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新英語教育研究会神奈川支部HP

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2008.5 会報150:年間計画creative writing

2008年5月春の1日研修会(会報150)
●ワークショップその2 「年間授業計画にcreative writingを」
萩原 一郎さん(県立横浜緑園総合高校)
 参加者の感想のなかに「やっていることのすばらしさをもっとアピールすべき」ということばがありましたが、本当にそうだと思います。ちょっぴりシャイな、神奈川支部事務局長・萩原一郎さんの手堅い授業実践は、取り組みやすい手順が示されていますので、明日の教室ですぐに使えます。ぜひお試しください。

(1)ワークショップ
●一文による英文自己表現:与えられた文型を用いて英文を作る。
・ 方法+発展+工夫:「適切なモデル文を提示(先輩の作品だとさらに良い)」「英文だけでなく、日本語でひと言コメントを付け加えるように生徒に指示する」「生徒作品をプリントに掲載し授業で読み合うなど、作品の集団化をする」
・ 指示:I want 人 to …を使って「あなたが誰かにしてもらいたいこと(または、してもらいたくないこと)」を書いてみましょう。to の後には動詞の原形が続きます。
・ 例文:I want my parents to live long. (両親に長生きしてもらいたい)
I want all the people to love each other.(すべての人達に愛し合ってもらいたい)
I don’t want my mother to say, “Study hard.”(母に「勉強しなさい」と言ってもらいたくない)
・ 生徒の作品+ひと言コメント:
I want my sister to take care of our pet. (姉にペットの世話をして欲しい) 
姉が大学生なので朝遅くまで寝ていてペットの世話をしないから。
I want Kojima Yoshio to wear clothes.(小島よしおに服を着て欲しい) 
服は着て欲しい。観ているほうが色々寒いです。
(イラスト:http://plaza.rakuten.co.jp/eahatopen/)
I want everyone to smile. (みんなに微笑んで欲しい) 
笑っている顔が一番好きだから。
・ 例会参加者の作品+ひと言コメント:
I want my father to lose weight as soon as possible. (できるだけすぐに父に体重を減らしてもらいたい) 父は10年ぐらい「やせる」と言っている(が、未実現)。
・ 英詩「Color Poem」を作る:White is the color that I like best. で始まる7行詩で、残りの6行はWhite is the color of an honest person.のように~ is the color of ~.が繰り返される。この英詩をモデルにして、自分の好きな色に関して詩を作る。
・ 4コマ漫画を完成させる:朝日新聞朝刊掲載の「ののちゃん」の4コマ目が空欄になっているので、話に合うように、絵を描き、セリフを書く。

(2)まとめ
・ creative writing活動を進めるにあたって:地道ながら「話す自己表現」「書く自己表現」をやっていく必要がある。英語ができないがウケをねらえる生徒もいるので「作品の内容」「作品の質」の2つの観点で見る。添削をするのは大変なので「内容にからめて褒めてあげる」ようにしている。
・ 自己表現活動の教育的意義:田中武夫・田中知聡『自己表現活動を取り入れた英語授業』〔2003 大修館書店〕によると、自己表現活動によって、自己理解や他者理解を促進し、クラスの雰囲気を変えて「学び合いの集団をつくる」ことが指摘されているが、萩原さんはこれを活かしたいと考えている。お互いの作品を読み合うことでクラスに笑いが起こる。
・ レポーターから:年間計画に「スピーキング活動」「クリエイティブ・ライティング活動」を! 1年後〔3年後〕にどのような力をつけたいか考える。

(3)参考文献
・ 萩原さんは高校英語教科書『World Trek English Writing』(桐原書店)の著者であり、この教科書には「ののちゃん」の4コマ漫画の教材が掲載されている。
・ 岩本京子「生徒の作品で語る私の授業」 『現代英語教育』1998年3月号(研究社) 
■参加者の感想
? 高校でこんな授業をやってもらえたら、高校英語が楽しいと思いました。でも自分が高校生の時にこのような授業だったら苦労していたと思いました。
? やっていることのすばらしさをもっとアピールすべき。ちょっとshyな報告方法。
? 場面に応じたauthentic situationsを作り出すことで、素晴らしい文ができあがる。実感させていただきました。
? 私の英語のレベルは中学生ぐらいだなあ…と痛感しました。短い文章を書くのにも苦労しているので、いただいた資料を参考に英文を書くことに慣れたいと思います。
? 自分もwritingが大の苦手です。生徒たちは特に「書く」のが苦手なので、少しずつやさしく始められるといいなあと思いました。
? writingの活動でも紋切り型のものではなく、手法(詩)、娯楽性(まんが)がふんだんに含まれていて、こういう発想が必要だと痛感しました。
? どこまで文が書けるようになるか、計画をたてるといいですね! 4コマ漫画、詩など1人でやるよりも2人でやることでアイディアが豊富に生み出され、とても楽しかったです。これは生徒も楽しめることまちがいなし。笑いのセンスは生徒はたくさん持っているので、引き出せたら授業に活気がでてきそうです。
? 私の場合、自己表現の実践が殆どないので、萩原さんの発表を聞くたびに「あー、やらないとな」と思わされるんだが…。
? 生徒のレベルが低く、その域までなかなか行けない。
? 生徒たちの創造・想像力をのばせる授業になると思うので、やってみたいと思います。ありがとうございました。
? 生徒作品を見て、1年でこんなに書けるのかあと感心しました。教員側が目標をもって臨めば、生徒に力をつけてあげられるような気がしました。少しずつ実践してみます。
? 例会の発表が少しずつ進化している様子がわかりました。
? 授業の中で扱うのは大変ですが、色々な工夫があり、詩とマンガはとても参考になりました。いずれも生徒の柔軟な発想が期待できると思いました。長いものになると添削が大変だと思いますが…。以前高校でwritingの授業をした時はcontrolled writingで解答にしむけて書かせました(笑)。


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