社員が裁判員に選ばれたときの企業の負担は?
来年5月に始まる裁判員制度に備え、東京地裁は、社員が裁判員に選ばれた場合、業務にどのような支障が生じるか、聞き取り調査を始めました。裁判員の辞退をどの程度認めるかについて判断材料にするのが狙いで、集めた情報をデータベース化し、活用していく予定です。裁判員は有権者からくじなどで選ばれますが、重要な仕事があって休むと著しい損害が生じる場合などは辞退が認められます。認めるかどうかは裁判官が判断することになります。最高裁はすでに、居住地や職業などのグループごとに裁判員となる際の障害を分析していますが、同地裁は、多種多様な企業が集まる東京ならではの事情を探ろうと、調査を行うことにしたそうです。対象は、運輸、情報サービス、ホテルなど約30社で、従業員1,000人以上の上場企業のほか、大学病院やエステサロン、パチンコ店を経営する会社も含まれているそうです。実際に、裁判員裁判に参加するため数日間休むことになった場合、具体的にどのような支障が生じるかや、代わりの人が見つかるかなどを人事担当者らから聞き取る予定です。個人的には聞き取り対象が人事担当者でいいのかどうか、かなり疑問が残りますが・・。ちなみに、社員が裁判員になった時、企業が休暇を与えるかどうかの調査も行なわれています(こちらは民間調査機関で)。それによると、社員が裁判員として会社を休む場合に備え、対応を決めているかどうかについて、「すでに決めている」のは、113社(46.5%)。このうち「休暇を与える」と回答したのは106社(全体の43.6%)で、残りは「ケース・バイ・ケースで対応する」(←これも対応を決めているうちに入る?)などだったそうです。ちなみに、裁判期間中の給与については定めがないどうですが、有給休暇にするとした企業は74社と報道されています。でも、これはどういう意味なのでしょうか。残りの32社は無給の休暇(?)だとしたら、休暇を与えることにならないような気がしますが・・・。なお、対応を決めていない企業で、「現在検討中」が全体の21.8%、「今後検討する」は30.5%だったそうです。でも、それより問題なのは、調査対象が全国の約2,500社だったのに、回答が得られたのがたった243社だった点です。聞き方が悪かった(失礼)わけではないとすれば、迷っている企業がさらに多いということなのでしょうか。