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ウクライナから北イタリア・トリエステにやってきた女・イレーナ。
彼女は金細工の工房を営む裕福なアダケル家の家政婦として雇われる。 それは、向かいの部屋からアダケル家を監視し、周到に策を講じて手に入れた念願の職場だった。 完璧な仕事ぶりと人柄でアダケル夫妻とその一人娘・エマから全幅の信頼を得るようになる。 そして、次第に彼女の過去とその目的が明らかになっていく・・・。 大好きな作品「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督・脚本の作品。 これまでの郷愁を帯びた作風からガラリと変わり、ハードなサスペンス作品で驚いた。 しかし、これがとても見ごたえのあるサスペンスに仕上がっていて抜群に面白かった。 冒頭、薄暗い部屋で仮面の女たちが誰かに審査される不気味なシーンから一気に引き込まれた。 そこからイレーナがアダケル家を探る中盤にかけては息苦しいほどの緊張が続き、釘付けだった。 イレーナの謎めいた過去を断片的に見せるフラッシュバックがとても効果的で、 過去にまつわる何らかの目的があることを常に観客に意識させ、全く飽きさせない。 現在と過去がつながる終盤も、大きな驚きはないものの静かで悲しい展開に心打たれる。 辛く悲しい物語だが、この監督らしい人間味溢れる温かいラストに救われる。 主人公イレーナを演じたロシアの女優であるクセニア・ラパポルトが素晴らしかった。 現在と過去、強かさと温かさ、激しさと物静かさの二面性のある難役を見事に演じきっていた。 「ニュー・シネマ・パラダイス」でもコンビを組んだエンニオ・モリコーネの哀愁漂う音楽も絶品。 ジュゼッペ・トルナトーレ監督は、昨年2人組の強盗に襲われたらしい。 頭部を負傷したが命に別状なし。よかった、よかった。これからも良質な作品をお願いします。 ■題名のない子守唄 おすすめ度(3点満点): お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年06月26日 22時27分05秒
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