|
カテゴリ:カテゴリ未分類
昨日は事情によりこのブログ、本体のブログともに休刊とさせていただいた。本日から平壌運転(w)とさせていただきたい。 先週、紹介しようとして結局伸び伸びになってしまっていたネタがある。それは、「週刊経営財務」2011年11月14日号に紹介されていた、気になる報道だ。 「会計士資格の実務経験要件緩和へ」 ―――2011/11/14付 週刊経営財務P3より 記事によると、「公認会計士資格を取得するために必要な『実務経験要件』が緩和される」と記載されている。これによると、「現行、法人での実務経験は『資本金5億円以上』を対象とする規定がある」。この対象を「『開示会社(資本金5億円未満でも可)』や、『開示会社及び資本金5億円以上の法人の連結子会社(海外子会社を含む)』にまで拡大する」のだそうだ。この記事を解説する前に、現行の公認会計士制度について解説しておきたい(なお、今年の合格者調べ等については、本日の「本体のブログ」に書いておいたのでご参照頂きたい)。 当職の頃の制度では、公認会計士になりたい人はまず「第二次試験」(短答式と論文式の二段階試験)を受験し(通常、大学で単位を取得するなどしていれば「第一次試験」は免除されていた)、合格すれば会計士補に登録する資格が得られる。そこからさらに実務経験と実務補修を合計三年間実施することで「第三次試験」(論文式と口述式の二段階試験)の受験資格が得られ、これに合格して、ようやく「会計士補」から「公認会計士」に昇格するのだ。従って、「第二次試験」に合格してから「第三次試験」に合格するまで、最短で三年以上必要だった。例えば24歳で第二次試験に合格した人は、最短で27歳頃にようやく公認会計士になれる、ということだ。 現在、試験制度自体は緩和されているが、この「三年間の実務経験と実務補修」の要件は継続されている。昔と異なるのは、公認会計士試験から「第一次試験」と「第三次試験」が廃止され、かつ、「会計士補」資格も消滅した。従って、昔で言う「第二次試験」(短答式と論部式の二段階試験)のみが国家試験として残っている形だ。昔の「第三次試験」は、日本公認会計士協会が実施する実務補習所の卒業考査の形で残存しており、これに合格しなければ「公認会計士」を名乗ることは出来ない。 我が国が抱える最大の問題は、2007年前後の大量合格者のせいで、折角試験に合格しても就職できない「待機合格者」が増えていることだろう。現在の制度では、合格したとしても肝心の実務経験ができないので、結果的に「単に公認会計士試験に合格しただけの人」が量産されている。これは由々しき問題だ。 だが、記事によると「実務補修の要件を緩和する」ことにより、結果的に試験合格者が公認会計士になりやすくなるための改定が行われるということであり、問題の本質的解決には全く寄与していない。少なくとも、粉飾決算事件等により日本の監査制度に対する不信感が強まっている昨今の状況で、要件の緩和を行ったとしても、実務経験の質を下げることがあってはならない。時代に逆行し、しかも行き当たりばったりの金融行政に不信感を感じざるを得ない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|