風と雲と太陽

「彦根藩？」
　勝は、不思議そうな顔を象山に向けた。
「何でも、藩邸内で拾ったそうだ。だが、誰も知らぬという。それが何であるかも解からぬと言う。」
「．．．」
「それが何であるか。問いただしに持ち込んだと言うことだ。」
「彦根藩。」
　勝は、少しの間それを見つめながら数日前の事を考えていた。
（あの忍は、彦根藩の者かもしれねぇ。）

　と、今日はここまでです。