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昨日は、こちらの「出張所」という気軽な空間には珍しく、やや硬派な話題を掲載した。それは、貨幣の信用力に関するものだ。ただ、こちらのブログの書面が足りないため、本日にまでまたがってしまった次第だ。

さて、貨幣とは

・価値の交換機能

・価値の保存機能

という重要な機能を有しているが、究極的には「現在も将来も、この国の財やサービスが貨幣により購入可能である」という信頼感(あるいは期待感)に裏付けられているということは昨日指摘した。そして、貨幣にそのようなお墨付きを与えるのは政治権力であるが、選挙対策によるバラマキなどを防ぐために、先進国では貨幣の発行権限を中央銀行に移管している。ただ、究極的に日銀も日本政府も日本国民の支配下にあり、その意味で日本国民の利益に反する行為はできない。

しかし、ユーロ圏加盟国では、ユーロという通貨は欧州中央銀行(ECB)の管轄下にあり、例えばドイツ人とかフランス人とかが国民投票でECBに対し、無制限に国債引き受けを強制させる採決を行ったとしても、そのような決定は条約上、無効だ。極端な話、ユーロ圏の政府が発行した国債がデフォルトする可能性がある、ということである。現実に、ギリシャ国債は既に実質的なデフォルト状態にあると言えるだろう。

考えても見て欲しい。日本に統一政府が存在しておらず、東京都とか大阪府とかがそれぞれ債券を発行していて、同じ日本円という通貨を利用する連邦国家だったとしよう。仮に、●●県が発行した債券がデフォルトの危機に直面したときに、東京都民や大阪府民が、その●●県を救済したいと思うだろうか?負債総額10兆円の●●県を救済するために、仮に東京都民が1,000万人いたとして、一人100万円ずつ負担しろ、といわれれば、東京都で暴動が起こるかもしれない(笑)。

この●●県と東京都を、ギリシャとドイツに置き換えてみると、欧州の混乱がすんなりと理解できるだろう。ギリシャのGDPの構造は、観光業と農業、出稼ぎ、そして政府支出に依存しており、GDPに対比して巨額の貿易赤字を計上し続けている。貿易赤字は結局、資本収支の黒字でファイナンスするしかなく、それが政府の財政赤字をもたらしている、という構造だ。当然、資本収支の黒字とは、外国人投資家によるギリシャ国債の購入を意味している。

通常は自国通貨建ての貿易赤字・財政赤字があまりにも膨大になりすぎればその国の通貨に対する信認が低下し、為替レートが切り下がることにより輸出競争力が回復し、経常収支バランスが改善するという為替メカニズムが働く。しかし、ユーロ圏の場合は、このようなメカニズムが一切働かないのだ。理由は簡単。共通通貨だからだ。

裏を返せば、ドイツはどれほど域内貿易で貿易黒字を積み上げても、為替レートが切り上がって自国製品の競争力が弱くなる、というメカニズムが働かない。いわば、ドイツがユーロ圏加盟国の犠牲に基づき、一国で繁栄している、という構造だ。つまり、欧州周辺国問題とは、実は「ドイツ一人勝ち問題」に他ならないのだ。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

本来こちらのブログは、日々の雑感を記載すべきところだが、昨日と本日は、ややオーバーフロー気味の本体ブログを補う意味での「出張所」にしてみた。普段の当職の「出張所」ブログと異なり、専門用語も沢山出てくるため、判りづらいかもしれない。だが、少なくとも「日本のギリシャ化を防げ」といったどうしようもなく勉強不足で低レベルな社説を掲載するマスゴミの嘘に対し、これを疑ってみるという姿勢も重要であろう。






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最終更新日  2011/11/17 03:21:42 AM
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