半ホームレス生活
下記に転載したのは、昨年(2006.11.2)の朝日新聞の記事です。とても印象的で衝撃的な内容です。ネット喫茶は結構料金は高いと思っていましたけれど、夜は比較的安いんですね。しかも毛布の貸し出しをしていたり、シャワーまで使えるとは知りませんでした。とは言え、一泊1,500円なら、30日で45,000円。安いとも言えません。しかも、5時間しか居られないんですから、疲れは取れませんね。ゴミ箱を漁る生活だけはしたくない、という矜持が、疲れ切った彼らの肉体を支えているのでしょう。それにしても、寒々とした光景です。ジョルジオ・デ・キリコの形而上絵画のようなイメージが浮かんできます。人気のない街角の夕暮れ。後ろ向きの人物が一人。彼の長い影が、夕日に照らされた広場を横切っている。こんなイメージかな。この方々の内面を苛んでいるのは、孤独感というより、社会からの疎外感のような気がします。自治体は、こういう人たちをこそ支えなければならないと思います。ブログが生きる支えになっているケースも紹介されています。孤独感と疎外感の中で、辛うじて社会と繋がる一本の細い「蜘蛛の糸」としてのブログ。ブログは今後、こういう使い方をする人が増えるような気がします。この記事に「格差社会の証拠」を見る人もいるかもしれませんが、この人たちは、要するに”まだギブアップしていない人たち”なんです。まだまだ復活戦のチャンスはあるはずですから「格差社会の証拠」とはいえません。こんな言葉があります。「人生に必要なものは、勇気と想像力とほんの少しのお金だ。」(チャップリン)"ほんの少しのお金"(some money)は、この記事によれば、50,000円くらいのようです。現在、苦境に陥っている皆さん、とりあえず"some money"を目指して、今より「ほんの少しだけ」余分に「勇気と想像力」を奮ってみてください。神様のお恵みがあるでしょう。(以上)----------------------------------------------------------------------------asahi.com: 生活困窮の若者、ネットカフェ転々 支援団体にSOSも - 関西 低料金でシャワーや個室などを完備するネットカフェで生活する若者が都市部で増えている。彼らの多くが、生活が困窮し、家を失った若年フリーターだ。「不安定な生活を抜け出したい」というSOSもインターネットを通じて、支援団体に寄せられ始めている。 大阪・梅田のネットカフェ。5時間で1500円の「夜間パック」の受け付けが始まる午後10時、大阪市出身の男性(30)は、リュック一つを持って、個室に入る。 シャワー、歯磨きをすませ、備え付けの毛布をかぶり、リクライニングシートへ。だが、体は伸ばせない。「この先どうなるのだろう」。熟睡できない日が続く。 男性は、大学卒業後、独り暮らし。本屋や弁当屋など5年で約10カ所のバイトを転々、昨秋、うつ病で仕事を辞めたのを契機に、家賃を3カ月滞納して家を失った。 「完全個室、宿泊可能」。途方にくれていた時、繁華街で見つけた看板に引き寄せられた。 派遣会社に登録し、日雇いで、ティッシュ配りや倉庫の仕分けなど、週に5日働く。日当は交通費込みで約7千~8千円。食事は、コンビニのパンやハンバーガーばかりで、体重は10キロ減った。風邪をひきやすくなり、背骨が曲がり、痔(じ)にも悩む。 ネットカフェを転々とし、体調が悪くなれば、3千円前後のカプセルホテルで横になって寝る。仕事がない日は、公園のベンチや図書館のロビーで過ごす。最近は「なぜ生きているのか分からなくなってきた」と話す。 ●ブログで仲間 東京都のJR蒲田駅前のネットカフェで生活する岡山県出身の男性(28)は、9月中旬、ブログを立ち上げ「半ホームレス生活」を赤裸々につづり始めた。 24歳で上京、パチンコ店に勤めながら歌手を目指していた。だが、友人の借金約180万円を肩代わりして、苦境に陥り1月からこの生活に。 新宿を皮切りに、JR中央線と山手線沿線の約200店を転々、料金の安い蒲田に落ち着いた。今は、日雇い先でもらうネットカフェの半額券も活用している。 利用するネットカフェの前で、毎夜のように若い男女が並ぶのを見た。「話がしたい。孤独から解放されたい」と、ブログを始めた。 ネットカフェ情報を日々の思いと共につづる。「一緒に頑張りましょう」などの書き込みも増えた。「心が温まって、この生活から抜け出そうと決心した」 5万円をため、10月下旬、唯一残っていた運転免許証を身分証明にして、長野県の工場に派遣契約が決まった。月収は16万円。寮にパソコンがないのでブログは中断したが、「生活を立て直したらブログを再開し、悩みを聞いてあげるのが今の目標」と話す。 宿泊もできる多機能のネットカフェは、99年ごろからできた。日本複合カフェ協会に9月末で、1320店が登録している。全国55店舗を展開する加藤博彦会長(52)は「料金がサウナやカプセルホテルより安く、フリードリンクなどの特典もあって、都市部で特に宿泊利用が増えている」。 東京・池袋、席数150の大型店店長は「一晩の泊まり客は平均140。大きなかばんを持ち何度も見る常連さんはそのうち約1割」と話す。 ●メールでSOS 「ネットカフェ転々。助けて」「もう、こんな生活疲れました」 生活困窮者を支援するNPO法人自立生活サポートセンター「もやい」の湯浅誠事務局長(37)の元には04年ごろ、こんなメールが若者から届くようになった。今では月2~3件ある。 湯浅さんは「生活が困窮したフリーターは確実に増えており、都市で見えない存在となってホームレス状態になっている。行政は、そのグレーゾーンにも目を向けていくべきだ」と話す。