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ひっち秋つれずれ日記

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2007.12.23
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ここに一冊の本がある。本の名は鶴見俊輔編の「老いの生き
方」という本だ。鮎川信夫、中勘助、山田稔、富士正晴、
金子光晴、室生犀星、野上弥生子、サルトル、などそれぞれ
知識人といわれる人たちが、老いに直面して、老いと若さと
いうことについて書いてある本である。
 その冒頭、鶴見俊輔が書いてあるところを読むと、
~~~~~~
     未知の領域に向かって

「痴呆性老人の世界」(羽田澄子監督)という映画を見た。
老人施設をそのままうつした映画で、私には希望のようなもの
を残した。子どもが病気だから大変だといって、施設を抜け出
して、野原をさまよう老女に、若い職員が付き添ってどこまで
も着いていくところとか、心温まる場面に、明るい印象を持っ
たからだ。しかしこれが、明るい印象を残すのは見ている私が
老境に入ったからで、若い人が見れば暗い映画と感じるだろう。
若い人にとっては、この本も絶望的な本と感じるかもしれない。

暗い面があるのはいなめない。しかしそういう面を見て、
自分もまたやがて踏みこむであろう未来について、想像力を
持つことは、自分を豊かにする。
            ~~~~~~~~~
また、装丁に使われている有元利夫という画家の
「部屋の星座」という絵も、優しい絵で気に入っている。

自分の母親が、入れた老人ホームから出るとか出ないとか、
自宅療養がいいとかわるいとか、リハビリの問題があるとか、
このところ、自分の母親のことで、少しばかり老人問題に
深く入り込んだ。やがて自分の老後の事もあると思い、
また、母親にとっても、自分にとってもここが踏ん張りどころ
ということで、真剣に老人介護問題を考えるようになってきた。

果たしてこれでいいのかどうか、一度は退去を決めた福祉
施設をまた母親を置いておくことにした。自分にとっても
なんとしても母親の老後を幸せなことにするのは義務の
ようなものである。

鶴見俊輔が編んだ、この本の最晩期の斉藤茂吉 歌集
「つきかげ」について 鮎川信夫著 のなかに斉藤茂吉の
晩年の歌が書いてある。

我が生はかくのごとけむおのがため
         納豆買ひて帰る夕暮れ

をさなごがやうやく物をいふときに
         言の吉言をおのづから言ふ

いつしかも日がしづみゆきうつせみの
         われもおのづからきはまるらしも

「つきかげ」の茂吉は自ら認めるとおり、作歌能力の衰弱は覆う
べくもない。「赤光」や「白き山」で、自然と自我の渾然たる
一体化を果たし、近代短歌の象徴美の絶てんを極めた大歌人も
、六十代の半ばを過ぎ、身体のおとろえだけではなく、精神の
集中力が弱まって、散漫な日常詠が多くなっている。
では「つきかげ」はつまらぬ歌集かというとけっしてそうでは
ない。少なくとも予感あるいは恐れとしてあった<老い>と
実際の老いとがどう違うか証しているだけでも注目すべき歌集
なのである(鮎川信夫)


俳句の句集ひとつ持っていない自分にすれば、老いを歌に託
して歌集を編めるというのは、それだけでも、老人性を脱却
しているとおもうが、やはり鮎川信夫の言った通りなの
だろう。

ぬばたまの黒飴さはに良寛忌
老残のこと伝わらず業平忌      能村登四郎

父叱ることのさみしさ鰯雲      寺澤慶信

親は親子は子の別れマスクする    ひっち秋





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Last updated  2007.12.26 14:00:40
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