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本来、本体のブログでは、平日に経済NEWSの解説、週末に専門知識の解説を行っている。ところが、最近は経済関連の報道が多すぎて、本体ブログでもややテーマが追いつかなくなりつつある。そこで、こちらのブログでは今後、時々は「本体ブログ」で拾いきれないテーマについて、解説を加えたい。その一つは、何と言っても貨幣に関する議論だ。 先週の本体ブログの記事でも、欧州債務問題がハンガリーとかの「東欧諸国」に再び波及しているという話を紹介しているが、果たして国家の健全性とはどのようにして測定すれば良いのだろうか。資本フローという観点から、国家の健全性の尺度としては、次のような判断が考えられる。 自国通貨がハードカレンシー(自国通貨で国債を発行している) └┬─対外純資産状態→日本、スイス └─対外純債務状態→米国、英国 自国通貨がソフトカレンシー └┬─自国通貨建で国債を発行している │ ├─対外純資産状態→中国 │ └─対外純債務状態→韓国、アイスランド等 └─外貨建又は共通通貨建で国債を発行している→PIIGS諸国等 ハードカレンシーとは、国際的な決済に利用可能な通貨である。明確な定義があるわけではないが、当職が考えるハードカレンシーの要件としては、 ・国際的な貿易において、その通貨により決済が可能である ・ロンドンインターバンク市場で銀行間資金貸借金利(LIBOR)が提示されている ・国際的に債券や金利スワップ等の取引がなされている ・国外(又は域外)で決済が可能である 等がある。この要件を満たす通貨としては、一般的に米ドル、ユーロ、円、英ポンド、スイスフランの五つが基本だ。これに、豪ドルやNZドル、加ドルや香港ドル、シンガポールドル等を加えることもある。人民元が最近、中国本土外での決済の利便性を高める努力を行っていると報じられることも多いが、基本的に人民元を貿易決済に使うことは、依然として何かと不便だ。そして、日本の隣国の通貨は、当然、ソフトカレンシーだ。 また、上記表において「対外純資産」とか「対外純債務」と称しているのは、あくまで「実質的なバランス」を意味しており、国際収支統計上「純資産」として計上されていたとしても、その流動性がなければ意味がない。例えば、韓国などは、政府の公的債務残高対GDP比率がそれほど高くないからと言って油断は出来ない。巨額の対外債務を外貨で調達しているが、一旦国際的な資金調達が困難を来たす状況が生じると、これを解消するのは容易ではないからだ。実際、2008年には民間金融機関が巨額の債務を調達していたアイスランドが国家破綻を来たしている。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ちなみに、東欧諸国は民間部門がユーロ建等により巨額の借入を行っているとFT等が報じているが、当然、外為市場で東欧諸国民は自国通貨を売ってユーロを買い入れ、それにより債務を弁済しなければならない。このため、特にソフトカレンシーを利用している国が他国通貨で資金を調達することは、非常に危険なことである。本当は、FSBやIMF等はこうした資本の流れに規制を掛けるべきだと思うのだが…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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