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テーマ:レンタル映画(817)
カテゴリ:映画
私の好きな役者さんである荒川良々さん(たぶんアラカワ・ヨシヨシと読む)とか、松尾スズキさんとかも出てました。原田知世さんも懐かしかったです。終戦直後という時代設定のレトロな雰囲気がオシャレでいてどことなく退廃的に映像化されており、田中麗奈嬢のコスプレチックな衣装もかわいかったです。
個性的な役者さんが適材適所で配置されてた気がします。 (原作は読んでいませんから、以下は映画を観た範囲だけで書いてます) ストーリーも、私はおもしろかったです。 阿部寛さん扮する名探偵は、彼が「トリック」(TVドラマ)で演じている大学教授のようなコミカルな尊大さを持ち合わせていました。その彼が事件の謎解きをするのかと思ったら、 「これはすでに事件じゃない。事件はもう解決している」 なんてふうな謎めいた言葉を残していったん物語の表舞台から姿を消します。 謎解き役が不在のまま、まったりとそして軽くおどろおどろしく話は進み、今度は阿部清明の血を継ぐという陰陽師が登場してきますが、その彼も「事件はもう解決している」と言って、謎解きに乗り気うすだったりします。 どちらの役柄も、物語の謎解き役にふさわしいくらいしっかりとキャラ作りされているにもかかわらず、です。 つまり、この話は、「解決しているはずの事件がなぜ解決していないように見えるのか?」という話なのです。 あるいは「謎解き役に見放されたミステリー」です。 そういうところがとってもおもしろかったのですが、そういう題材は、本来短編向きのものだと思われます。 本筋だけを追っていくと、45分くらいにまとまるんじゃないかと思いました。 その本筋に、妖怪関係の薀蓄、認識論に関する薀蓄、ちょっとした恋愛感情のなりゆき、猟奇的なエピソードなどをからめて2時間ものにしていくのですが、どうなんでしょうか?? 私にはちと冗漫に感じられました。しかし、作り手もそのことを意識していたように感じました。見る側をその部分で退屈させないためのキャスティングであり、映像的な工夫だったんじゃないかな、と。思いました。 その冗漫な部分を支える、という難しい役どころを永瀬正敏さんが好演してました。 ところでこのタイトルって、「ウブメの夏」って読むんですなぁ。。 作品内の薀蓄によると、ウブメとは自分の赤ん坊を抱け、と人にせがむ日本の妖怪だそうです。 また、「姑獲」とはコカクと読み、赤ん坊をさらって食らう中国の妖怪だそうです。 この2種類の妖怪が、日本では混同され、同一視された、ということが映画の冒頭で語られます。 そして、20ケ月も妊娠しているという女性の話が出てきます。 この後に先に述べたような展開がやってくるわけですが、全体を通して異界を覗き見たという気分にさせてくれる映画ではありました。私は、いい映画だと思いましたっ。 監督の実相寺昭雄さんは「帝都物語」の監督でもあります。 「帝都物語」のクライマックス・シーンは、その4年後に公開されたコッポラの「ドラキュラ」のクライマックス・シーンにそっくりだと思ったのは、私だけでしょうか?? 私にとって「帝都物語」は、あのコッポラの「ドラキュラ」に先行する作品、ひょっとすると影響を与えたかもしれない作品として存在しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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