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2010.12.19
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カテゴリ:感想
 七海西高校の文化祭の最中、校舎屋上からの墜落事件が起きた。美術部の展示が行われていた屋上へ上がった人物は数名に限られている。わたしは、春、夏、初秋、晩秋に起きたいくつかの出来事を振り返りながら、屋上ではいったい何が起きたのか、考えていこうと思う・・・

 第18回鮎川哲也賞受賞作『七つの海を照らす星』の続編。ですから、未読の方にはまず『七つの海を照らす星』からお読みいただきたい。その方が、きっと楽しめるから。
 諸々の事情で親元を離れなければならない子どもたちが集う児童養護施設の性格上、七海学園では様々な出来事が起こります。春、夏、初秋、晩秋の4つの出来事を遡る合い間に、文化祭での出来事を解き明かす構造になっています。
「春の章―ハナミズキの咲く頃―」
 春菜が担当する界は、時々暴力を振るう。彼が保護されたとき、母親は近くの崖で亡くなってらしい。界は、母親に殺されそうになったと語る・・・母親がどうしてそんな行動に出たのか。意外な人物が語りだす内容が母親のおかれた状況の厳しさと同時に行政の問題点をあぶりだします。
「夏の章―夏の少年たち―」
 施設対抗のサッカー大会。応援の女の子たちは城青学園目当てだが、彼らは試合後の混乱の中、姿を消してしまった・・・春に続き、またしても児童養護と行政が抱える問題が明らかに。選手消失の謎と巧みに絡められています。
「初秋の章―シルバー―」
 樹里亜が大切にしていた寄せ書きがなくなった。瞭は真相に気づいているようで、開けられないCD-ROMの謎を解いたら話すという。そのCD-ROMは・・・どこでもあり得る悪意とそれに対応しようとする善意。それぞれについては目を惹くような謎解きとは感じませんでしたが、背景、舞台といったものとの組み合わせが絶妙。
●「晩秋の章―それは光より速く―」
 服役していた望の父親が出所したという。彼は刑務所からも望の状況に干渉していたのだ。夜になって、娘に会わせろという男がやってきて・・・春菜の奮闘劇。望の父親が出した答が非常に納得のいくものでした。

 収録されている4つのエピソードがそれぞれ墜落事件の真相への伏線としてうまく機能しています。それぞれの出来事の中で重要なカギを握る部分が、全体としても二重に機能している感じです。相変わらず子供たちにはあたたかい視線が注がれ、同時に大人の醜さのようなものを浮き彫りにしています。
 前作『七つの海を照らす星』と同じような形式をとっていますが、ミステリとして今回の方が出来栄えがよいのは確実でしょう。非常に高い技術が読者を待ち受けています。各エピソードので提示された謎の解決はもちろんですが、最後に明らかになる事実は厳しく非情で、そして衝撃的でした。

 後の展開が非常に気になる結末で、読者としては3冊目の刊行が待ち望まれるところです。あまり間を空けず、読むことができたらうれしいなあ。

収録作:「春の章―ハナミズキの咲く頃―」「夏の章―夏の少年たち―」「初秋の章―シルバー―」「晩秋の章―それは光より速く―」「冬の章 1~6」
関連作:『七つの海を照らす星
2010年12月2日読了





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Last updated  2010.12.19 18:38:27
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