先日読んだ『奔馬』に続き、三島由紀夫著
『暁の寺』を読んだ。
本多がタイで「自分は日本人の生まれ変わりだ」「
松枝清顕と
飯沼勲の記憶がある」と言う7歳のタイの王女
ジン・ジャンに出会い、その11年後、18歳になって日本に留学に来た
ジン・ジャンと再会する、という設定。
本作では、『春の海』『奔馬』では脇役だった
本多が主人公になっており、前2作の、若々しさ、みずみずしさはまったく感じられない。
よく言われていることだけれど、三島は本当に、「年をとることは醜いこと」だと思っていたのだなぁ、と感じる。
本多は覗きが趣味のおっさんになっているし、『奔馬』では
勲が憧れる気丈な女性として描かれた
槇子も、歌人として大成し鼻持ちならない悪趣味な中年女性に成り下がってしまっている。。。
本多がインドのベナレスに行く場面があり、そこは
本多の人生観に大きな影響を与える場面でもあるのだけれど、とにかくその描写がスゴイ。読んで想像するだけでも疲れます。でも、百聞は一見にしかず、ベナレスを訪れたら、想像を絶するような光景が広がっているのだろうとも思う。4年ほど前にインド旅行をしたときに、ベナレスには立ち寄らなかったのだけれど、それを今さらながらちょっぴり後悔。
本作のクライマックスに、私は「えー、そんなんありー?」と思わず声を上げそうになった。
慶子と
ジン・ジャンがそんなことになっているなんて!!!
【今年の読書目標達成まで---あと26タイトル】