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2019.12.18
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 その瞬間、レアナは、ユーノが自分の知っているユーナ・セレディスでなくなっているのに気づいた。歩み去って行く後ろ姿は、セレドの第二皇女ではなく、『星の剣士』(ニスフェル)の異名を持つ剣士のそれであり、ラズーンの『正当後継者』候補のそれであり、レノよりもヒストを駆って運命を走り抜けて行く、1人の見も知らぬ若者の姿だった。

 そして、レアナは、今ラズーンの神々にユーノの安全を祈りながら、そのユーノに対する想いのあやふやさに、己の不実を噛み締めずにはいられない……。

(肉親なのに。実の姉なのに)

 自分よりも、あのレスファートと言う少年の方が、ユーノに無償の想いを注いでいるではないか。己一人が取り残されるのが悲しいのではない、そうして出て行ってしまったユーノの孤独の方が悲しい、とそのためだけに涙を流せる。

 レアナは今まで、他の誰に対しても誠実に尽くせるものと思い、尽くして来たと思っていた。だが、今度のことで、自分は自分に対して尽くされていた誠実だけに応えて来た、いや、その幾分かのみ応えていたのだとわかった。己の尽くせる誠実とは、実の妹にさえ、ただ1つの疑惑でたやすく揺らいで、今にも崩れ落ちそうになっている。

(なぜ、私はユーノをそのまま受け入れてやれないのかしら。理由が話せないなら話せないなりに、それでもあなたを愛していると、なぜあの時言ってやれなかったのかしら)

 もし万が一、このままユーノが逝ってしまうようなことがあれば……。

 レアナは微かに身を震わせた。そうなった時、レアナは一体誰に己の不実を釈明すればよいのだろう。

 利己的な祈りではあった。己の魂の未熟さとわかっていた。だが、レアナは再び強く祈らずにはいられなかった。

(神よ、ユーノを、我が妹を無事に帰したまえ)

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Last updated  2019.12.18 21:39:35
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