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当職の古巣の監査業界を巡って、こんな報道が出ている。 「大手監査法人「冬の時代」 トーマツ、あずさ、希望退職募集が続く」 ―――8月28日(日)18時12分配信付J-CASTニュースより 記事冒頭では「トーマツに続き、あずさ監査法人が50人の希望退職の募集を開始した。約200人いるアドバイザリー・サービス部門の人員を対象に削減。企業の内部統制にかかわるコンサルティング業務の減少に伴う措置だ。大手監査法人では2010年に新日本監査法人、11年7月には監査法人トーマツが公認会計士らを対象に、いずれも400人規模の大リストラに踏み切っている。監査法人も不況にあえいでいる。」と記載されている。 記事によると、大手監査法人が相次いでリストラに乗り出したとしており、会社によっては9月末を目途に400人程度の希望退職を募集しているほか、リストラに踏み切っていない会社でも給与や人事制度の見直しを進めていると記載されている。「リーマン・ショック後の景気の低迷で、株式公開(IPO)支援は激減。企業買収などに伴う財務・リスク関連のコンサルティング業務も減り、強化してきた企業の内部統制への対応も一巡し需要が薄れた。さらにはクライアントからは監査報酬の引き下げを求められ、監査法人の収入は減るばかり。その一方、これらの需要を見越して公認会計士を大量に採用してきたことが裏目に出て、収益を圧迫した」という状況は、当職の友人の証言と整合している。 先週末も某大手監査法人勤務の友人と話をした。相変わらずというか何と言うか、やはり監査業界は現在、非常に収益環境が厳しいのだそうだ。今年の会計士試験合格者数は随分絞られるという話を聞いているものの、先述の記事は「一方で、公認会計士は試験制度が新しくなり、かつては年間1000人程度の合格者だったのが、最近では3000人を突破するようにもなった。空前の就職難。あぶれた公認会計士は行き場を失っている」と締めている。 記事では「弁護士とともに高収入で安定しているとされた公認会計士の「受け皿」だった大手監査法人に「冬の時代」が来ていることはたしかだ」と記載されているが、会計士ごときが「高収入で安定」なんて、おこがましい。残念ながら会計士の年収はそれほど高くない。だが同時に、実体経済に対して高い貢献を行っているのでなければ、高収入を得る資格などないのも事実だと思う。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ なお、記事は監査業界をきちんと勉強せずに書いているのが丸判りだ。たとえば 「あずさ監査法人は、国内23か所に拠点を構え、公認会計士を含む約5900人(6月末時点)の社員を抱えている。監査証明やコンサルティング業務などのクライアントは約4900社にのぼる。」 などと記載されているが、同社のホームページによると、2011年3月末時点で代表社員32名、社員521名だ。社員と職員を合わせると5,762人であると記載されているが、監査法人の場合は社員とは会社の出資者(パートナー)を指しており、従業員、という意味ではない。そもそも会社の従業員を「社員」と呼ぶのは法的に誤りだ。朝日新聞や日本経済新聞などは、「社員」という言葉を会社従業員の意味で利用しているが、会社法(とその前身の商法)では、明治時代から「社員」ということばを「出資者」という意味で利用しているので、留意されたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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