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カテゴリ:天舞紀~トキメキ☆恋空書院~全28話
天舞纪 Dance of the Sky Empire 第5話 その夜、蘇猶憐(ソユウレン)は擎天(ケイテン)城の東にある山に登り、止血に効果がある薬草を手に入れた。 しかし毒蛇に襲われ、うっかり手を離して落下してしまう。 そこへ偶然にも山道を行く馬車が通りかかり、猶憐は馬車の屋根を突き破って着地した。 猶憐は馬車に乗っていた見目麗しい公子の膝の上に落ちた。 …なんて美しい公子なの… すると護衛が慌てて馬車の中を確認する。 「公子?!」 「大丈夫だ」 護衛は公子が女子を抱きかかえる姿に困惑し、気まずそうに帳を閉めた。 公子に見とれていた猶憐もふと我に返り、慌てて皇子の膝から降りる。 一方、公子は空から降って来た謎の娘に不思議な縁を感じていた。 …彼女から特別な霊気を感じる、まさか… 公子は猶憐が摩雲(マウン)書院の新入生だと知り、馬車で送って行くことにした。 すると道すがら公子は仙術で壊れた馬車の屋根を修復する。 やがて書院に到着、公子は次に会う時までに傷が癒えていることを祈っていると言った。 「また会えるの?」 「必ずね」 笑顔を見せて帰って行く猶憐、まさか公子が摩雲書院に入学するとは知る由もなかった。 龍嶶児(リュウビジ)は精鋭たちを全滅させたのが猶憐だと分かり、驚きを隠せなかった。 護衛・鄭百年(テイハクネン)の話では回収した死体に見たことのない傷があったという。 そこで嶶児は猶憐の腕前を探るため、百年にある作戦を授けた。 紫極(シキョク)は刺客の捜索で書院をしらみつぶしに調べたが何も出てこなかった。 しかし明らかにあれは昆吾(コンゴ)族の仕業、そこでさらに詳しく調べるよう命じ、明日から閉関して沈月(シンゲツ)の陣を強化するという。 一方、李玄(リゲン)は猶憐の額の傷を心配して眠れずにいた。 それにしてもあの傷は一体いつできたのか。 そこで李玄は見舞いに行くことにしたが、護衛・封常青(ホウジョウセイ)に結局、猶憐に会いたいだけだと見透かされてしまう。 その頃、猶憐は薬草のおかげで無事に止血していた。 李玄は窓枠にこっそり薬瓶を置いて帰ろうとしたが、偶然、猶憐が窓を開ける。 うっかり猶憐の手を握ってしまう李玄、すると急に恥ずかしくなったのか、傷薬だと教えて逃げるように帰ってしまう。 そんな李玄の慌てた様子を見ながら、猶憐は思わず失笑した。 剣霊は李玄の薬など捨てろと叱った。 猶憐は李玄が悪い人とは思えなかったが、師匠は前任の護国師が龍皇(リュウコウ)を封印した張本人だと憤る。 その頃、猶憐を助けた公子は客桟に到着していた。 「″殿下″?ご機嫌ですね?さては書院への入学が楽しみになったので?」 「そうだ、会うべき人が増えたからね」 翌日、李玄は相変わらず座学で寝てばかりだった。 実技では生徒たちが各々、武器に霊力を注入し、攻撃力を強化する訓練に入る。 辺令誠(ヘンレイセイ)はのんびり木陰で休んでいる李玄のもとへ駆けつけ、どの武器が良いか相談した。 「でお前の武器は?」 「常青だ」 すると常青はついに凄まじい炎を発する長槍を生み出した。 崔翩然(サイヘンゼン)は天啓(テンケイ)国の踊り手に選ばれ、昼休みも自慢げに食堂で訓練に励んでいた。 すると近くの席で昼食を取っていた百年が翩然に聞こえるようにわざと猶憐の話を始める。 「聞いたか?陛下が蘇猶憐のことを知って、朝政の場で絶賛したらしい」 「平凡な娘だと思ったが、大活躍だな」 「すごいよな~」 「何でも護国師も一目置いているとか…」 「あ、この前、2人でいるのを見たぞ!」 「あんな才色兼備に惚れない男はいないな」 李玄を慕っている翩然は機嫌が悪くなり、そこで練習を切り上げることにした。 しかしちょうどそこへ生徒が山のような書物を抱えて現れ、翩然とぶつかって本を落としてまう。 「気をつけてよ!」「そっちがぶつかって来たんだろう?!」 生徒は書物を拾い始めたが、その時、翩然は″摩雲禁地録″という書物を見つけた。 思わず拾って開いてみると、″書院の禁地・乾淵閣(ケンエンカク)″と書いてある。 生徒は禁書を読むなと怒って取り返すと、百年に目くばせした。 猶憐は額の傷がきれいに治り、包帯を外した。 すると李玄からの文が届く。 …乾淵閣で会おう… 猶憐はまた李玄が何か企んでいると疑ったが、とにかく出かけてみることにした。 崔嫣然(サイエンゼン)はちょうど居所を出た猶憐と出くわした。 「傷の具合はどう?」「もう心配いらないわ」 すると猶憐は李玄から乾淵閣に呼び出されたと言って別れた。 乾淵閣は寂れた宮殿だった。 中に入ってみると凄まじい妖気を感じる。 「変な場所ね…」 そんなこととは知らず、李玄は令誠、常青と食堂にいた。 常青がばらしたせいで令誠にまで李玄が猶憐に気があると知られてしまう。 すると昼食に来た嫣然が李玄に気づいた。 「李玄、なぜ食堂に?…おかしいな~あなたに呼ばれて猶憐は乾淵閣に向かったわよ?」 「乾淵閣?…まずい!」 猶憐が殿内に入ると、いつの間にが忍び寄って来た蔦(ツタ)に拘束された。 すると見知らぬ男が現れる。 男は碁ができるかと確認、打てないなら用はないと蔦で首を絞め始めた。 「この蔦の霊力は強大だ、逃げられた者はいない、やがてお前は生気を吸われ、ただの白骨と化す!」 「まっ待って!出来るわ」 猶憐は仕方なく嘘をついたが、空中に出て来たのは見たこともない難解な棋局だった。 …もういいや、碁で負けても殺されるよりはましよ… そこで猶憐は適当に石を打ってみたものの失敗、碁石がバラバラと落ちて来てしまう。 嶶児と百年は乾淵閣の様子をうかがっていた。 実はここには上古麒麟(キリン)が封印されている。 嶶児はここに猶憐を誘き出し、一体どんな方法で戦うのか見たかったのだ。 すると思いがけず李玄と常青が駆けつけた。 猶憐は碁を解けず、男の怒りを買った。 再び蔓で首を絞められてしまう猶憐、その時、李玄と常青が飛び込んで来る。 李玄は常青が男に応戦している隙に猶憐の救出に向かったが、猶憐は碁を打たないと逃げられないと教えた。 すると常青も蔓に捕まってしまう。 「わはっははは~!邪魔をするとその女が白骨と化すぞ!」 猶憐も常青も徐々に首に蔓が食い込み、顔が赤くなって来た。 焦った李玄は碁なら打てると訴え、猶憐を解放するよう要求する。 そこで男は次の一手が正しければ逃がしてやると言ったが、間違えれば命はないと迫った。 男は再び碁石を空中に並べた。 李玄はどこかで見た棋局だと気づき、苛立つ男をなだめながら記憶をたぐり寄せる。 確かあれは紫極に罰として涼亭に閉じ込められた時だった… 『こんな棋局は無理だ!早くここから出してくれ!』 しかし紫極は正しい一手を打てば出られると笑って行ってしまう… 李玄はあの時の一手を思い出し、ついに碁の陣を解いた。 「うわ〜っはははは!感謝するよ、封印を解いてくれて!私はついに自由を手に入れた!」 男は喜び勇んで天井から飛び出すと、李玄は咄嗟に猶憐を抱きしめ、崩れ落ちる屋根から守った。 常青と李玄は慌てて外へ飛び出したが、すでに麒麟の姿は見えなくなっていた。 「完了完了完了(オワタオワタオワタ)…」 「あの人は誰なの?」 「麒麟だ、棋局で封印されていたのに、俺たちが逃がした」 すると猶憐は黒幕に気づいて走り出した。 物陰に隠れていた嶶児と百年は李玄が紫尊の陣を破ったことに驚いた。 やはり李玄はただ者ではないらしい。 果たして李玄は自分たちの新たな敵になるのか、それとも…。 猶憐は修練場で踊りを練習していた翩然を捕まえた。 「よくも騙したわね!」 「ただのいたずらよ!」 そこへ李玄たちが追いつき、自分たちも死ぬところだったと憤慨する。 すると早速、謝雲石(シャウンセキ)司業(シギョウ)が現れた。 麒麟を逃した李玄と猶憐はひとまず謹慎処分になったが、国の代表で踊る翩然だけは1ヶ月間の掃除を命じられる。 しかし正式な処罰は紫極の閉関が明けてから決まることになった。 その頃、麒麟は百花楼(ヒャッカロウ)に忍び込んでいた。 部屋には静児(セイジ)という妓女が思い詰めた様子で鏡を見ている。 つづく 王子キター‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››ーッ! でも最初の映り方が心なしかオジ…(´゚艸゚)ゲフンゲフン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.05.18 12:29:35
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