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テーマ:旦那さんについて(2445)
カテゴリ:心理学
玄関のチャイムが鳴った。夫が帰ってきたのだ。時計は12時を過ぎていた。
「飲んでるわね?」 玄関の扉を開けて入ってきた夫の顔を見て、幸子は言った。 夫は黙って、家の中に入っていく。 「会議じゃなかったの?」 幸子は、夫の背中に向かって言った。 無視してネクタイをほどいている夫。 「今日は、あなたが浩司を迎えに行く番だったわよね。ちゃんと守ってくれないと困るわ。あたしだって、あなたと同じように働いてるんですからね。少しは家事や育児に協力してちょうだいよ!」 夫は風呂場に行き、服を脱ぎ始める。 幸恵は、服を脱ぐ夫の手を掴み言う。 「ちょっと、ちゃんと話を聞いてよ!」 夫は手を止め、妻を見る。 「あたしたちのことなんてどうでもいいと思ってるんでしょ!」 「大事に思ってるさ! だから、こうして遅くまで働いているんじゃないか」 「働いてるですって? お酒のんで帰ってきて何が働いてるよ」 「男の社会ではな、大事な事は会社じゃなくて酒場で決められるんだ!」 夫は、妻の手を振り払い、風呂場の戸を荒く閉めた。 幸恵には、それが二人の心を隔てる扉が閉まったように感じた。 幸恵が矢野のセラピールームで話した内容は以上のようなものだった。 幸恵の話を聞き終えて、矢野が言った。 「ご主人の姿を思い浮かべてください」 幸恵は目を閉じて夫の姿を思い浮かべた。 「ご主人の姿は、どの辺りにありますか?」 (つづく) 次回は、いよいよセラピーに入ります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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