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年先 二匹の虫置きゃ また争い
イントロから頂戴すれば 「ある強大な国がもう一つの国を強大な軍事力でうちまかして支配権をにぎった。ほんのひとにぎりの平和がよみがえったとき両国の王室は平和の人質としてお互い生まれてまもない第三王子と第三王女を交換した」 いつの時代かどこなのか分からないとしています。でも、想像力を掻き立てれば、いろいろと浮かぶでしょう。 支配者はグロマン人、そこに交換されたククリット人のピラール殿下。反対に、ククリット人の育てられるグロマン人のエミヤ、彼女がプライム・ローズです。 例えば、こうしたことを日本に置き換えてみれば、かつて日韓併合の時代を思い出しますね。また、満州国も。ラスト・エンペラーという映画も有名です。 教科書編集会社に勤めるロイという人物が登場しますが、歴史を書き換えた教科書づくりでは、家永教科書裁判を思い出します。敗戦を終戦と呼び、侵略を進出とする。大量虐殺の言葉が消されている、などなど。そうして戦争を知らない人たちに対し伝えないことでなかったことにする。知らなければ知る必要などない、と言わんばかりに。 日本はアメリカに敗れた国、原爆という最終兵器ともいえる武器で。広島、長崎以降、どんな戦争にも使われてはいません。日本は、アジア諸国を力で牛耳ろうと大量殺人を行ってきたことも事実であれば一概に被害者とも言いづらい点もあります。 そうした中で今、日本がアジアに背を向けてアメリカと握手することはどういう意味があるか、どんな教科書や先生よりも、このプライム・ローズは教えてくれますね。 はじめにも言いましたが、いつの時代の何処の国とは言っていませんが、しかし、とある人物の登場から大きく展開し謎がどんどん解き明かされていきます。その人物とは、冒頭から出てくるククリット人でもグロマン人でもないタンバラ・ガイという男の弟ブンレツです。タイム・スリップ1万年といえば、なんとなく、はは~んと推理できてしまう方もいらっしゃいましょうが、まあ、とにかく、論理は荒唐無稽でもきわめて現実味を帯びた世界になっていくのです。 そう、決して荒唐無稽ではない。弱者としての戦争体験をした手塚氏だからこそ書ける、そして後世に伝えたい、なのに戦後の世界は相変わらず核を手放そうとはしない。このマンガ、私たち戦争を知らない子どもたちもそうだけど、戦争を知っているはずでありながら日本国をカジ取りしようとするのに無頓着な人々にもっと読ませるべき教科書じゃないでしょうか。Xジャパンを聞いて若者の心を分かるろうとするポーズもいいけれど、もっと本来の指導者として歩むべき行方を照らすべきではないのでしょうか。そうすれば、アジアに背を向けずに回れ右をして共に歩む道が見えてくるはずだと思うのです。ほら、ガイとピエール、自らの死を掛けて過去からやり直そうとするなんて、なかなかできません。 ちなみに蛇足ですが、この作品、キリコにシャラクも登場します。それと、プライム・ローズを名乗るエミヤ、いやあ随所で色っぽい、いいですねえ。失礼。 そういやあ、エミヤの剣の師匠ジンバ(ほんとは・・・?)、心に刻まれるせりふを吐きます。 「ある者は死を薬や医者で防ごうとし、ある者は享楽に身を沈めて死を忘れようとする」 いやはや、参りました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年09月24日 10時26分18秒
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