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5/12(日)
おはようございます。 最近は休みでも疲れがとれなくてイマイチです。 年のせいもあるけれど、休みにやりたいことが思うように出来ないのが辛いですね。 円安もこれだけ急激に進んできて逆に厳しくなってきている業種も多そうです。 何事も中庸が良いというところですね。 25日はブロ友さんのオフ会に出る予定です。 それが目先の楽しみかな。 良い休日を~。 朝倉かすみ『エンジョイしなけりゃ意味ないね』幻冬舎文庫。 「直立チューリップ」 横関美夏は名の知れた電子部品会社の総務部総務課へ配属となった。 新人での配属は5年振りらしい。 総務課は美夏を入れて、男子3名女子4名という構成で、合コンでもてそうな美人さん、それとは対照的な真ん中分けさん、中年さん、それぞれ個性的な面々に美夏は怖いと思うのだった。 中年さんはどうでもいいような個人情報を開示してくれるが、美夏には本当にどうでもよくて、真ん中分けさんは毎週月曜日に花を持ってきて飾るのだが、特に花を愛でている訳ではなかった。美人さんのプライバシーは謎で笑顔は素敵なのだが、その意味のない笑いが美夏には怖いのだった。 今週の花はチューリップで、美夏は手探りをしながらも仕事をするのだが、仕事をこなせているという実感が湧かないのだった。 そんな美夏が自分の仕事っぷりが評価されているのを知ったのは最近で、その場にいた真ん中分けさん、美人さん、中年さんのそれぞれの反応を見て、美夏はやっぱり怖いと思うのだった。それはコントにも思えた。 でも美夏は飾ってあるチューリップのように伸びてやると新人っぽく思った。 「エンジョイしなけりゃ意味ないね」 棚橋りつ子は46歳で1男1女を持つ母である。 朝は6時に起きて、夫、長男、長女を送りだし、そして8年間パートをしている信託会社へ向かうのが常だった。 会社での仕事は入出金処理を始めとする後方事務で、9時から4時まで働いている。 結婚前に証券会社で働いていたせいもあって、外務員1種を取得してフルタイムで働かないかというオファーもきていた。 子どもの今後かかる学費などを考えるとそれも選択肢なのだった。 家に帰るころにはくたくたで、子どもには家事を割り振っている。 毎日がそんな感じながら、りつ子は忙しさの質が違ってきたと思うのだった。 昔は先が見えないが故の怖さがあって、それが勢いとなり忙しさが加速していたいたけれど、最近は先が見えるが故の怖さに変わってきていて、この方が辛いなぁと考えるのだった。 それでも、働く場所があって、新しいことを覚える機会があって嬉しいし、みんなが笑ってくれたら嬉しいと思う。 愉しみたいとか愉しまなきゃと思う手前の、今この時に愉しみ事があるのだな、でもそれは精一杯ということなのかもしれない、とりつ子はため息をつく。 欲しいものはないけど、ちょっと欲しいものはたくさんある。したいことも特にない。野垂れ死にもありと腹をくくっているけれど、子どもたちが大学を出るまで死んでられない。 空を見上げると良い夜空だった。 淡々と綴ってある文章がどこか心に響くといった短編集です。 12編収録、お得感たっぷり。 こういう文章を狙って書けるとしたら、それは才能ですね。 大したもんです。
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