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草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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草加の爺(じじ)

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2024年05月16日
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秋萩の 戀も盡きねば さ男鹿の 聲い継ぎい継ぎ 聲こそ益(まさ)れ(― 秋萩に対する恋心

もまだ満たされないのに、男鹿が次々に鳴き立てて、妻への恋慕の情が益々募って来るよ)


山近く 家や居(を)るべき さ男鹿の 聲を聞きつつ 寝(い)ねかてるかも(― 山近くに住ま

うものではない。男鹿の妻を呼ぶ声がいつも聞こえて、眠ることが出来ない)


山の邉(べ)に い行く猟夫(さつを)は 多かれど 山にも野にも さ男鹿鳴くも(― 山の辺に

出かける猟師は多いけれども、それでも山にも野にも男鹿がしきりと鳴き立てている)


あしひきの 山より來(き)せば さ男鹿の 妻呼ぶ聲を 聞かましものを(― 山の道を来たの

だったら男鹿の妻を呼ぶ声を聞いたであろうか)


山邉には 猟師(さつを)のねらひ 恐(かしこ)けど 男鹿鳴くなり 妻が眼を欲(ほ)り(― 

山辺では猟師の目が恐ろしいのだが、妻の眼を見たさに男鹿が鳴いている)


秋萩の 散りゆく見れば おぼぼしみ 妻戀(つまごひ)すらし さ男鹿鳴くも(― 秋萩が散っ

ていくのを見ると、心が曇るものだから、男鹿がしきりと鳴く、妻を慕っているらしい)


山遠き 都にしあれば さ男鹿の 妻呼ぶ聲は 乏(とも)しくもあるか(― 山に遠い都である

から、男鹿の妻を呼ぶ声はあまり聞こえない)


秋萩の 散り過ぎゆかば さ男鹿は わび鳴きせむな 見ずは乏(とも)しみ(― 秋萩が散りさ

ってしまったら男鹿は力を落として鳴くだろうな。萩を見ないと心が満たされないので)


秋萩の 咲きたる野邉は さ男鹿そ 露を分けつつ 妻問(つまどひ)しける(― 秋萩の咲いて

いる野辺は男鹿が露を分け分け、妻問いするんだなあ)


何(な)ど鹿の わび鳴きすなる けだしくも 秋野の萩や 繁く散るらむ(― どうして鹿が力

なく悲しげに泣くのであろうか。多分、秋の野の萩がしきりと散っていくからであろうよ)


秋萩の 咲きたる野邉に さ男鹿は 散らまく惜しみ 鳴きぬるものを(― 秋萩の咲いている 

野辺で男鹿は萩の散るのを惜しんでいたのに)


あしひきの 山の常陰(とかげ)に 鳴く鹿の 聲聞かすやも 山田守(も)らす児(― 山の陰で

鳴く鹿の声をお聞きになりますか、山田を守っておいでのお方は)  求愛の心があるように見え

る。


夕影(ゆうかげ)に 來鳴(きな)くひぐらし 幾許(ここだく)も 日毎(ひごと)に聞けど 飽か

ぬ聲かも(― 夕方の光の中に来て鳴くひぐらしは、こんなに、毎日聞くけれどもまだ飽き足り 

ない)


秋風の 寒く吹くなへ わが屋前(やど)の 淺茅(あさち)がもとに 蟋蟀鳴くも(― 秋風が寒

く吹く吹くとともに、わが家の庭先の浅茅の根元でコオロギが鳴く)


影草(かげくさ)の 生ひたる屋前(やど)の 夕陰(ゆふかげ)に 鳴く蟋蟀は 聞けど飽かぬか

も(― 影草の生えている庭先の暗い物陰で鳴くコオロギは、いくら聞いても聞き飽きない)


庭草に 村雨(むらさめ)ふりて 蟋蟀の 鳴く聲聞けば 秋づきにけり(― 庭先ににわか雨が

降ってコオロギの鳴く声を聞くと、ああ秋らしくなったなあという感に打たれる)


み吉野の 石本(いはもと)さらず 鳴く河蝦(かはづ) うべも鳴きけり 川を凊(さや)けみ

(― 吉野の川のほとりの岩のもとでいつも鳴いているカジカは、こんなに鳴いているのももっ

ともだなあ、川の流れが清く澄んでいるから)


神名火(かむなび)の 山下響(とよ)み 行く水に 河蝦鳴くなり 秋といはむとや(― 神名火

の山下を響かせて流れていく川で、カジカの鳴く声が聞こえる。秋が来たと言おうとするのだろ

うか)


草枕 旅に物思ひ わが聞けば 夕片(ゆうかた)設(ま)けて 鳴く河蝦かも(― 旅に出て物思

いしながら私が耳を傾けていると、夕方になってカジカが鳴いている)


瀬を速(はや)み 落ち激(たぎ)ちたる 白波に 河蝦なくなる 朝夕(あさよひ)ごとに(― 

瀬の流れが早いので、激しく流れ落ちて立つ白波のあたりでカジカが鳴く声が聞こえる、毎朝毎

晩)


上つ瀬に 河蝦妻呼ぶ 夕されば 衣手(ころもで)寒み 妻枕(ま)かむとか(― 上つ瀬でカ

ジカが妻を呼んでいる。夕方になると袂が寒いので、妻とともに寝ようと言うのであろうか)


妹が手を 取石(とろし)の池の 波の間ゆ 鳥が音(ね)異(け)に鳴く 秋過ぎぬらし(― 取

石の池の波の間から、鳴く鳥の声がいつもと変わって聞こえる。秋ももう過ぎたらしい)


秋の野の 尾花が末(うれ)に 鳴く百舌鳥(もず)の 聲聞くらむか 片聞く吾妹(わぎも)(―

 秋の野の尾花・ススキ の先あたりで鳴く百舌鳥の声を今聴いているであろうか、一人で聞い

ている最愛の妻は)


秋萩に 置ける白露 朝な朝な 珠としそ見る 置ける白露(― 秋萩に置いた白露よ。朝な朝

な私はそれを珠として見ることだ、秋萩に置いた白露よ)


夕立の 雨降るごとに 春日野の 尾花が上の 白露思ほゆ(― 夕立の雨が降るごとに、春日

野の尾花の上の白露が思いやられる)


秋萩の 枝もとををに 露霜(つゆしも)置き 寒くも時は なりにけるかも(― 秋萩の枝もた

わむばかりに露霜が置いて、時節は本当に寒くなったなあ)


白露と 秋の萩とは 戀ひ亂れ 別(わ)くこと難き わが情(こころ)かも(― 白露と秋の萩が

心乱れるほどに好きで、どちらが一層好きかと、はっきり区別出来ないほどの気持ある)


わが屋戸(やど)の 尾花(をばな)おし靡(な)べ 置く霜に 手触れ吾妹子(わぎもこ) 散らま

くも見む(― 私の家の門先の尾花をなびかせて置いている露に、妻よ、手を触れて御覧、その

露の落ちるところを見たいから)


白露を 取らば消(け)ぬべし いざ子ども 露の競(きほ)ひて 萩の遊(あそび)せむ(― 白

露は手にとったならば消えてしまうであろう。さあ、みんな、あの白露が消えない間に萩の見物

をしよう)


秋田刈る 仮廬(かりほ)を作り わが居れば 衣手(ころもで)寒く 露そ置きにける(― 秋の

田を刈る仮小屋を作って住んでいると、袖も寒く露が降りたことである)


このころの 秋風寒し 萩の花 散らす白露 置きにけらしも(― この頃の秋風はめっきり寒

い。萩の花を散らす白露が降りたらしいな)


秋田刈る 廬(いほ)搖(うご)くなり 白露し 置く穂田なしと 告(つ)げに來(き)ぬらし(―

 秋の田を刈るイホリが動く音がするようだ。自分の降りる穂田がないと白露が告げにきたらし

い、稲が刈られてしまったから)


春は萌(も)え 夏は緑に紅の しみ色に見ゆる 秋の山かも(― 春は草木が萌え、夏は緑に、

秋は紅の色どりに見える山であるなあ)


妻ごもる 矢野の神山 露霜に にほひそめたり 散らまく惜しも(― 矢野の神山が露霜のた

めに色付き始めた。散ったら惜しいなあ)


朝露に にほひそめたる 秋山に 時雨(しぐれ)な降りそ あり渡るがね(― 朝露に色づき始

めた秋山に、しぐれよ降るな、もみじがずっとあるように)


九月(ながづき)の 時雨の雨に ぬれとほり 春日(かすが)の山は 色づきにけり(― 秋九月

のしぐれの雨にすっかり濡れて、春日の山は今見るとすっかり色づいている)


雁が音(ね)の 寒き朝明(あさけ)の 露ならし 春日の山を 黄葉(もみ)たすものは(― 雁

の声の寒く聞こえる朝の露であるらしい。春日山を黄葉させるのは)


この頃の 暁露(あかときつゆ)に わが屋前(やど)の 萩の下葉は 色づきにけり(― 最近の

早朝の露で我が家の萩の下葉は美しく紅葉したことであるよ)


雁がねは 今は來(き)鳴(な)きぬ わが待し 黄葉(もみち)はや繼げ 待てば苦しも(― 雁

はもはや来て鳴いた。私が待っていた黄葉よ、早く続いて色付け、待っていると苦しいから)


秋山を ゆめ人懸(か)くな 忘れにし そのもみち葉(ば)の 思ほゆらくに(― 秋の山のこと

を決して人は口に出して下さるな。忘れてしまったその秋山の美しい黄葉が思い出されるから)


大坂を わが越え來(く)れば 二上(ふたがみ)に 黄葉(もみちば)流る 時雨ふりつつ(― 

大和と河内を連ねる大坂を私が越えてくると二上山に黄葉が流れるように散っている。時雨がさ

ーと降って) * 二上山は葛城郡当麻・たいま村の西境にある。北に雄岳、南に雌岳の二つの峰

があるのでこの名がある。雄岳の上に大津皇子の墓がある。大津皇子は天武天皇の皇子で、有力

な天皇候補者であったが、天武天皇が没後に、謀反の疑いで持統天皇に捉えられて刑死した悲劇

の人物である。この歌ではこの事を頭に置いて鑑賞したほうがよいと思い、注釈しました。


秋されば 置く白露に わが門(かど)の 浅茅(あさぢ)が末葉(うらは)色づきにけり(― 秋

になると置く白露に、私の家の門辺の短いチガヤの末葉が色づいたなあ)





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最終更新日  2024年05月16日 10時49分04秒
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