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カテゴリ:■形成外科・手外科
■Acute hand infectionを来たしやすい群2つ
(1) 元気な若い人 -小さな傷を無視 or 見過ごされて悪化するパターン -基本的に予後はよい -皮膚の正常細菌叢(normal skin flora)が原因のことが多い -皮膚正常細菌叢はグラム陽性球菌のStaphylococcus epidermidis(表皮ブドウ球菌)、グラム陽性桿菌であるCorynebacterium spp.(コリネバクテリウム属)、真菌なども存在する (2) 免疫力が低下した人 -基本的に予後は悪い -混合細菌叢(mixed bacterial flora)が原因のことが多い -特にグラム陰性(Gram negative)、嫌気性菌(anaerobic bacteria)が多い ***************************************************** ■グラム染色とは C.Gramによって考案された染色法で、 ・紫色に染まった菌をグラム陽性菌 ・赤く染まった菌をグラム陰性菌 と呼ぶ。 ※臨床的に重要なものは、 ・グラム陽性球菌とグラム陰性桿菌 ※(a)グラム染色と(b)好気性・嫌気性は全く別のカテゴリー (写真はグラム陽性球菌(=紫丸)とグラム陰性桿菌(=赤棒)) ***************************************************** ■嫌気性菌とは -空気(=酸素)のない条件下で生育する細菌を嫌気性菌(anaerobe)と呼ぶ。 -嫌気性菌は、土壌の中や体の深部(とくに空気の触れない粘膜の中)に常在する。 -土壌中の嫌気性菌(Clostridium)は外因性感染(破傷風など)を起こし、 体内に常在する嫌気性菌(Bacteroidesなど)は内因性感染(敗血症など)を起こす。 -嫌気性菌感染のほとんどが内因性感染である。 -外因性感染で臨床上重要なのはClostridium(嫌気性菌であり、グラム陰性桿菌でもある)。 ■嫌気性菌感染症の特徴 1.慢性/亜急性の経過をとる 2.深在性である 3.組織の壊死を伴う 4.悪臭のある分泌物が多い 5.膿瘍形成傾向が強い 6.ガス産生性である 7.難治性である 8.単独感染より混合(複数菌)感染が多い。 ■嫌気性菌感染症の治療 1. 排膿(ドレナージ):まず第一にこれを行なう。これは抗生剤療法に先行する。 2. 壊死組織の外科的切除:開胸排膿など 3. 抗生剤療法:膿瘍や壊死組織での薬剤濃度を高めるために通常経静脈投与を行なう。 ■まとめ ・グラム染色と好気性・嫌気性は全く別のカテゴリー ・グラム染色では紫が陽性 ・日和見感染ではグラム陰性菌、嫌気性菌感染が多い ・嫌気性菌は深部感染を来しやすく排膿が第一 ■References ・感染症講義 (非常にわかりすくコンパクトにまとまっている。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.08.14 11:39:38
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