら、ある一族の周辺で殺人事件が・・ 中井英夫は、短歌誌の編集長ということもあり、ちょっと難解な文章なのかと予想していたのですが、探偵気取りの女性シャンソン歌手などが推理を語る口調はOL探偵物としてありがちなのではないかというくらい(悪く言えば)軽薄。 一つ一つの推理がもっともらしく感じるのですが、それが否定されというように話が展開。 完全に間違いかどうかわからずに進んでいくので、読了した後も、他に正解があったかもという気にもなります。 ヴァンダイン、チェスタトンなどのトリックが数多く列挙されるので、ミステリー好きにはピンとくるのかなと。 上巻は最高傑作という謳い文句ほど素晴らしい出来だとは感じなかったのですが、下巻は面白い! 下巻の冒頭の事件で人物がはっきりと立体感を持って見えてきたと感じました。 後書きに「純文学的過ぎる」と書かれていたとおり、結末はすっきりしないと言えなくもないところもあるのですが、自分にはパズルがはまるようにきっちり終わっていては逆に不満を感じるかなと。 都合よすぎるのではというくらい現実に起こった事件が関連してくる構成は凄い! 著者自身が後書きに「その後の現実があまりにも物語どおりに進行するのに呆気にとられ」と書いているのですが、書こうとしたことが現実に起きるというのは気味悪いだろうなと。 現代史を理解するにはもってこいというほどで、青の時代など時代に敏感だった三島由紀夫が、論評を伝えたいと中井英夫の所にわざわざ足を運んだというのもうなずけます。 「虚無への供物」という素晴らしい題名はヴァレリーの詩「失われた美酒」から 美酒少し海へ流しぬ 「虚無」にする供物の為めに 人気blogランキング「自転車カテゴリー」へ 今日は時間がある日だったので少し乗ろうと思っていたが、寒く雨もぱらついたのでノーライド お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 2, 2009 11:59:53 PM
コメント(0) | コメントを書く
[本] カテゴリの最新記事
|
|