|
テーマ:船・船旅の楽しみ(315)
カテゴリ:第74回ピースボートの旅
貧困、暴力、犯罪、社会的不平等をどう解決するか 昼食で久し振りに八宝菜が出た。肉より野菜、特に赤ピーマンが目立つが、中華好きだから嬉しかった。船の食事で中華料理は割と多いが、一度に大量を調理するためか味はやや落ちる。 「されど八宝菜」 外食といえばよく中華料理を選ぶ自分だが、味わうというより腹を満たすという意味合いが多かったように思う。ところが、この船に乗って3ヶ月になろうとする今、あの店のラーメン、あの店の中華丼、あの店の中華ランチとか、その店ごとの味が強烈に思い出されるのである。 船内の食事がまずいわけではないし、時間になれば朝、昼、晩と3度の食事が用意されている。この船旅は3食付きの移動下宿に泊っているようなものだ。しかし、食べたいときに食べたいものを食べられないと思い始めると、急に欲求不満が高まっていくようだ。もし何人か集まり「帰国後何を一番食べたいか」というテーマで話をすると、話はとめどなく続きとどまることがないだろう。 さて明日は今回の船旅で最後の国(21ヶ国目)となるメキシコに寄港する。16時15分から、「メキシコの人間安全保障」という講演を聞く。講師はメキシコ人の水先案内人パブロ・ロモさん。 以下は、彼の話の概要である。 植民地支配はエネルギー資源と天然資源の支配であり、特に20世紀は石油が争奪の的となった。メキシコも産油国であるが、石油があることは「呪い(のろい)」のようなものであり、世界経済の中に組み込まれ、自国の国民の利益にはなっていない。 「石油の存在は呪い」 メキシコではこの4年半で5万人が内戦や暴力により死亡している。これは、アフガニスタンよりも多い。特に女性やジャーナリストの殺害が多い。軍事費が増加している反面、国民の貧困は改善されない。国民の46.2%が1日2ドル以下の暮らしをしている。 国家予算における教育費の割合は1.3%に過ぎない。学費の高いエリート養成のための私立学校と大衆的な公立学校がある。公立学校の先生たちは給料は安いが、貧しい子どもたちにとってはヒーロー的な存在である。 教育の問題は、学校にあるのではなくテレビにある。テレビの影響が大きくて暴力や性や男性主義が番組に反映され、国民性を大切にしない。ましてや、テレビ番組のヒーローは先住民ではない。 このように、負の側面を紹介したあとその解決策は容易ではないが、様々なことに同時に対応することが大切だと言われた。その上で、負の連鎖を断ち切り問題を解決していくためには大国だけでなく、メキシコ人自身にも責任があるとも話された。 メキシコが最後の訪問国になるが、これまで訪問した国の約3分の2の国が、治安・貧困・暴力・圧政・人権など、様々な問題を抱えている。世界遺産の隣りに、現に生きている人々の貧しい暮らしがあることもこの目でいっぱい見てきた。 「グアテマラでの買い物」 いつものように、グアテマラで買った物を並べてみた。2日間のグアテマラ寄港で約800人のこの船の船客たちはグアテマラにどれぐらい経済貢献できただろうか。 明日はメキシコのアカプルコに寄港する。どんな体験が待っているか楽しみである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[第74回ピースボートの旅] カテゴリの最新記事
|